日本被団協のノーベル平和賞受賞にあたって


ノルウェーのノーベル賞委員会は、今年の平和賞を被爆80年を前に日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に贈呈すると発表しました。
ノーベル賞委員会は「被爆者たちは核兵器の使用、拡散を禁止するよう求め、筆舌に尽くしがたい体験を語ってくれた」と評価しました。
 核兵器の非人道性を告発し、「ふたたび被爆者をつくるな」と命をけずりながら核兵器廃絶を訴え続けてこられた取り組みに敬意を表し、心からお喜び申し上げます。
被爆者とともに、被爆の実相をひろげ、核兵器使用を示唆し、核抑止力への依存を強化する核破局の瀬戸際とも言える危機的状況を押し止め、日本政府に核兵器禁止条約への署名・批准を求め、核保有国に核軍縮に向かうよう「核兵器のない平和で公正な世界」に向けて「平和の祈りを行動の波へ」と引き続き取り組む決意を表明するものです。

2024年1011
日本宗教者平和協議会 事務局長 修覚 

2024年日本宗教者平和会議in・韓国ソウルに参加して

イムジン河を望んで


 1015日、ソウル北の共同墓地での返還遺骨追悼式終了後、フィールドワークで臨津(イムジン)河の38度線の休戦ラインの視察に赴いた。イムジン河は濁ってたゆとうていたが、爆発の音が数回、予定が急遽変更になり、統一村に入れなかった。否応なく南・北の戦争状態が続いている現実を知らされ、人民の悲鳴を聞いたような気がした。「愛の不時着」はドラマの中だけのことでした。残念。
小野 文珖 代表理事

日韓ノーベル賞の受賞の平和会議


 脱亜入欧と富国強兵を国是とした中でわが国は日韓併合(1910~45)をした。その「日本の不都合な史実(=植民地主義)」に日韓の宗教者が向き合って、ソウルで平和協議会を開催した意義は大きかった。折しも、日本の被団協の平和ノーベル賞と韓国の韓江さんのノーベル文学賞の発表の直後だった。この二つのノーベル賞はアジアから国際社会へ向けた「世の不条理を問う」声として評価されたものと理解したい。
木村 優

日本が分断されるべき?


 初めて参加した「日本宗教者平和会議」は、侵略と植民地支配、国家分断、という日本の戦争責任を見つめ直さざるを得ないソウルでの開催だった。
 突然の依頼に応えて参加して下さった4名の韓国人牧師にも深謝したい。ガイドさんの説明から「本当は日本が分断されるべきではなかったのか」という韓国人の正直な思いを受け止めた。奉還された強制労働犠牲者115体の遺骨が眠る墓地での法要と祈祷を通して、宗教者としての謝罪の責任があることを痛感させられた。
横浜上野町教会 牧師 柴田 智悦
 

今回ツアーに参加して、一番心に残ったことはガイドさんのお話だった。普段一般のツアーガイドでは話せないと言われた通り、日本人として申し訳なく、心に刺さる内容だった。戦後、とばっちりを受けて分断された韓国朝鮮、本来戦争を仕掛けた日本が分断されるべきだったと聞いた時、それを想像したら一国を分断されるなんて本当にとんでも無いことだと改めて思わされた。
 ツアー中、トンネル見学や統一村に行けない緊張状態になった時、「これがこの国の現状です」と。この国に、世界に平和が来ますようにと心から願う。
横浜上野町教会 柴田 麻衣子

2024年日本宗教者平和会議in韓国・ソウル

日韓宗教者平和交流集会アピール


私たち宗教者は一人一人の人権、命の尊厳を守ることを何よりも大切にしています。そのために、私たち宗教者は良心的な人々と連帯して、恒久平和、核兵器廃絶、軍備撤廃、地球環境の保護、基本的人権の保障、そして反差別、反貧困の取り組みに参与して参ります。
まず、かつての日本の侵略戦争、植民地支配において、宗教教団、宗教者が協力・加担した歴史を懺悔、謝罪するものです。

私たち宗教者は日本と韓国の間にある諸課題に対して、歴史の真実を直視し、過去の過ちを克服する努力を共有し、真実の和解と平和、相互の信頼関係を構築して参ります。

現在、世界ではロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザでのパレスチナ人に対するジェノサイドにも等しい攻撃、そして中東、東アジアにおいて軍事緊張が高まっております。そのような情勢下、多くの国が軍拡と軍事同盟の強化をはかっております。更には核戦争、核使用の危険が現実味を増しております。
また、新自由主義経済による格差の拡大で、民主主義を掲げる国々でも移民排斥を主張する自国第一主義の極右政党の台頭が懸念されています。
 現在、日韓両国政府は米国の戦略に呼応し、軍拡に突き進み、平和外交による和解の努力がおろそかにされ、相互不信が強まっております。北朝鮮は韓国に核の脅しをかけ、韓国は北朝鮮に対し、軍事演習と武力を強化しています。日本政府は「朝鮮有事」「台湾有事」を声高に主張して大軍拡に突き進み、北東アジアの危機を煽っています。
日本国憲法は、侵略戦争で多くのアジアの人々に犠牲を強いたことを反省し、二度と戦争を起こさないことを世界に宣言した平和憲法です。しかし、今の日本政府は現憲法を改悪して、戦争をする国にしようとし、既に憲法の理念に反し、核兵器禁止条約に背を向け、大軍拡に突き進んでいます。
真の東アジアの平和と安定、繁栄への道は、何よりも、日本国が平和憲法の精神に則り、植民地支配の負の遺産を清算し、軍事によらない徹底した平和外交を通じて近隣諸国との関係改善、和解を実現することにあります。
現在、日本における歴史修正主義・歴史否定主義は看過できない状況となっています。歴史を歪曲し、差別と偏見を助長する誤った情報があふれている現実に深刻な危機意識を抱かざるを得ません。日本各地において在日外国人を誹謗中傷するヘイトスピーチやフェイクニュースが流されて、不安や恐れが在日外国人の間で拡がっています。又、日本では今年6月から、改悪出入国管理難民認定法が施行されました。この反人権的な出入国難民政策を強く非難し、日本政府が、これを直ちに撤回することを求めます。
 強制動員被害者の請求権を認めた韓国最高裁の判決、そして日本政府に日本軍「慰安婦」被害者に対する賠償を命じたソウル高等法院の判決は、韓国民主化の成果であり、植民地支配被害者の支援と真相究明のために努力してきた日韓の市民運動の成果です。日本政府がこの判決を真摯に受け止め、速やかに謝罪と賠償を行なうことを求めます。
 来年は日本の敗戦、朝鮮半島解放80年です。私たちは日本、韓国の宗教者が相互の立場を尊重しつつ、日韓両国の市民と共に真の和解と平和のために努力していくことを表明するものです。
  2024年10月14日
日本宗教者平和会議 in 韓国ソウル 参加者一同

日本宗教者平和協議会の活動を支える「年末カンパ」と
「被爆者連帯と東日本大震災・原発被災者、能登半島地震支援募金」のお願い


 日頃から日本宗平協の活動を物心両面で支えていただいておりますことに心から御礼申し上げます。
 ロシアによるウクライナ侵略が3年になろうとしています、プーチン大統領による核兵器使用の威嚇が繰り返されています。また、昨年の10月、イスラエルがパレスチナ・ガザ地区への空爆攻撃での市民の犠牲者が数万人と報道されています。いずれも双方が停戦し話し合いで国連憲章を守れと訴えます。
 今年も気象異常でくり返し災害がもたらされました。1月1日の能登半島大地震、9月の豪雨災害被害に遭われた皆さんに心よりお見舞い申し上げます。
 10月には、日本被爆被害団体協議会のノーベル平和賞の受賞に心からお祝い申し上げます。
晩秋から初冬への季節となり、一段と寒さも加わって参りましたが、コロナ、インフルエンザの感染にご留意され、ご活躍されますよう祈念いたします。
 被爆79年の年、日本宗平協は今年も、3月の焼津での被災70年3・1ビキニデー・墓前祭を通年通りに開催しました。ビキニデー集会、宗教者平和運動交流集会も開催しました。
 福島・宝鏡寺での碑前祭、全国理事会開催、原水爆禁止世界大会、「いのちをえらびとる断食の祈り」を執り行い、ABCPのご縁で初めて韓国の宗教者を原水爆禁止世界大会に招待できました。10月には、日本宗教者平和会議in韓国ソウルを開催し、日韓宗教者の交流も図ることができました。
 結成62年を迎えた日本宗平協のさらなる継続、活動を発展させるためにも、なにかと出費の重なる時期ではございますが、日本宗平協の「年末カンパ」などへのご協力を心からお願い申し上げます。家賃の値上げ、10月からの郵便や諸物価の値上げが事務所運営に困難をもたらしています。
 いま、裏金、旧統一協会の自民党への批判のなか、大軍拡、暮らし破壊の増税、物価高、円安を進めるなど反国民的な政治にたいして、総選挙の結果、石破自公政権の過半数割れができ、自民党政治を終わらせる前進といえるでしょう。
 国際法の核兵器禁止条約は22122日に発効し、批准国73カ国に達しました。核兵器による破壊の危険から人類を救うために、新たによびかけられた日本政府に核兵器禁止条約への参加を求める署名をひろげ、いのちを守り平和な未来にかかわる核兵器のない平和な世界のための祈りと行動に取り組んでいかなければと考えております。 
 新基地建設反対の沖縄県民の民意を表明した県民投票の結果を石破自公政権は尊重すべきです。宮古島・石垣島など南西諸島への自衛隊配備は、「日本防衛」とは無縁の対中国〝封じ込め〟の離島防衛に名を借りたもので抗議とたたかいの運動を強めていきます。石破自公政権が進める大軍拡、大増税阻止のために市民とともにたたかいます。
 原発の再稼動を許さず、「原発ゼロ」など、いのちと平和な未来にかかわる諸課題に、「平和の祈りを行動の波へ」と宗教者の責務を果たさなければなりません。
 東日本大震災・原発被害者への募金に毎年取り組んできました。今年も継続いたしますので、ご協力の程、よろしくお願いいたします。日本被団協、広島、長崎へお見舞い金として贈っています。福島の施設へ「ちひろカレンダー」を贈呈しています。
  「被爆者連帯と東日本大震災・原発被災者、能登半島地震支援募金」は、1口1,000円で5口以上お寄せいただいた方には「ちひろカレンダー」を贈呈いたします。
 どうぞ、ご協力くださいますよう重ねてお願い申し上げます。
   2024年11月4日
 日本宗教者平和協議会

      代表委員:榎本栄治 奥田靖二 工藤良任 桑山源龍 
           高木孝裕 殿平善彦 宮城泰年、山崎龍明
      代表理事:荒川庸生 遠藤教温 小野文珖 長田 譲 
           小野和典 鈴木君代 岸田正博 山本光一
   事務局長:森 修覚