稀代の悪法=入管法改定案の参院法務委員会での採択強行に抗議し、即時撤回を求めます


2023年6月8日
日本宗教者平和協議会   事務局長  森 修覚

 本日、参議院法務委員会(杉久武委員長=公明党)で「出入国管理及び難民認定法」(以下、入管法改定案)が自民、公明、日本維新の会、国民民主の賛成多数で採択されました。採決強行に強く抗議し、その撤回・廃案を求めます。共生社会の実現へ、宗教者が沈黙することは許されないと考えます。
 政府は、昨年5月に大きな批判を浴びて実質的に廃案となった入管法改定案を、3回目以降の難民申請者の強制送還を可能とし、退去命令に従わない人に刑事罰「送還忌避罪」を科し、「監理措置」制度を創設するなどその基本を変えずに閣議決定し再び国会に提出してきました。
 日本で暮らす外国人のいのちを危険にさらし、民主主義を否定する入管法改定案は、審議すればするほど立法根拠は崩れています。また審議の過程で、「わが国に本当の難民はいない」との柳瀬房子難民審査参与員の人命にかかわる難民審査の対面審査数など問題が噴出し、法案の根幹を揺るがす問題が次々と表面化しています。先日も大阪入管の医師による酩酊診療報告書、「送還忌避者」の送還目標(ノルマ)を記した一覧表などが日本共産党の仁比聡平参院議員によって公表されるなど、ずさんな処理、人権意識の希薄さに怒りを禁じ得ません。
 母国におられずやむなく出国し、帰国できずに日本に在留し、難民申請をしている外国籍住民を強制送還させる改定案を断じて容認することはできません。
 21年3月、名古屋入管施設に収容中にむごい仕方で死においやられたスリランカのウィシュマさんの事件への根本的反省がないことが示されていると言わざるを得ません。入管と法務省は、なぜ、その管理下で多数の人がいのちを落としたか、その人権侵害構造を遺族と国民に明らかにし、謝罪し改善すべきです。
 岸田首相はことあるごとに他国に対して「法の支配」と「人権の尊重」を訴え求めていながら、自国にあっては国際人権法を守ろうとしない態度をとることは断じて許されません。
 基本的人権はすべての人が生まれながらにして享受することができる侵すことのできない権利です。平和といのちの問題が軽視されており、宗教者の使命が試されています。憲法無視、人権無視の入管法改定案の撤回とその廃案を重ねて強く求めるものです。

「宗教者平和会議in韓国」への参加のご案内


 日本宗教者平和協議会に集う私たちは、これまで日本各地の平和の課題に学びながら、平和への祈りを共にする「日本宗教者平和会議」を全国各地で開催してきました。昨年(2022年)はコロナ禍で延期されてきた北海道の強制連行・強制労働犠牲者の現場である朱鞠内に集うことができ、歴史の事実に学び、犠牲者への追悼を捧げ、東アジアの和解と平和に思いを馳せることができました。
 今年はさらに韓国を訪問し、韓国の宗教者、平和活動家と交流することで、平和への歩みをすすめたいと思い、企画をつくりました。
 日本はかつて朝鮮半島を植民地として支配し、日本軍「慰安婦」問題や強制連行・強制労働問題など戦後にも傷痕を残し続けてきました。岸田政権と尹政権の「徴用工問題」への解決策は被害者を置き去りにした政治決着であり、将来に大きな禍根を残すと思われます。
 東アジアの和解と平和を為政者だけにゆだねることはできないでしょう。宗教者・市民が国境を越えてつながり、植民地主義を克服して平和を求める活動を続けていくことが大切ではないでしょうか。
 今回の韓国での平和会議の目的は ①韓国に残された過去の歴史を学習する ②韓国の平和を求める宗教者・市民と交流することで平和への共同の歩みを探る ③強制労働犠牲者の遺骨が安置されている墓苑を訪れ追悼の祈りを捧げることとします。美味しい韓国料理にも出会いたいものです。
 みなさまのご参加を心からお待ち申しあげます。

原水爆禁止2023年世界大会成功と夏季募金のお願い


 会員・読者の皆様、日頃の日本宗教者平和協議会の諸活動に物心両面からの支えに心から厚く御礼申し上げます。
 昨年2月のロシアのウクライナ侵略と核威嚇、「抑止力」を口実に大軍拡が続いています。「軍事対軍事」ではなく、平和と核兵器廃絶への転換が必要です。
 今年の原水爆禁止2023年世界大会は「被爆者とともに、核兵器のない平和で公正な世界を―人類と地球の未来のために」のスローガンのもと、8月4日から9日まで国際会議、広島大会、長崎大会と開催されます。
 日本宗教者平和協議会は、原水爆禁止世界大会実行委員会の一員として参加しています。大会成功に責任を持つ団体として、宗平協は森修覚事務局長、船水牧夫、鈴木君代代表理事を代表派遣します。大会成功のための募金をお願いするものです。また、今年で39回を迎える8月5日「いのちえらびとる断食の祈り」を通年通り開催します。各宗各派の平和の祈り、原爆犠牲者追悼の祈り、その成功と同時に、新「原爆と人間」展、6日の灯ろう流しなど、これらの成功のために「8・5募金」のご協力をお願い申し上げます。これまで、世界大会、国民平和大行進の分担金(6万円)や諸準備に費用を支出しております。
 この間のコロナ危機により、被爆者組織が深刻な財政難に陥っており、長崎被災協・広島県被団協へ「8・5募金」から支援金を手渡します。
 
 日本宗教者平和協議会は、結成61年を迎え、2023年の運動方針を採択し、決意新たに宗教者の平和運動の全国センターの役割を果たすべき組織と運動を展開していくことを確認しました。これまで運営には、会費、機関紙代を柱にしながら、貴重な募金によって支えられてきました。支出も経費の節約に努めてきております。しかしながら、諸活動の運動の発展や情勢の展開に対応しての行動も求められています。消費税10%、事務所家賃の15%の値上げや郵便振込手数料、メール便が84円から110円、電気代の値上げなどで困難もありますが、運営にも人的配置や機関紙の作成、無償ボランテアで努力していくことを進めております。しかし、全体としての組織運営の費用が足りないのが実情です。依拠するところは、会員・読者の皆様のご協力しかありません。
 つきましては、「夏季募金」をお願いせざるを得えません。出費多端の厳しいところではございますが、どうか「8・5募金」と「夏季募金」をあわせてよろしくお願い申し上げます。
 郵便振込用紙をご利用ください。(青電で記号・番号は下に掲載)
2023年6月

日本宗教者平和協議会

《代表委員》 榎本栄次 奥田靖二 工藤良任 桑山源龍

       高木孝裕 殿平善彦 宮城泰年 山﨑龍明

 《代表理事》 荒川庸生 遠藤教温 長田 譲 小野和典 

       岸田正博 鈴木君代、船水牧夫 山本光一

     《事務局長》 森 修覚