談話 「広島ビジョン」ー「戦争を防ぐ」と核抑止力を正当化
日本宗教者平和協議会・事務局長 森 修覚
5月19日からG7広島サミットが開催されました。4月18日に発表されたG7外相会議コミュニケ(声明)が、核兵器廃絶を「究極の目標」とし、核兵器の役割は「防衛目的」であり、侵略を抑止し、戦争を防止すると核抑止力論を展開したことに示されていましたが、岸田首相は「核兵器のない世界」を主導しているかのように見せかけながら、米英仏の核固執政策に追随しました。
発表された「ヒロシマ・ビジョン」やコミュニケ(声明)が、核兵器が「侵略を防止し、戦争と威圧を防止する」と核抑止力論を展開し、核兵器廃絶を「究極の目標」としたことに示されています。 日本政府は唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約への協力を含め、核兵器禁止・廃絶の努力、普遍的人類愛を提起すべきであり、7月から開始される次回NPT再検討会議の準備プロセスも視野に入れ、合意と誓約の履行を迫ることが求められています。
被爆者のサーロー節子さんが「自国の核兵器は肯定し、対立する国の核兵器を非難するばかりの発言は許されない」との言葉にすべてが表されているように、首脳は「核兵器のない世界」を「究極の目標」として先送りし、「核抑止力」論に固執する姿勢を打ち出しました。「核抑止力」論を打ち破る根本的な力である核兵器の非人道性を告発し、核兵器禁止条約に正面から向き合うよう求め、9条改憲、核共有、敵基地攻撃能力など日本を破滅に導く戦争する国づくりをすすめる政治の転換を求めて、市民と野党の共同の再構築で、政治の変化をつくりだしましょう。日本の未来、子どもたちの未来がかかった危機、諸課題に対し、希望と勇気をもって宗教者の果たすべき役割を発揮しましょう。