年頭所感
代表委員 殿平善彦
浄土真宗本願寺派・一乗寺住職
私たちは昨年12月5日、全国理事会を兼ねて大原光夫さんと大江先生の追悼法要を京都・八幡市の浄泉寺で営んだ。多く参加者があり、心温まる法要になった。大原さんは私とともに1960年代に龍谷大学に学び、学生運動を共にした中である。1973年3月、私は京都宗平協事務局の仕事を切り上げて、故郷の北海道に帰った。送別会の席に、初めて顔を出した大原さんを出席の皆さんに紹介して後を託した。その後の大原さんの活躍は皆さんもご存知の通りである。彼は2021年10月8日命終した。彼の写真を前に読経すると様々な思いが胸中をめぐる。
日本宗平協は1962年に発足したから、昨年は創立60周年だった。この60年間、宗平協に集う多くの先達が日本の宗教者平和運動をリードした。私が初めて宗平協の集まりに参加したのは多分、1965年だったのではないか。壬生照順先生、細井友晋先生、中濃教篤先生、高木幹太先生、鈴木徹衆先生などなど綺羅星の如く運動をリードする諸先輩に出会った。福岡精道先生と清水寺下の食堂で味わった午後のお酒の味も忘れられない。私が先達たちから学んだのは、平和への誠実で一途な活動の姿勢であり、理論においても実践においてもまことに優れた人たちだった。
先達たちは八面六臂の活動のすえ、多くの成果と課題を残して去っていった。さて、60年を終えて、新たな61年目を迎えた私たちである。諸先達の奮闘にもかかわらず、日本はかつてない危機の時を迎えている。日本政府は平和憲法など無かったがごとく、先制攻撃への軍備増強に両手両足を突っ込んでしまった。ヨーロッパではまさかの戦争が終わらぬまま新年を迎えた。私たちは本気で戦争への道に立ちはだかり、本当に平和への道を切り開くことが出るのだろうか。先達の志を忘れることなく、不退転の道を歩まねばならない。
道綽元師は「前に生まれんものは後を導き、後に生まれんひとは前を訪え」(安楽集)と説いた。今こそ宗平協の底力を見せる時ではないか。
2022年12月22日
談 話
岸田政権の「安保関連3文書」閣議決定強行に抗議し撤回を求める
日本宗教者平和協議会 事務局長 森修覚
12月16日、岸田政権は 「安全保障 3 文書」(国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画。以下、 「安保3文書」)の閣議決定を強行した。
宗教の教えに仏説無量寿経の「国富民安・兵戈無用」(国が豊かで民が安心は・兵隊も武器もいらない)や「彼らは剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする。国には国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない」(イザヤ書2章4節)からも「3文書」の閣議決定は断じて許されない。
「安保3文書」は、これまで歴代自民党政府も「建前」としてきた「専守防衛」の原則を事実上投げ捨て、ア メリカと共に他国を先制攻撃・全面攻撃できる軍事大国の道へと日本の進路を切り替えようとするものである。このような重大な決定を、国会にも諮らず、選挙で主権者国民に信を問うこともなく、密室の閣議決定で 行うことは暴挙というべきであり、断じて許されない。私たちは、断固として抗議し、その撤回を求めるもの である。
「安保3文書」は、「我が国から有効な反撃を相手に加える反撃能力を保有する」ことを明記した。そして、 アメリカがイラク戦争などで他国攻撃に多用してきたトマホークミサイルの大量購入はじめ、日本から他国 を直接攻撃できる長射程ミサイルの大量開発・配備計画をおしすすめようとしている。これは、憲法9 条の下で許されない
「安保3文書」は、この軍拡の裏付けとして、「2027年度において防衛力の予算水準が現在の国内総生産(GDP)の2%(※11 兆円規模)に達するよう所要の措置を講ずる」とし、岸田政権は今後5年間で防衛力整備 に 43 兆円程度を支出することを決定した。これは、過去 5 年間に支出された防衛関係予算の1.6倍に当たる。この財源として政府は、復興特別所得税の半分を軍事に回すという許しがたい流用をおしすすめ、また、 「防衛力強化資金」の名で、医療関係の積立金やコロナ対策費の「未使用分」など、本来、医療や暮らしに支 出されるべき予算が流用されようとしている。
「安保3文書」は、平和憲法を無視・蹂躙するものであり、憲法を尊重する立場からは、憲法に真反対の施策に従う義務はありません。むしろ 憲法前文に書いてある、日本国民が 全力をあげて崇高な理想と目的を達成することに力を尽くすべきです。日本が進むべき道は、軍事同盟強化で他国と軍拡競争を激化させる道ではない。憲法前文と9条を活かした平和外交で、軍縮と平和を実現する道である。軍事ブロックによる対抗と排除ではなく、立場の違うすべての国が参加して紛争を平和的に解決する平和の枠組みを実現する努力である。
日本宗平協常任理事会、京都八幡市で開催される
12月5日、午後2時から八幡市「浄泉寺」にて、日本宗平協常任理事会・大原光夫さん、大江真道さんを偲ぶ会が催されました。関東方面のズーム参加者7名を始め、東京1,北海道1,大分1,岐阜2,大阪2,奈良、滋賀、和歌山が各1、京都8の18名が現地参加。合わせて25名が参加しました。常任理事会では、林正道日本宗平協議事常任理事が議事を進行、「統一協会と創価学会」と題して、群馬の日蓮宗僧侶の小野文珖さんが講演。群馬における統一協会と韓国の創価学会の動きについて、政教一致の問題点を指摘されました。
その後、3・1ビキニデーの取組みなどについて議論。
大原さん、大江さんを偲ぶ会では、遺族も含めて思い出話に花が咲きました。