総選挙後の改憲問題の新たな局面を迎えて
2021・11・12 九条の会
10月31日に衆議院議員選挙が行われ、自民党は議席を減らしたものの単独過半数を維持し自公政権の存続が決まりました。維新の会の大幅議席増により自公と維新を合わせた改憲勢力は334議席となり、衆議院の3分の2を超える議席を獲得した結果、改憲問題は、新たな局面を迎えました。
岸田文雄首相は、自民党総裁選の最中から「任期中の改憲実行」、「敵基地攻撃能力」保有の検討を繰り返し表明しました。それを受けて総選挙に向けての自民党公約も、「敵基地攻撃能力」保有、防衛力の大幅強化と並んで、「早期の憲法改正」の実現を明記していましたが、総選挙の結果を踏まえて、岸田政権は、安倍政権以来の改憲策動の強化に踏み切る構えです。
岸田政権がまず手をつけようとしているのは、安倍・菅政権が推進した9条破壊の加速化です。対中国の軍事同盟強化を目指した「国家安全保障戦略」と「防衛計画の大綱」の改定を来年末までに強行し、中国を念頭においた「敵基地攻撃能力」の保有、日米共同演習の強化、そして辺野古基地建設強行などを推し進めようとしています。
同時に、岸田自民党は、憲法9条明文の改憲にも踏み込むべく、臨時国会における憲法審査会での改憲案討議入りを狙っています。維新の会松井一郎代表の「来年参院選と同日に改憲国民投票を」という発言や国民民主党との憲法審査会毎週開催合意は、こうした自民党の明文改憲への策動を応援するものです。
しかし、日米軍事同盟強化と改憲という途は、米中の軍事対決・挑発を激化させ、日本と東北アジアの平和の実現に寄与するどころか、それを遠ざけるものです。明文改憲、9条破壊の策動を阻止しなければなりません。
9条の会をはじめとした市民の草の根からの運動は、自民党などによる改憲の企図を阻み続けてきました。とりわけ、安倍政権の下、衆参両院で改憲勢力が3分の2を占めて以降も、市民と野党の共闘の頑張り、幾次にもわたる全国統一署名運動、それに鼓舞された立憲野党の奮闘により憲法審査会での改憲案審議を行わせず、19年参院選では改憲勢力3分の2を打ち破って安倍改憲を挫折に追い込みました。来年の参院選に向けた新たな改憲の動きに待ったをかけるのも、この市民と野党の共闘の力以外にはありません。
この力に確信を持って、市民の皆さんが、改憲と9条破壊の阻止のため、決意を新たに立ち上がられることを訴えます。
第33回谷本清平和賞
今年の受賞者はピースボートの川崎哲共同代表
「第33回谷本清平和賞」の贈呈式が広島市内で開かれました。
この賞は、被爆者支援に尽くした広島流川教会の故谷本清牧師の遺志を継ぎ1987年に創設されました。
今年の受賞者はピースボートの川崎哲共同代表でした。
川崎さんからご招待をしていただき参列しました。
これまでうかがっていた内容もありましたが、新たな視点もあり、とても感動する50分余りの講演を川崎さんはされました。
核戦争への危機はもちろんのこと、今日の気候危機という地球的規模でのご指摘もありました。
被爆者への感謝の念と共に、ピースボート、ICANでの活動、核兵器禁止条約締結への歩みを語られました。
核兵器がまぎれもなく非人道的兵器であり、違法であることを明確に示され、核廃絶の終わりの始まりであることに納得しました。
岸田政権への要望もよく分かりました。①核禁条約への加盟意思を目指す。②来年の締約会議にオブザーバーとして参加する。③核の先制不使用を表明する。
核抑止論については、道徳性、伝染性、実効性、結果責任性に問題がある点についても教えられました。
核抑止論は差別意思と表裏一体であり、見殺しをしても構わないという発想の指摘は、今日の東アジア、在日の人たちに対するヘイトスピーチなどに見られる「敵視論」を思い起こし、とても心にストンときました。
最後に指摘されましたが、日本国憲法(前文、9条)・国連憲章を守る事の大切さで締めくくられた点では、宗教界を含めた大きな連携の大切さを自覚させられました。
*「敵視論」に関しては、川崎氏の生い立ちに関わって、ソ連(小学生)、テロリスト(大学生)、東アジア(大人)という捉え方に、目が覚めました。
広島宗平協・吉川徹忍
声明
改憲派が議席3分の2維持の総選挙結果を踏まえ、
市民の共同、市民と野党の共闘で、憲法を守り・生かす世論と運動を更に大きく
憲法蹂躙、国民の命と暮らしをないがしろにする自公政権の維持か、市民と野党の共闘で政権交代を実現するかが焦点となった10月31日投開票の衆議院総選挙の結果、自民党が15議席減らしたものの「絶対安定多数」を得るなど、自公与党が政権を維持する結果となりました。
また、これまでも自公政権を補完してきた日本維新の会は、自公政権に不満をもつものの立憲野党支持に回れなかった人々の支持を得て、前議席数の4倍近い議席を得ました。
この結果、自民、公明、維新を合わせて334議席となり、衆議院では選挙前と同様に改憲派が3分の2を占める事態となりました。
一方、立憲野党は市民連合と4野党の「共通政策」、日本共産党と立憲民主党による共通政策実現の「政権協力」、各党が候補者を一本化した「選挙協力」の3点揃った総選挙体制を実現させ、甘利自民党幹事長を小選挙区で落選に追い込むなど、多くの選挙区で接戦にもつれこむ選挙戦を展開しました。しかし、れいわ新選組は3議席を確保、社民党は1議席を維持したものの、立憲民主党や日本共産党は議席を減らしました。
この結果、改憲阻止に向けたたたかいは厳しさを増しています。
自民は総選挙公約でも改憲4項目を示し、「衆参両院の憲法審査会で憲法論議を深め、改正原案の国会提案・発議を行い、国民投票を実施し、早期の改正を実現することをめざす」ことを掲げました。さらに、敵基地攻撃能力の保有や軍事費の対GDP比2%以上の増額なども主張しました。そして、岸田首相は選挙後の記者会見で、「党是である憲法改正に向け精力的に取り組んで行きます。与野党の枠を超え、憲法改正の発議に必要な国会での3分の2以上の賛成を得られるよう議論を深めていく」と改憲に積極的に取り組む姿勢を示しています。
今回の選挙結果を受けて、岸田首相や自民、そして公明、維新の会による改憲に向けた新たな策動に警戒しなければなりません。しかし、総選挙の公約で、公明は「多くの国民は自衛隊を違憲の存在とは見ていない」と9条改憲には消極的な姿勢を示し、維新の会は改正条項に「教育の機会均等」「統治機構の改革」を掲げ、改憲条項での考えの違いが明らかになり、3党の議論が進む見通しは今のところ立っていません。
国民の意思は、総選挙中の10月16日発表の「読売」の世論調査で、「投票の基準とする政策」について「憲法改正」は10項目の最下位となるなど、少なくとも今「憲法改正する必要はない」と明確です。何よりもコロナ対策や社会保障、外交や安全保障は憲法を生かしてこそを望んでいます。今こそ、市民の共同と市民と野党の共闘を強化し、「憲法を守り・生かそう」の声をいっそう大きくし、立憲野党を励まし、憲法9条をはじめとする改憲と敵基地攻撃能力の保有や軍拡など「安全保障戦略」構想の具体化、戦争への道を許さず、憲法が生きる社会・政治を実現させるため、改憲勢力維新の会への徹底批判も強め、岸田政権の早期打倒をめざし、引き続き奮闘し合うことを呼びかけます。
2021年11月2日
憲法会議(憲法改悪阻止各界連絡会議)
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-32 金子ビル103
℡03-3261-9007 Fax03-3261-5453
メールアドレス:mail@kenpoukaigi.gr.jp
〖日本宗教者平和協議会が加盟している団体です。〗
沖縄本島南部土砂採取計画の撤回を国に要請する陳情書提出のお願い
防衛局は沖縄本島南部の土砂を辺野古新基地建設の埋め立てに使う計画を辺野古新基地建設設計変更 申請(2020年)の中で明らかにしました。 沖縄戦では沖縄住民、日本将兵併せて24万人もの犠牲者をだしました。その半数は沖縄本島南部で亡くなっています。戦後、遺骨は沖縄住民の手によって回収されましたが、今でも多くの遺骨が本島南部の土の中に眠っています。いまなお多くのボランティアによって現在も遺骨収集が行われています。 沖縄だけの問題ではありません。全国の問題です。
私たちは防衛局に対して本島南部の遺骨の眠る土砂を辺野古の埋め立てに使用することを断念するよう求 め、2021年7月に全国の自治体の議会に対して「沖縄防衛局は悲惨な沖縄戦の戦没者の遺骨が眠る土砂を 埋め立てに使用しないことを求める意見書」を議決するよう要請してきました。現在、9月議会で意見書を採択した議会は132になります。さらに多くの自治体に意見書の採択を求めたいと考えています。
まだ意見書が採択されていない市町村にお住いの皆様から陳情書を市区町村議会に送付してください。皆様のご協力をよろしくお願いいたします。
2021年11月20日
ガマフヤー具志堅隆松、島ぐるみ宗教者の会、「ガマフヤー」を支援する会
問い合わせ先 090-3339-6474(谷)、https://action-nanbudosya.jimdofree.com/
陳情書見本はこのホームページからダウンロードできます。