東京革新懇アピール

都議選で立憲野党、わけても「三つの共同目標」(平和、民主主義、生活向上)を掲げる勢力の勝利をめざしましょう

2021年5月

18日東京革新懇代表世話人会6月25日告示、7月4日投票の都議会議員選挙が迫ってきました。今回の都議選は、開発優先の都政から福祉優先の都政への転換、その中でもコロナ感染対策が最大の争点であり、小池都政のコロナ対策に対する都民の不満がひろがるもとで、また、政府のコロナ対策への国民の批判が急激に高まり、内閣不支持率が上昇するもとでたたかわれます。
5月14日に開催された「市民と野党の共闘で都政の転換を」めざす呼びかけ人会議では、立憲民主党、日本共産党、社会民主党、新社会党、緑の党の代表が、都議選での共闘と都政の転換、総選挙勝利につなげる挨拶を行っています。「市民と野党の共闘」を力に、地方自治体選挙における共同が前進しています。
今回の都議選は、都政の動向に大きな影響を与えるとともに、総選挙に連動し、野党連合政権樹立への流れをつくる歴史的な選挙です。
今回の都議選で、立憲野党の勝利、わけても「三つの共同目標」を掲げ、「市民と野党の共闘」の推進勢力の勝利が情勢を動かすカギを握っています。各革新懇や賛同団体は、それぞれの条件に応じた取り組みを強めましょう。以上

2021年5月24⽇

日本宗教者平和協議会 全国理事会を開催


5月24日、日本宗教者平和協議会はZOOMで全国理事会を開催しました。
冒頭、宮城泰年代表委員が開会あいさつ、議長に荒川庸生代表理事を選出、森修覚事務局長が運動方針案、財政報告案、役員案を提案、討論を行いました。議案は出された意見を補強して採択されました。殿平善彦代表委員が閉会あいさつを行いました。16か所で26人が参加しました

運動方針

■はじめに
日本宗教者平和協議会(日本宗平協)は結成(1962年4月12日)以来、「平和の祈りを行動の波へ」と、宗教者・教団の戦争協力・加担の責任の自覚とその反省に基づき、人権など生きとし生けるものの尊厳を守り、信教の自由・政教分離、9条改憲阻止、戦争法廃止、辺野古新基地建設阻止、核兵器のない世界、原発ゼロ、安倍後継の菅政権の暴走ストップなどの諸行動に宗教・信仰の違いをこえ、「殺すな、殺させるな、殺すことを許すな」、二度と戦争の惨禍をくり返させないための歴史的たたかいの一端を担ってきました。
新型コロナウイルス感染症の世界的パンデミックは、私たちに人と人との絆の重要性を再認識させ、他者とともに歩むことがどんなにかけがえのないことかを深く考えさせるものとなりました。3回の緊急事態宣言が出され、宗教界でも葬儀の延期や法事の中止・縮小など相次いでいます。コロナ禍という困難のもとですが、菅政権の強権と「自己責任」押し付けをはねかえし、この未曽有の危機をのりこえ、国民が希望をもって暮らせる日本とするために声をあげましょう。
菅義偉首相はバイデン米大統領との首脳会談で「日米同盟を一層強化する」と、日米軍事同盟を全面的に強化する方向を打ち出しました。地球的規模での日米の軍事的共同を全面的に推進し、核兵器禁止条約など平和を求める世界の流れに逆行し、中国への軍事的対応の強化、軍事対軍事の危険な悪循環、軍拡に突き進む危険きわまりないものです。
二度と戦争への道を歩ませてはならないと道理に基づき、「憎悪の連鎖」を断ち切ろうと59年にわたる歩みを続けてきた諸先達の方々の歩みに思いを馳せ、憲法9条を守り生かし、核兵器禁止条約が発効した現代に生きる宗教者として人類の生存と文明の存続がかかっている諸課題で役割を発揮していきましょう。
国会では、ウソと隠蔽の政治が極まり、「数の力」による強行採決など、民意を踏みにじり、国会を愚弄する憲法破壊、国民主権と議会制民主主義破壊の強権政治の無法が横行しています。権力は監視しないと腐敗します、衆議院議員の任期満了(21年10月21日)が迫っており、今年中に総選挙が必ず行われます。来たるべき総選挙を、政権交代、野党連合政権を実現する歴史的選挙とするために力をあわせて頑張り抜きましょう。いのちと平和な未来にかかわる諸課題で宗教者の取り組みをすすめ、市民と野党の共闘という壮大なたたかいに合流し、勝利をかちとり、新しい希望ある政治に道を開き、政権担当能力を欠く自公政権に代わる新しい政権を実現しましょう。

【Ⅰ】「平和の祈りを行動の波へ」
(1)9条改憲阻止、「戦争する国」を許さない
安倍自公政権は、改憲右翼団体「日本会議」と一体に特定秘密保護法( 13年)、集団的自衛権行使容認の閣議決定(14年)、安保法制=戦争法(15年)、共謀罪(17年)など、「戦争する国」づくりに暴走してきました。
安倍後継の菅義偉首相は、去る5月3日の日本会議系の改憲集会に「憲法改正に関する議論を進める最初の一歩として、まずは国民投票法改正案の成立を目指す」と述べ、「その上で、憲法審査会においては与野党の枠を超えて建設的な議論を重ね国民の理解を深めていくべき」だとのメッセージを寄せるなど、法案の採決をあおり、三権分立にも憲法尊重擁護義務にも反する改憲議論を主張するとともに、「9条への自衛隊明記」を含めた自民党改憲4項目にも触れ、コロナ対応をめぐり緊急事態条項の必要性に言及するなど、9条改憲、「戦争する国」づくりの「決意」を表明しました。
菅政権は、感染症や大規模災害への対応のために緊急事態条項が必要だと自分たちの政治責任を放棄し改憲をおしすすめようとしています。立憲主義、平和主義、民主主義を回復するための取り組みが引き続き求められています。自民党は、自衛隊の明記、高等教育の無償化、緊急事態条項の創設、参院の合区解消という改憲4項目を掲げています。
今年の憲法記念日あたって自民党は、「『国民投票改正案』ついて今国会で立憲民主党との間で合意される一方、憲法審査会の議論でも野党から積極的な意見が出されるなど、憲法改正実現に向けた歩みは、着実に前進している。国会で活発な議論を行い、国民に理解されるよう、全力を尽くす」と述べ、公明党も「国民投票法改正案の早期実現に努める」と表明。新型コロナウイルス禍の最中に改憲議論にかかわる法案審議をすすめることへの厳しい批判のなか、衆院本会議で共産党を除く与野党の賛成多数で可決され、衆院を通過しました。良識の府・参議院での徹底審議、廃案を求める声をひろげるなど、改憲策動に終止符を打つ取り組みは急務です。「9条の会」など草の根からの運動をひろげ、衆院選での審判で改憲策動を葬り去りましょう。
米軍への「思いやり予算」を廃止し、「敵基地攻撃」能力保有のための大軍拡に反対し、日米地位協定の抜本的改正に取り組み、日米安保条約を廃棄しましょう。
(2)信教の自由、政教分離のために
国民主権、政教分離の原則など現行憲法の精神、日本国憲法の定める「思想・信条の自由」(19条)、「信教の自由」(20条)、「表現の自由」(21条)の市民的自由が全面的に保障される社会をめざしましょう。各人の思想・良心の自由に合理的な根拠もなく立ち入ることは許されません。憲法9条改憲、「戦争する国づくり」の完成を許さず、この大原則を守り広げることが重要です。
憲法前文では「主権が国民に存する」ことを宣言し、第1条は「(天皇の)この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」とあります。今後の天皇制を決めるのは主権者国民です。自公政権は「日本会議」とともに、天皇「代替わり」を利用し、戦後の「平和な日本」を屈辱的な「戦後レジーム」と否定し、戦前のような「強い日本を取り戻す」ためにと憲法改正に執念をもやしています。
また、国民の思想、情報、宣伝に重要な影響をもつマスコミへの介入を強めており、「表現の自由」「知る権利」を守り、民主主義と言論の自由、主権在民や信教の自由、政教分離を定めた日本国憲法を守り抜くことが求められています。
(3)核兵器廃絶、世界大会・断食のいのり、ビキニデー・墓前祭
今年1月22日、圧倒的多数の国の政府の支持と世論の高まりのなかで、核兵器禁止条約が発効しました。核兵器の使用、威嚇、開発、実験、製造、貯蔵などすべての活動が違法と宣言されました。これまで「核の傘」の名で核兵器に依存してきた国々で、「核兵器による安全」から「核兵器のない世界による安全保障」へと、新たな行動が起こっています。核兵器保有競争は人類滅亡への道です。
こうしなかで原水爆禁止2021年世界大会が、「被爆者とともに、核兵器のない平和で公正な世界を―人類と地球の未来のために」をテーマに被爆76年の8月にオンライン開催と、2021年「平和の波」行動(8月6日8時15分開始、9日11時2分終結)が呼びかけられており、被爆地の宗教者との交流・連帯、全国各地で取り組まれている「平和の鐘」打鐘や「原爆展」開催、被爆者援護募金、署名行動などに取り組みます。
核兵器禁止条約を力に、市民社会と諸国政府が力を合わせて「核兵器のない世界」への道をきりひらく、新しい時代の始まりです。5月6日に東京・夢の島の第五福竜丸展示館前からスタートした「平和行進」が日本政府の禁止条約への参加を求める世論を広げています。
日本政府は、禁止条約を支持する非核国と核保有国の「橋渡し」をすることを外交方針として重視し国連総会に決議「核兵器のない世界に向けた共同行動の指針と未来志向の対話」を提出しました。決議案は、核兵器廃絶を「究極」の課題と位置づけるなど核兵器固執の立場で禁止条約を完全無視し、核不拡散条約(NPT)第6条の核軍縮交渉義務や「核兵器廃絶の明確な約束」(2000年)などの合意や核兵器の非人道性への「深い憂慮」の削除への非核諸国から厳しく批判されるなど「橋渡し」役の破綻が鮮明となりました。
日本政府に唯一の戦争被爆国にふさわしいイニシアチブを発揮させましょう。禁止条約への参加を求める取り組みが重要になっています。日本政府に改めて核兵器禁止条約への調印・批准を求めましょう
今年の世界大会は、1955年の第1回大会以来、核戦争の阻止、核兵器全面禁止・廃絶、被爆者援護・連帯の三つの課題を基本目標として国際政治と各国の政府に働きかけてきた原水爆禁止運動にとって、まさに特別に重要な大会です。
コロナウイルス感染拡大が続くなかですが、今年の世界大会をこれまでの経験を生かし、広島、長崎で被爆者と連帯する可能な行動も追求しつつ、8月に広島での関連行事「いのちをえらびとる断食のいのり」、「原爆犠牲者追悼の祈り」と「灯ろう流し」、長崎での「非核・非戦法要」など、宗教者の独自の取り組みを通して平和の訴えを広めていきます。
被災67年久保山愛吉墓前祭では1月22日に核兵器禁止条約発効を記念して「久保山愛吉氏の言葉「原水爆の犠牲者はわたしを最後にしてほしい」を京都・聖護院門跡・宮城泰年師の揮毫でバンダナ・ハンカチを作成しました。
今年度も久保山愛吉墓前祭を主催し、「3・1ビキニデー集会」の成功に寄与するとともに、独自に「被災68年宗教者平和運動交流集会」の開催を予定し、成功させます。
(4)日本宗教者平和会議
10月の国連軍縮週間に呼応する日本宗教者平和会議は、日本宗平協が主催し、開催地をはじめ広範な宗教者に参加をよびかけて開催してきました。日本宗教者平和会議開催の意義は、毎年時宜にかなったテーマを設定しながら平和を希求する宗教者としての学びを具体的な実践に結びつけていくことにあります。
昨年度の日本宗教者平和会議は、「戦後75年―問われる侵略戦争と植民地支配から和解と希望へ」(仮題)をテーマに10月に北海道で開催を予定し、準備をすすめてきましたが、コロナ禍で残念ながら延期せざるを得なくなりました。
引き続き今年の10月開催へ地元と相談を重ねてきましたが、状況に鑑み、今年の開催についても延期し、来年の開催を検討します。なお、今年の国連軍縮週間に関連した企画について検討します。
(5)沖縄県民に連帯し、辺野古新基地建設を許さない
沖縄県の広範な宗教者によって結成された「辺野古新基地を造らせない島ぐるみ宗教者の会」(略称・島ぐるみ宗教者の会)のたたかいへ引き続き連帯し、日米地位協定の一日も早い抜本的改正など、憲法9条にふさわしい安全保障政策の実現と、民意無視、強権的な米軍新基地建設を許さず、基地被害根絶のために取り組みます。
沖縄戦犠牲者の遺骨を38年間収集してきた遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松さんの「戦没者の遺骨がまじった土砂を辺野古新基地建設に使うなんて、死者への冒涜です」「戦争で亡くなった人の遺骨を、土砂と一緒に軍事基地を造るための埋め立てに使ってはならない」の訴えに応え、「島ぐるみ宗教者の会」や平和をつくり出す宗教者ネットなどとともに日本宗平協も呼びかけ団体として「宗教者共同声明」を20年12月に発表しました。戦争で命を奪われた方々の遺骨を軍事基地建設に利用することなど、命を尊ぶ宗教者として許すことはできません。
埋め立て予定地の軟弱地盤など技術的にも実現が困難視されていますが、名護市辺野古の軍港を持つ耐用年数200年という新基地建設を許せば、米海兵隊の海外侵攻、「殴り込み」作戦のための一大出撃拠点とされます。基本的人権の尊重、平和主義、民主主義、地方自治という日本国憲法の原理を踏みにじる基地建設強行は絶対に許せません。
5月15日、沖縄本土復帰49年を迎えました。凄惨な沖縄戦とそれに続く27年間の過酷な米軍支配のもとで沖縄県民は日本国憲法の下での基本的人権の保障と基地のない平和な沖縄の実現を求めてきましたが、沖縄には今なお全国の米軍専用基地面積の7割が集中し、基地に起因する被害に苦しみつづけています。来るべき総選挙を新基地建設に固執し、県民の願いに背を向ける自公政権を終わらせる機会としましょう。
「美しい宝の海を守ろう」との世論と運動を全国でいっそう強めつつ、新基地建設計画を完全撤回させ、普天間基地の無条件返還を求めます。
(6)原発ゼロの未来を
生きとし生けるもののいのちと、かけがえのない地球をまもり、原発に依存しない社会を目指していくことは不可欠です。東日本大震災から10年。東京電力福島第1原発の重大事故はいまだに収束せず、住民の避難生活も続いています。原発の再稼働を中止し、「原発ゼロ」、地球規模の環境破壊を止めること、「核兵器とも原発とも人類は共存できない」は宗教者としての基本的命題であり、人間を中心とした復興、原発廃止・再稼動反対を、原発被害者支援活動と併せて主要課題として取り組んでいきます。
私たちはこれまで3月の「諸宗教による祈りの集い」開催に協力するなど、東日本大震災・原発事故被災地を訪れ、各宗教・宗派による祈りをともにしてきました。
今年の3月11 日には東京上野東照宮に30年間灯されてきた「広島・長崎の火」が「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマを結ぶ『非核の火』」として福島・楢葉町の宝鏡寺に点火され記念式典と「原発悔悟・伝言の碑」除幕式が開催され、合流しました。引き続き被災地の人びととともに原発ゼロ、自然との共生、再生可能エネルギーへの根本的転換の道を切り開くために「祈りの集い」への協力を継続していきます。
運転開始から40年を超えた福井県の関西電力高浜1、2号機、美浜3号機の再稼働に福井県知事が同意しました。「脱炭素」を根拠に40年ルールを骨抜きにしかねない原発再稼働に強く反対します。
菅政権は漁協や被災地の声を無視し、東京電力福島第1原発でタンクにためている放射能汚染水について海洋放出処分とすることを決定しました。政府と東電は、被災地復興への責任を自覚し、復興に逆行する海洋放出の方針を撤回すべきです。また、2020年3月に全国の宗教者211名によって提訴された「宗教者が核燃料サイクル事業廃止を求める裁判」が進められています。今年の3月末までに原告団は239名に達し、更に第3次の原告団が募られています。
『原子力法制は宗教者信仰者の存在をかけた倫理と信仰から到底認めることができないこと、全ての人が安心して生きる権利を保障する日本国憲法に違反していること、何よりも核と命は共存できないというシンプルな訴え』を支援していきましょう。」
被害者切り捨てを許さず、連帯して被害者救済を勝ち取ろうと「原発被害者訴訟原告団全国連絡会」が結成され、各地で「原発避難集団訴訟」が取り組まれています。原発事故による放射能汚染は、多くの住民の暮らしと生業(なりわい)に深刻な影響を及ぼしました。被災地福島とともに国と東電は責任を果たせを要求し、福島の真の復興と原発ゼロ基本法の制定、再生可能エネルギーへの転換をめざし、原発ゼロの未来をつくりましょう。
(7)個人の尊厳、人権擁護、多様性尊重、格差是正
憲法は法の下での平等、個人の尊厳、人権擁護を定めています。人間の平等を基本に、貧困や差別のない社会、子どもの虐待、女性差別を許さず、高齢者、障がい者、LGBT(性的マイノリティー)などの権利と尊厳を守り擁護などジェンダー平等社会の実現、個人の尊厳の尊重など多様性を大切にする社会をめざします。
今年3月には名古屋の入管でスリランカの女性が亡くなりました。2007年以降の15年間で少なくとも17人の外国人が各地の入管施設に収容されて死亡したと報じられています。外国人の人権と尊厳が損なわれている痛ましい現状が浮かびあがります。政府が国会に提出した入管難民法の改定案は、国連の人権機関からも厳しい意見が寄せられていますが、収容が原則であること、期限の定めもない入管の権限を強め、非正規滞在の外国人をより苦しい状況に追い込む恐れが大きいものであり、人権保障の基準を満たしていないもので廃案にすべきです。5月18日政府は今国会の成立を断念しました。市民と野党共同の勝利です。
人権を蹂躙する非人道的な外国人労働者への差別解消と権利の保障、難民認定制度、入国管理法の抜本改正を求めます。異なる民族集団・伝統に生きる人びとの間によりよい関係が築かれるよう、宗教者の立場から声をあげます。宗教者が各地で支援に取り組み、寺院、教会が「駆け込み寺」の役割を果たしていることに連帯します。
民族的権利の保障と伝統文化の継承・発展、民族の尊厳の保障とともに、特定の民族や人種、集団、とりわけ在日コリアンの人びとへのヘイトスピーチは断固として根絶されなければなりません。旧日本軍「慰安婦」、徴用工問題など、朝鮮半島の植民地支配への反省が正面から提起されています。過去にどう向き合うかは、未来をどうつくるかにかかわっています。教団の戦争責任を真摯に問いつづけなければなりません。
関東大震災朝鮮人犠牲者追悼行事、朝鮮人強制連行・強制労働とそれに伴う広島・長崎での被爆死を生んだ歴史などを想起し、こうした問題を記憶に留め、伝えつづけることこそが未来への展望を開くことになります。戦争責任への視点を決して曇らせてはなりません。遺骨返還運動の取り組みを支援します。
本人が知らないところで警察など公権力が法律で定められた権限を超えて、一般市民を監視し、個人情報を収集するなど言語道断です。県と国を相手に損害賠償と収集された個人情報の抹消を求める大垣市警察市民監視事件の裁判を支援し、監視社会を強化する「共謀罪」の廃止を求めます。
行政のデジタル化を通じて集まる膨大な個人情報を大企業の儲けの種に利用しようと菅政権が重要法案としてきたデジタル関連法が5月12日、参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立しました。9月に発足するデジタル庁には強力な権限が与えられようとしています。「デジタル化」は、プライバシー権を危うくする重大な問題があります。情報の自己決定権など個人の権利を保障するルールづくりが求められています。
LGBT(性的マイノリティー)への差別解消を目指す法案が、完全ではないものの一旦与野党の合意に達しました。しかし、自民党はそれを「理解増進」の名目で後退させようとしており、「道徳性」や「種の保存」の言葉によって、当事者の尊厳を貶め否定することを恥じません。あらゆる命を等しく尊ぶ宗教者として社会の偏見と無理解に苦しむ人々の側に立ち、一個の人間としての尊厳を奪う個人や政党・団体の言動や、それを助長する社会の風潮に、断固反対します。また、差別解消のための具体的措置を盛り込み、当事者の納得を得られる法律の制定を求めます。
憲法13条の「幸福追求の権利」、第19条の「思想良心の自由」の擁護のために引き続き努力します。憲法第25条は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあります。社会保障の権利を否定する医療・福祉の改悪を許さず、格差是正、環境保護、持続可能な経済発展を求めます。寺院、教会などでのフードバンク、子ども食堂などの取り組みに連帯します。
過去最大の軍事費を計上する一方で、社会保障は切り捨てられてきました。憲法に明記されている生存権がないがしろにされています。「誰一人取り残さない」というSDGs(持続可能な開発目標)の達成に思いを寄せましょう。
(8)国際問題について
バイデン米民主党政権が発足しました。総額1兆8000億ドル(約200兆円)規模の新たな経済政策が提示されるなど、トランプ前共和党政権の大企業、富裕層優先、米国第一主義からの政策転換も打ち出されています。一方、中国に対抗し、沖縄をはじめフィリピンなどの「第1列島線」に地上発射の中距離ミサイル配備など、台湾や南シナ海での有事をにらんだ新たな作戦構想を打ち出すなど、軍事力の増強を競い合う軍拡に突きすすもうとしています。
「息ができない」。これは、アメリカの歴史の中で虐げられ、そして今も差別に苦しんでいる黒人社会全体の叫びです。
中国・新疆ウイグル自治区でのウイグル人と宗教的イスラム系少数派への中国政府の弾圧は人道に対する罪であり厳しく非難されなければなりません。中国全人代で李克強首相は政府活動報告で、ウイグル族やチベット族などの少数民族対策として「中華民族共同体意識を確立し、各民族の共同団結と奮闘を促す」とし、「宗教が社会主義に適応するよう導く」と述べました。深刻な人権抑圧は国際問題であり、国際法を守れの声で包囲することが大切です。香港問題を含め、中国政府に直ちに人権侵害、宗教弾圧をやめ、国連憲章と世界人権宣言など国際法の尊重を強く求めます。
ミャンマーにおける2月1日の国軍の軍事クーデターに「武力による制圧は、死と悲しみと恨みを生むだけで何も解決せず、平和な生活を生み出すことはありません」と憂慮する全日本仏教会理事長談話が発表されました。ミャンマー国軍は武力弾圧をただちに中止し、法の支配、民主主義、人権尊重の順守、総選挙で民主的に成立した国民民主連盟(NLD)政権への原状復帰を強く求めるものです。
聖地エルサレムでの衝突を経て、パレスチナのイスラム組織ハマスは5月11日、イスラエルの主要都市にむけてロケット弾130発を発射しました。この攻撃の前にはイスラエル軍がパレスチナ自治区のガザを空爆しました。こうした衝突の激化の背景には、トランプ大統領(当時)が昨年1月、エルサレムについてイスラエルの不可分の首都として続けることを内容とする中東和平案を発表し、パレスチナを独立国家とすると同時に、ヨルダン川西岸のイスラエル入植地でイスラエルの主権を認める内容だったことがあります。東エルサレムのユダヤ人入植地からパレスチナ人を家族ごと追い出す動きにパレスチナ人が怒りを強めていました。希望を殺すことは絶対にできません。
ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は世界の軍事費が前年比2・6%増の1兆9810億ドル(約213兆7700億円)で、1988年以降の最高額を更新したと発表しました。新型コロナウイルスの感染拡大で各国が経済的打撃を受けるなか、アメリカ、中国、ロシアなど上位を占める国々が軒並み軍事費を増加。日本は1・2%増の491億ドルで9位でした。軍事費を削って暮らし、福祉、コロナ対策など私たちの命を守るために使えの声を挙げましょう。

【Ⅲ】宗教者の平和の願いを総結集する日本宗平協の組織の充実・発展を
日本宗平協の特質は、多様な宗教が活動する日本の宗教事情に照応し、宗教の違いをこえて①全国に加盟組織と会員を持った恒常的運動体であり、②統一した方針のもとに活動し、③同一機関紙で結ばれ、④独立した財政基盤を持ち、⑤日本の平和と民主主義のために自主的自覚的に運動している諸団体と連携し、⑥国際連帯を追求する、という他に例を見ない宗教者の平和運動組織です。
3・1ビキニデー久保山愛吉墓前祭、全国理事会、原水爆禁止世界大会、宗教者平和会議の4大取り組みを結節点とする運動に全力で取り組みます。これらを成功させるためにふさわしい体制を取り、常任理事会・事務局会議などを有効に機能させます。
全国理事会は、日本宗平協の最高議決機関です。一年間の活動を振り返り、情勢を踏まえた新年度の活動方針や人事などを決定します。
日本宗平協に参加する各地域宗平協や、宗教・宗派別の宗教者平和運動団体(会)は、それぞれの特徴を生かした活動を展開し、日本宗平協の活動を豊かに発展させると共に、そこで培った成果を日本宗平協に結集します。全国組織にふさわしい宗平協を確立するとともにブロック毎などの連携を強めるために努力します。また、それぞれの宗教・宗派における平和の会などの組織(日本キリスト者平和の会、立正平和の会、真宗平和の会、天理教平和の会、日本友和会など)も同様に活動の前進をはかり、宗教者からの平和活動の発信に努力します。
世界平和・立憲主義の危機・いのちと地球環境の破壊など平和と民主主義が脅かされる状況を打開していくために、こうした取り組みを日本原水協、原水爆禁止世界大会実行委員会、非核の政府を求める会、全国革新懇、憲法改悪阻止各界連絡会議などに参加し、連帯して平和活動を推進します。
また、宗教者と市民が共同で、「諸宗教による祈りのつどい」などを開催してきました。こうした取り組みを発展させるとともに、各地の「九条の会」などとも連携し、実践します。「積小為大」=小を積んで大と為す日々の小さな努力をつなぎましょう。
日本宗平協の諸活動の報告・伝達、各地の活動を反映させることに力を注ぎ、機関紙『宗教と平和』の充実、それを可能とする編集体制の確立・強化に努めます。また、各地域宗平協・各宗教平和の会などとの連携を深め、編集協力の広がりを期します。創立時の発刊から幾多の苦労・変遷を経て今年5月には625号を達成しました。今年、創立59周年を迎え、日本の宗教者の良心を代表し、歴史の証言者としての役割を継続すべく、内容の充実を期して取り組みます。
日本宗平協に期待されている活動は大変大きなものがあります。日本宗平協の諸活動実践への展望は、その活動を支える財政基盤が保障されなければ活動自体の継続が困難な状況を迎えます。財政基盤の確立・強化は、各地域宗平協などの会費納入時期の協力、寺院・教会などにおいて信者のみなさんへ宣伝・普及の活動などを含めて、新「入会のおさそいリーフレット」を活用し、機関紙発行部数の拡大などにご協力いただき、課題達成へ向けて引き続き努力します。

2021年日本宗教者平和協議会役員
2021年5月24日

代表委員(8)
榎本栄次(京都)
奥田靖二(東京)
桑山源龍(静岡)
工藤良任(奈良)
髙木孝裕(大阪)
殿平義彦(北海道)
宮城泰年(京都)
山崎龍明(東京)
代表理事(8)
荒川庸生(東京)
遠藤教温(神奈川)
大原光夫(京都)
長田譲(大阪)
小野和典(静岡)
岸田正博(東京)
平沢功(日キ平)
山本光一(千葉)
事務局長森修覚
常任理事
安孫子義昭(滋賀)
明星隆文(三重)〇
荒川徹真(東京)
板先達(秋田)
伊藤地帳(静岡)
大高敦子(山形)
小倉雅昭(大阪)
小山弘泉(東京)
岡田隆法(東京)
河崎俊宏(石川)〇
吉川徹忍(広島)
小枝功(東京)
佐々木祐恵(愛知)
佐野彰義(大阪)
滋野康賢(新潟)
新間智孝(神戸)
関彬夫(千葉)
相馬述之(北海道)
田邊修一(京都
田口昭典(石川)〇
冨田成美(京都)
出口玲子(京都)
道家明宗(岐阜)
林正道(大分)
樋口重夫(東京)
本多正三郎(日キ平)
吉川清明(奈良)
渡辺大修(鳥取)
〇新