2020年被災66年3・1ビキニデー

宗教者平和運動交流集会
厳しい情勢の中で開催


 新型コロナウィルス感染拡大の報が世界中から発せられる中、被災66年の3・1ビキニデー諸集会は、地元での実行委員会も情勢をもとに直前まで協議を続けましたが、中止の決断に至りました。
 宗平協主催の墓参行進も統一した形では行わず、墓前祭も法要を中心に実施する運営となった中で、2月29日午後、焼津市内で各地から20人の参加を得て平和運動交流集会が開催されました。
 冒頭、遠藤教温代表理事より経過報告を含めた開会挨拶の後、山本義彦氏(第五福竜丸平和協会代表理事・静岡大学名誉教授)から、「核兵器禁止条約の状況と展望、ビキニデーの意義について」の基調報告がありました。
山本義彦氏基調報告

 まず山本氏は、「今日の核兵器保有の現状に対する認識を、私的な研究の一環として紹介」「私の微々たる実践と経験、そして学問的良心に依り報告」と述べてから本論に入りました。
 内容の柱は、1 核抑止力論とは何か 2 核抑止論の標準的定義 3 ラッセル・アインシュタイン宣言とパグウォッシュ会議 4 米ソ対立と中国核開発 5 核問題への認識変化 6 核抑止論の現実、7 核抑止論は、核脅迫・瀬戸際政策を誘発する 8 今、差し迫る脅威は何か 9 核廃絶への世界の歩み…ビキニデーを考えるとして、各項目についての歴史的な事実に基き展開しました。以下山本氏の報告の要旨を記します。
 山本氏は、軍事力を抑止力としてとらえることは、当然その敵が存在するという前提であり、その結末は相互不信の増長を招き、軍備拡張の連鎖を招くことを述べました。そして、日米安保の見直し論が90年代からのガイドラインとして重ねられてくることで、一方で米国への財政支援の拡張を招き(「思いやり予算」)、他方で日米軍拡を継続させて来た事実へとつなげました。(今や「専守防衛」を突破し米国の世界戦略の枠内協力=戦争法制)

『積極的平和主義』の解釈

 国家安全保障戦略(2013・1217)の中で用いた政府の方針に『積極的平和主義』という語句があります。かつてノルウェーのヨハン・ガルトゥング博士は、“positive pacifism(積極的平和主義)…日本国憲法に言う武力放棄・武力による国際紛争解決の否定を漸次的、漸進的にという唱え方をしました。
 しかし、安倍内閣は、この「積極的平和主義」を日本語の表現は同じでも、英語表記の“proactive pacifism”…武力活用を前提にするという意味の「積極的」平和主義に置き換えてしまった。要するに、前者と後者では、似て非なる「積極的」平和主義の解釈となっていったわけであります。
 かつて英国のチャーチル首相が述べた『恐怖の均衡』の考え方に基き、核抑止論が生まれてきました。核兵器の保有はその法外な破壊力のために、かえって戦争を抑止する力となるという論。核兵器を使用しようとした場合、自国も相手国から核兵器による破滅的な被害を覚悟しなければならず、そのため最終的には核兵器の使用を思いとどまるという論理です。

ラッセル・アインシュタイン宣言

 1955年7月、英国の哲学者バートランド・ラッセルと米国の物理学者アルベルト・アインシュタインが中心となり、核兵器廃絶・科学技術の平和利用を訴えた宣言が出ました。「核兵器が人類の存続を脅かしているという事実からみて、私たちは世界の諸政府に、彼らの目的が世界戦争によっては促進されないことを自覚し、このことを公然と認めるよう勧告する。また私たちは彼らに、彼らの間のあらゆる紛争問題の解決のための平和的な手段を見出すよう勧告する」(決議)

パグウォッシュ会議

この宣言の要請を受けて、1957年よりパグウォッシュ会議が開催。初回、日本からは、湯川秀樹・朝永振一郎等が参加。(科学と世界問題に関する会議)(1995年同会議は創設者の一人であるロートブラット会長と共にノーベル平和賞受賞)
当時からの世界情勢は、米ソ対立と中国核開発の中、様々な立場の主張がありました。…●中国の核開発を、当時、米国との対決の必要上、対抗上やむを得ないとする向き ●社会主義の核開発は資本主義とは異なり評価する向き ●いかなる国であれ核開発はすべきではないと考え、いかなる国の核実験にも反対する立場…本当の真実性はどこにあるのか?パグウォッシュ会議の内容から考えるとよいのです。核兵器は一切、生産・貯蔵・実験・利用・すべきではない、と。

核兵器禁止条約の発効に向けて

 1960年代、原水爆禁止運動は分裂、特に1976年スリーマイル島原発事故以降さらにその傾向は変わらなかったものの、1978年国連でのNPT再検討会議では静岡を起点に原水禁運動の統一が模索されたが、1986年チェルノブイリ事故を経験しても、その後は今日まで統一実現に至っていません。
 しかし2011年3・11事故後は、核と人類の共存は不可能という立場がほぼ共通認識にちかくなりました。第五福竜丸展示館の立場から敢えて言えば、今こそ、統一の道を追求してトランプ氏の米国やイスラエル、北朝鮮、ロシア、中国、イギリス、フランスなどと対峙して、国連核兵器禁止条約への日本の積極的参加を勝ち取る努力が必要だと認識することで、基調報告の結びとしました。

2020年原水爆禁止世界大会inニューヨーク行動に向けて

 集会では、本年4月に開催されるNPT再検討会議、原水爆禁止世界大会inニューヨークに参加する宗教者代表団の一員としての決意表明がありました。
京都宗平協の出口玲子さん(キリスト教・写真右)、小島寛さん(仏教・浄土宗)(酒井清旭さん代読・写真左)、河﨑俊宏さん(仏教・日蓮宗立正平和の会)(遠藤教温さんが紹介)、森修覚さん(仏教・真宗大谷派)がそれぞれ発言しました。
 荒川庸生代表理事より、宗教者代表団への激励と連帯の挨拶、そして支援の要請(表紙)がありました。伊藤地張常任理事の閉会挨拶により本年の宗教者平和運動交流集会を終了しました。


墓参行進・
久保山愛吉墓前祭、

 3月1日は墓参行進も個人参加者を中心に個人の意思に基づいて行進しました。
焼津駅前から久保山愛吉さんの墓の弘徳院まで行進をしました。
 久保山愛吉さんが好きだったバラを献花しました。
 墓前祭主催者の開会あいさつで荒川庸生代表理事は「新型コロナウイルス」という困難の中での開催だが、今年は極めて重要な年だと語り、墓前祭をスタートして原水爆禁止運動を大いに盛り上げようと呼びかけました。平和行進、世界大会inニューヨーク、夏の広島、長崎の大会の成功を訴えました。
 追悼法要を弘徳院の松永芳信住職ら焼津仏教会が勤めました。
 第五福竜丸平和協会代表理事の山本義彦静岡大学名誉教授が挨拶を行いました。(あいさつ文は4p)焼津市長、広島市長、長崎市長からのメッセージが紹介されました。
 その後は感染対策として規模縮小して誓いの集いと各宗教のリレー祈りを実施しました。
 静岡在住中心に参加された方々で言葉を述べました。
 3・1ビキニデー焼津集会が中止となり、発表されるアピール文の披露が木藤功・静岡県原水協理事長から紹介されました。
 墓前祭に寄せられた誓いの言葉の団体は、日本原水爆被爆者団体協議会、原水爆禁止世界大会実行委員会、全国労働組合総連合、新日本婦人の会中央本部、日本共産党中央委員会、日本民主青年同盟、3・1ビキニデー静岡県実行委員会、宗教者として西山浄土宗・田邊修一師でした。発言予定者、誓いの言葉は次号で紹介します。
 当日参加予定されていた発言の方々には感染予防として無理を申しましたことをお詫び申し上げます
 閉会の挨拶は大原光夫代表理事、司会は出口玲子常任理事が行いました。

被災66年3・1ビキニデー
久保山愛吉墓前祭へ挨拶・メッセージ

公益財団法人 第五福竜丸平和協会
代表理事 山本 義彦(静岡大学名誉教授)


 66回目の久保山愛吉さんのビキニ被災にあたり

 1954年3月1日、ビキニ環礁周辺で操業中の焼津港を母港とする遠洋マグロ漁船第五福竜丸が、アメリカの水爆実験に被ばくして、ちょうど66年がたとうとしております。私は都立第五福竜丸展示館の運営責任者として一言ご挨拶申し上げます。久保山愛吉さんはこの日、同船の無線長として被ばくされたのですが、その後、国民だけではなく世界の多くの人々による原水爆実験禁止運動が燃え盛り、1963年の米ソ両国による空中実験禁止等の措置が取られたとはいえ(部分的核実験禁止)、その後も核開発を行う国の増加を防ぐことができないままに21世紀に至りました。しかし、この66回目の時期には、ついにトランプアメリカ大統領が小型核兵器の配備さえ言い出す始末です。
 それどころかイランとの核合意を乱暴に踏みにじった同大統領の行為が国際的危機を招くに至り、イラン国民の大きな反発を招いていることは明らかです。
 又この2月には乗組員池田正穂様もご逝去され、残る生存者は23名中3名なりました。まことに寂しい限りです。
 他方で、世界には各地域の核禁止区域の設定が行われ、さらに2017年には世界の人々の運動を受けてついに核禁止条約が国連で提起され、世界50か国以上の調印をもって発行しうる段階に至っています。これに対して13億のカトリック信者を擁するローマ教皇が昨年11月日本を訪れ安倍首相にもこの条約への参加協力を要請する一方で、「核の傘」論に固執する勢力こそが結局は核開発競争を容認することと同じと批判しました。
 また私たちはこのビキニ問題はもはや第五福竜丸ばかりか全国の東北から沖縄に及ぶ太平洋岸地域の当時の操業中の漁船850隻以上の被災、そしてマーシャル諸島など大国による実験場にされた国々、大国の実験場周辺住民と作業にあった兵士たちの被災も無視できない数に上っていることに思いをいたし、今後一切の核廃絶に挺身することこそが久保山さんへのせめてもの私たちの未来からの贈り物になると確信し、ここに哀悼の誠をささげるとともに、世界の核開発、保有、貯蔵、利用の一切を根絶することを誓います。
 2020年3月1日

メッセージ

焼津市長 中野 弘道

 
 本日、「 被災66年3・1ビキニデー 久保山愛吉墓前祭」の開催にあたり、謹んで哀悼の意を表します。
 太平洋 マーシャル諸島ビキニ環礁における米国の水爆実験により、マーシャル島民や近海で操業していた多くの船や船員が被災してから、本年で66年が経過しました。
 この間、本日お集まりの皆様をはじめとする、世界各国の多くの人たちによる熱心な核兵器廃絶運動が行われています。
 「 核兵器のない世界」の実現は、私たちの共通の願いでありますが、世界には依然として多くの核兵器が存在しており、私たちの願いは、未だ遠い彼方にあると感じております。
 焼津市では、毎年六月三十日に核兵器廃絶と恒久平和の実現を訴える市民集会をはじめとした平和推進事業を通じて、市民が平和を愛する心を持ち続けるよう、時代を超えて後世に語り継ぎ、「 核兵器のない世界」を希求するため、引き続き取り組んでまいります。
 結びに、皆様方の運動が大きな力となり、 「 核兵器のない世界 」 の実現につながりますことを念願いたしますとともに、御参列の皆様 の御健勝と御活躍を心からお祈り申し上げます。
令和二年三月 一日

広島市長  松 井 一實


 「被災66年 3・1ビキニデー 久保山愛吉墓前祭」が開催されるに当たり、メッセージをお送りいたします。
 1945年8月6日、広島は人類史上最初の原爆投下により街は一瞬にして廃墟と化し、多くの尊い命が奪われました。かろうじて生き延びた被爆者は、心身に深刻な傷を負いながらも、自らの体験を語り、「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」との思いと平和への願いを訴え続けています。
 今、世界では自国第一主義が台頭し、国家間の排他的、対立的な動きが緊張関係を高めています。世界にはいまだ約1万4千発の核兵器が存在し、核兵器廃絶への動きも停滞しています。世界中の為政者には、かつて核競争が激化し緊張状態が高まった際に、米ソの両核大国の間で「理性」の発露と対話によって、核軍縮に舵を切った勇気ある先輩がいたということを思い起こし、核不拡散条約第6条に定められている核軍縮の誠実交渉義務を果たすとともに、核兵器のない世界への一里塚となる核兵器禁止条約の発効を求める市民社会の思いに応えることが求められています。
 平和で持続可能な世界を実現していくためには、私たち一人一人が、現状に背を向けることなく、立場や主張の違いを互いに乗り越え、理想を目指し共に努力するという「寛容」の心を持つことが不可欠です。そのためには、原爆や戦争を単なる過去の出来事と捉えず、また、被爆者や平和な世界を目指す人たちの声や努力を自らのものとして、たゆむことなく前進していくことが重要となります。
 そして、世界中の為政者が、市民社会が目指す理想に向けて、共に前進していくために、市民社会において、被爆者の願いに共感する方々を増やし、「核兵器のない世界」こそが世界恒久平和の第一歩であるということを世界共通の価値観にしていくことがますます重要となってきています。そうした意味から、皆様が久保山愛吉氏の「原水爆の犠牲者はわたしを最後にしてほしい」という御意志を引き継ぎ、今日まで長きにわたり墓前祭を開催され、核兵器のない平和な世界の実現を訴え続けておられることは誠に意義深く、その取組に対し深く敬意を表します。
 本市も、世界の163か国・地域の約7,800の平和首長会議の加盟都市と一緒に、核兵器廃絶に向かう為政者の行動を後押しする環境づくりに全力で取り組んでいく所存です。皆様には、今後とも「絶対悪」である核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現に向け、共に力を尽くし行動してくださることを心から期待しています。
 終わりに、御参会の皆様の今後ますますの御健勝と御多幸を心よりお祈りいたします。
令和2年(2020年)3月1日

長崎市長   田上 富久


「被災66年3・1ビキニデー久保山愛吉墓前祭」が執り行われるにあたり、長崎市民を代表して謹んで哀悼の意を表します。
日本宗教者平和協議会の皆様におかれましては、故久保山愛吉無線長の「原水爆の犠牲者は私を最後にしてほしい」という言葉を心に刻み、宗教の垣根を超えて世界恒久平和に向けた様々な活動に取り組まれていることに対し心より敬意を表します。
 1945年(昭和20年)8月9日午前11時2分、長崎の街は一発の原子爆弾により、一瞬にして壊滅的な被害を受けました。すさまじい爆風と熱線により7万4千人の尊い命が奪われ、7万5千人が負傷しました。あの日から75年目を迎える現在も多くの方々が放射線による後障害に苦しんでいます。 現在、世界には約1万4千発の核弾頭が存在し、核兵器を巡る国際情勢は、危機的な状況にあります。このような時こそ、私たち市民社会が力を合わせ、一日も早い核兵器のない世界の実現に向けて、声を上げていかなければなりません。
 今年は被爆から75年という節目の年を迎えます。今回ご参加の皆様の、一つひとつの小さな行動がたくさん集まって大きな流れをつくり、平和へとつながっていきます。これからも、核兵器のない世界をめざしてともに歩み続ける、大切な仲間として、一緒に平和の輪を広げていきましょう。
 長崎市は、世界から核兵器がなくなるその日まで、市民社会や多くの都市と連携し、恒久平和の実現に向けて、今後とも着実に歩み続けてまいります。 「被災66年3・1ビキニデー久保山愛吉墓前祭」を通して、皆様が核兵器廃絶の声を大きく発信し、市民社会から核兵器廃絶の機運がさらに高まることを期待しています。
最後に、皆様の今後ますますのご健勝とご活躍を心からお祈り申し上げます。
令和2年3月1日

ヒバクシャ国際署名」への署名を推進しニューヨークで核廃絶を訴える

岡田隆法(東京宗平会、泉福寺住職、真言宗豊山派)



1、核兵器の現状

 核兵器は広島・長崎へ落とされた初期の破壊力ですら、10万人以上の人を死に至らしめ、後々まで放射能被害などの身体的精神的苦痛に苛まれる数十万人の人々を生み出し、その子どもの世代まで遺伝的な脅威をもたらしました。
 その核兵器はプルトニウムやウランの爆弾でありましたが、現在は水素爆弾となり破壊規模は広島型の100倍位上の破壊力をもたらす恐ろしい兵器となりました。また現在の科学の発展により、核兵器を製造し所有することはより簡易になりつつあり、事実、北朝鮮を始め、イスラエル、パキスタン、インドと核兵器を所有していると思われる国が増えつつあり、潜在的には、韓国、日本、イランなど核開発の野心を持っていると思われる国も増えつづけています。またウランなどの核物質の流通がすすみ、核物質が裏取引されテロ組織など、国家ではない私的組織に流出する可能性があります。 テロ組織による汚い爆弾(核物質をばら撒く様な、臨界を伴わない爆弾)や、いずれは核爆弾そのものをテロ組織が手に入れる時代が来る危険性も専門家によって指摘されています。

.2、暴発の可能性

 5大核武装国家(アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランス)のみが、核不拡散条約(NPT)を使用してその他の国に、核兵器の開発と保有を制限する国際圧力を行使してきましたが、核開発を止めることは今後とても難しくなっていくことが予想されます。事実、あらたに北朝鮮が核武装しました。例えばアジアの国々など多くの国が核兵器を保有するようになった場合、ちょっとした紛争や、万が一、核兵器の発射ボタンを押してしまうなど、偶発的な事象もふくめて、核兵器を大都市に向けて行使され壊滅的な破壊の惨劇が起きる確率も高まってしまうことが予想されます。
 沢山の国家が核武装することは、核戦争の危機を飛躍的に高めてしまう可能性があります。もちろん核武装による平和、簡単に戦争や紛争ができなくなる面もあるでしょう。しかしトランプ大統領の様な、とんでもない考えを持った元首や国があらわれ、結果も考えずに核兵器の使用をしてしまうことも考えられます。
 人間は愚かであり、国家とは愚かな行為を行いがちです。そうした専門家のシュミレーションもあり、核兵器は全面的に禁止にすべきだと、アメリカの専門家自身もそうした結論を主張しています。
 しかしアメリカ国家としては核武装を継続する意向であり、しかも核実験を今後年に2回行うと予算を立てています。

3、核兵器の数

 一方で核兵器とは実際には使えない兵器とされ、ピークには世界全体で64000発あったものが2019年は9335発程まで激減してきています。米国とロシアが、コストがかかるだけなので歩調を合わせて削減してきています。また中国の保有数は290発、イギリス215発、フランス300発を保有していますが。コストだけかかると考えて増やしていないとも考えられます。

4、核兵器が違法に
 
2017年に国連で核兵器禁止条約という、核兵器の全面禁止(核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止ならびにその廃絶に関する条約)を2017年7月7日に122カ国・地域の賛成多数により採択されました。この条約が発行するには、それぞれの国家の議会で審議し批准され、その批准された国の数が50カ国を超えると発行になります。現在79カ国地域が署名し、35カ国が批准しています。2020年末に発効する可能性が出てきました
 そうした中キリスト教カトリックのトップ、ローマ法王が1124日に来日し、核廃絶への誓の言葉を述べました。また全日本仏教会が2019年1210日にヒバクシャ国際署名への協力のお願いを各宗派へ向けて発表しました。
 また宗大谷派は、それ以前からヒバクシャ国際署名への協力を傘下の寺院に呼びかけています。
 ときに、宗教には国家権力を護持する側に立つものと、市民など広く全ての弱い人々の側にたつものに2分されるという意見もあります。しかし国家を護持するのは人々の幸せを願うがゆえであり、そういった区別を超えて慈悲をもって行動することが仏教各宗派の姿だと信頼しております。

5、今年の国連会議に向けて

 今年は4月にニューヨークの国連本部で、5年毎に開かれる核兵器不拡散条約(NPT)検討会議が開催されます。そこで世界中の関係者や平和を願う人々がニューヨークに集結して、核兵器禁止条約が発効するように後押しをする予定です。その一環として、「ヒバクシャ国際署名」という署名活動を世界中で展開しており、世界中で何億もの署名を集めて、世界の市民の願いとして核兵器を禁止していく意思表示を実現したいと願っています。
 そこで地元江戸川でも「ヒバクシャ国際署名」を集めて核兵器が違法となる世界を実現したいと考えています。江戸川区民70万人であるので10万筆を目標に集めるための取組みがすすめられています。江戸川で原爆犠牲者追悼碑を建立し40年間守ってきました。 江戸川原爆犠牲者追悼碑の会の事務局長をさせていただき、先代の父、岡田弘隆の代から40年間、毎年原爆慰霊祭を7月に行ってまいりました。地元のヒバクシャの友人達、亡くなられた方も大勢いらっしゃいます。その方たちの思いを届けに行きたいと思っています。又、一仏教者として、殺してはならない殺させてはならない、命の尊厳を悉く破壊し尽くし、生きて苦しみ続ける原爆ヒバクシャをこれ以上誰にも被爆させてはならないと力を尽くして参りたい所存です。

ニューヨーク原水爆禁止世界大会参加にあたって

浄土宗西山禅林寺派良恩寺住職 小島 寛 



 残念ながら今年の3・1ビキニデーには参加できませんが、核兵器廃絶を願うすべての人達の心に届いていることと確信を持っています。
 さて2017年に開かれた国連会議では122ヵ国の賛成によって核兵器禁止条約が採択されました。その後35ヵ国が批准しています。
 私は、その国連会議に参加し大変感動もって帰国し、7月7日の採択の日を感無量で迎えましたことを覚えています。
 しかしトランプ政権のサウジアラビアへ核開発技術を輸出しようとしているというニュースなど、NPT核不拡散条約でさえ反故にしようという動きが随所にあらわれています。
 この情勢の中で、NPT再検討会議が行われるニューヨークで、初めての原水爆禁止世界大会が開催されようとしています。この世界大会は「核兵器廃絶、気候の危機の阻止と反転、社会的経済的正義のために」との呼びかけのもとに世界から集まった何千人の志を共にする人たち、市民社会とともに宗派を超えて祈り、そして核兵器の完全廃絶を求める幾千百万の「ヒバクシャ国際署名」の国連提出などの行動に参加してきます。
 「生きているうち核兵器の廃絶を」という被爆者の願いにこたえ、人間らしく生きようとするすべての人々とともにある活動に絶大なご支援を賜りますようよろしくお願いします。