年頭所感

代表委員 河崎 俊栄 日蓮宗 本延寺住職
日本宗平協は、人間のいのちと尊厳を守ろうと「国連軍縮週間」に呼応して開催してきた「日本宗教者平和会議」を昨年は、1021日~23日沖縄の那覇と宮古島で開催された。島ぐるみ宗教者の会との連帯を強め、辺野古新基地建設中止の運動を学び、宮古島での軍事基地化(島民の了解を得ずに進められている)の建設が進められている。
 私も、がんと宣告されて2年になり日々に体力が衰えて、抗がん剤治療もできなくなりました。人生最後の旅を妻と出来た事は大変嬉しく感謝している。美しい自然豊かな宮古島を期待していましたが、宮古島教会の坂口聖子牧師よりの報告では、美しい自然を破壊し、弾薬庫建設着工やミサイル配備などで危険にさらされている実態と、ここ10年の間に宮古島をはじめ南西諸島への陸海空自衛隊のミサイル基地建設など配備増強と軍事要塞化がすすめられ、1711月から宮古島で極めて攻撃性の高いミサイル基地の配備が強行され、地下水源の汚染など島の自然環境破壊の危険があることなどの現状が報告された。この報告を聞いた時、私の血が騒ぎ怒りが込み上げてきた。それは沖縄戦で洞窟に避難している島民に銃口が向けられていた光景が思い出された。戦前日本の統治国であった南洋パラオへ開拓団として渡りパイナップルを栽培し豊かに生活していたが、戦火が激しくなると男の人は現地招集され、アンガル・ぺリリュウ島で玉砕された。このたび沖縄県民の過半数の方が反対している辺野古新基地建設中止の声を聞かずに埋め立てを強行、大浦湾では軟弱地盤があり工期が大幅に遅れる、予算も大幅にアップする中でも工事を強行している。
 さらに今年、安倍首相は、憲法9条に自衛隊を明記すると宣言。憲法改悪を阻止するには野党連合の強化と市民連合とあらゆる階層の方々をも巻き込む活動を。 当面の活動として3・1ビキニデー・久保山愛吉墓前祭に新しい人を誘って参加する行動の第一歩に努力する。
 次は4月23日~26日2020年原水爆禁止世界大会inニューヨークを目標に早速「ヒバクシャ」国際署名と代表派遣のカンパを始めましょう。
心を一つにして私も命のあるかぎり自分の出来る限りの努力を致します。  合掌

2019年日本宗教者平和会議in沖縄

島ぐるみ宗教者の会の活動と展望(下)

島ぐるみ宗教者の会   谷 大二名誉司教

地方自治の危機
 つぎは、地方自治の話です。
 日本国憲法で初めて地方自治が定められました。
 第8章「地方自治」(第92条~第95条)は、憲法9条、基本的人権とともに、重要な条文です。また、「行政不服審査法」第1条には、「この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする」とあります。
地位協定抜本改定へ
 それから翁長知事のもう一つの功績というのは、全国知事会に地位協定改定を訴えたということです。これは、2018年の記事ですが、2019年に地位協定抜本改定へ連携再確認という7月の記事です。
 日米地位協定は、捜査権、裁判権、制空権など、米軍の優位が定められている不平等協定です。
 米国は、ドイツ、イタリア、日本、韓国などで地位協定を結んでいます。
日本はアメリカの軍事植民地支配の下にあり、政府はアメリカに従属しており、日米地位協定の見直しなくして、日本の主権の回復はありません。沖縄にそのしわ寄せが。そうしたなかで、2018年7月、全国知事会が日米地位協定の抜本的見直しで提言をおこないました。
米軍本部港使用を阻止
 全国知事会で日米地位協定の議論が始まり、抜本的見直しの提言を行うその一方で、米軍のやり放題を市民が実力で阻止したたたかいの記事です。
 今年(19年)9月14日ですが、県の自粛要請に応じずに、米軍が本部港使用を通告してきました。日米地位協定によって通告して、一般の本部港を訓練に使うと通告してきたんですね。県は難色を示したのですけれども、断ることができなかった。それで、市民がたくさん集まって座り込みをしました。米軍の車列は本部港に入ることができませんでした。実力阻止で、米軍の使用を止めたということです。
裁判の検証と今後の展望
 さて、裁判がどうなるかということですが、元裁判官の仲宗根勇さんという方がいらっしゃるのですが、その方にいろいろ聞いてみました。国と県の訴訟経緯を詳しく説明する時間はありませんが、長い間、裁判のやり取りがあります。その間に1年3カ月の工事が止まりました。
 2013年12月に仲井真知事が埋め立てを承認しました。防衛局が辺野古工事に着手したのは2014年7月です。そして、12月に翁長知事が就任します。
 翁長知事は1510月、埋め立て承認を取り消し、1年3カ月工事が止まりました。その間、埋め立て承認の取り消し停止への抗告訴訟、取り消し停止の関与取り消し訴訟などがおこされてきました。
 16年8月には高江の工事が強行され、12月には県が敗訴し、取り消しの取り消しということで工事が再開されました。
 18年8月、翁長知事が亡くなり、10月に玉城知事が就任しました。しかし、11月には辺野古工事が再開され、12月に土砂投入が始まってしまいました。
 工事が約1年間が続いています。約3年近く取り消しや撤回の間隙をぬって政府は工事をすすめています。
 撤回のときにも、島ぐるみ宗教者の会として翁長知事あてに埋立て承認撤回を求めて、「防衛局は8月17日から土砂投入を開始する通知を県に提出しています。これで土砂が投入されれば、辺野古崎、大浦湾の自然は破壊され、元には戻らなくなります。そればかりか、新基地建設の既成事実化がすすみ、撤回をめぐる裁判でも決定的な不利に追い込まれ、取り返しがつかない事態に陥ってしまいます」との要請書を提出しました。
行政行為の「瑕疵の治癒」
 18年8月31日、翁長知事が亡くなった後、謝花副知事が撤回をしました。こういう撤回、取り消しの間隙をなりふり構わぬ工事を強行している安倍政府のなりふり構わぬ工事強硬策動の真の罠は、何かということを仲宗根さんが説明してくださったのですけども、行政行為の「瑕疵の治癒」という用語があるそうです。
 仮に、仲井真元知事の「埋め立て承認」、その後の工事のすすめ方に瑕疵があったとしても、その瑕疵は治癒されたと強弁するために、取り消し、撤回の間隙をぬって最大限工事を推し進めている。つまり、土砂投入による既成事実が増大すればするほど、現状回復は困難、経済的不合理性などが生まれてくる。そういうことを理由に裁判所は「瑕疵の治癒」というのを言い出したのです。
 安倍政権は、そこに持ち込もうというのが真の罠だというふうにおっしゃってました。
現場での非暴力抵抗運動
 現在、裁判は二つおこなわれています。撤回取り消しは違法だというのと、辺野古で県が国を提訴、この撤回を取り消す方法論とそのもの自体の交渉をやってんですね。
 この裁判、どうなるのかということを率直に聞きますと、政府は現在も強行している辺野古埋立て工事によって既成事実を積み重ね、今後の裁判を有利にすすめようと目論んでいる。埋め立て承認撤回をめぐって7月、8月、県は提訴しました。今後、裁判で争うことになります。
 しかし、安倍政権が続く限り、行政の下僕になり果てた日本の裁判所の下での法廷闘争では新基地建設阻止は極めて困難である。これが彼の結論なんですね。
 辺野古新基地建設を止めるには、現場での非暴力の徹底した抵抗運動で現実的に工事を止めるしかない。そのために、何が必要か。県民多数の決起、戦術の再構築、世論の喚起がどうしても必要であるというのです。
 実際に、元裁判官の仲宗根さんは週に何回かこうやって帽子をかぶって、旗をもって座り込みに参加しています。
 この世論喚起ということで、玉城知事は全国でトーク・キャラバンを始めています。それから、アメリカでも新基地建設阻止を、先週訴えに行ってきました。そういう新聞記事が出ています。
 島ぐるみ宗教者の会も、本土と世界に出て、パンフレットを作成し配布中で、今日、みなさんのお手元にお渡ししたのが日本語版です。いま、英語版を作成中でまもなく完成する予定です。
座り込みの意味
 現在の座り込みの意味についてです。現在、名護市辺野古をはじめ安和・塩川港、ヤンバル(山原)の東村高江、普天間基地などで座り込みをしています。これは、琉球セメントの桟橋で安和というところの写真です。船が出ようとするのをカヌー隊が阻止しようとロープにしがみ付き、出航を遅らせようとしている写真です。これで1時間とか2時間とか出航が遅れるんですね。そうすると、ここに次の船が入ってこれないということになります。
 これは、「GO GO DRIVE」と座り込み、ウォーキングですけどね、この二つで安和桟橋にトラックが入っていくのをとにかく遅らせようという取り組みです。今日から5日間、連続大行動ということで取り組んでいる最中です。だいたい、この阻止行動がないと600台くらいのトラックが入るんですけど、阻止行動があると入っていくトラックの数が200台ぐらいになるということで、3分の1ぐらいで、3分2は遅らせるという抵抗が目的になっています。
 これは、辺野古の海岸のテント村です。色んな人が来て、説明しているところです。キャンプ・シュワブのゲート前でももちろん座り込みを続けています。
 座り込みでいま、何をしようとしているのかというと、とにかく工事を遅らせるということですね。完全に止められればいいのですけども、止めることはできない。それで、工事を遅らせるということが今の主眼です。辺野古新基地建設は、少なくともあと15年あるいは18年ぐらいかかります。
 その裁判で「瑕疵の治癒」を持ち込ませないためには工事をできるだけ遅らせる必要がある。工事はまだ1%未満で、辺野古の海岸側はすすんでいるように見えますけれども、大浦湾側はまったく手つかずです。安倍・菅政権がいつ終わるのか。いまの自民党政権がいつ倒れるのか。それにも、少し期待を抱きながら、とにかく工事を遅らせるということが今の座り込みの大きな目的なんです。
「石が叫びだす」
 ですから、裁判で負ける、負けそうだ。勝てる見込みが難しいと。ところがいま沖縄の自然が叫びはじめているんですね。これが、本部半島の砕石場です。ここから土砂などが運びこまれていて、無残な姿をさらしています。
ジュゴンが1頭、昨年死んで運天漁港というところで発見されました。その後、まだ他に生きているジュゴンが2頭いるはずなのですけれども、それがまだ確認されていないということで、これは1週間ほど前の記事ですけども、「沖縄ジュゴン絶滅可能性 広域調査を始める」という記事が出ていました。ジュゴンが絶滅する危険がある。もしかしたら絶滅しているかもしれない。
最近、去年当たりからこの問題が大きくなってきました。活断層が2本走っている。しかも、弾薬庫の真下を走っている。この弾薬庫に将来、核兵器が運び込まれる可能性が非常に高い。そこに活断層が走っている。原発ならできるはずがない。そういう状況になっています。
 そして今、有名になった軟弱地盤の問題です。90メートルの深さまでマヨネーズ状の軟弱地盤がある。いまのところ工事ができる船は70メートルまでで、とても90メートルまでの工事ができないんですね。
 今年の6月、私の友人が来て、一緒に食事をするのに友人の弟も来たんですね。弟というのは、コンサルタント会社から派遣された設計士で、防衛局の辺野古の工事の統括監督官をやっているんですね。僕に会ってビビッてましたけどね。彼に率直に聞きました。「工事はできるのか」と。そしたら、「判らない」と言ってました。「出来る」と強弁はできない。「出来ない」というのもチョット言えない。だから「判らない」と言ってました。正直な答えだと思います。この問題、非常に大きな問題で、政府も困っているんだろうと思います。
 こうやって、色んな問題が埋立て予定地で起こっています。特に、大浦湾側で起こっています。サンゴを移植せずに護岸工事をしている。マヨネーズなみの軟弱地盤、地震をおこす活断層の可能性、それに加えて、この飛行場の近くには沖縄高専とか小中学校、住宅とか、飛行場に向いていない建物、飛行航行に抵触する、高さ制限を超える建物もいっぱいあるということも大きな問題になっています。
 この新聞記事は、「移植サンゴ 死滅や縮小」という最近の記事です。サンゴの移植は不可能なんだと。18年に辺野古新基地建設のために移植したサンゴ(オキナワハマサンゴ)9群体のうち、3群体が死滅、生存部分の縮小が明らかになりました。オキナワハマサンゴは絶滅危惧種です。
 それなのに、安倍政権はサンゴはすべて移植しましたなどといいかげんなことを言ってんですね。
 聖書のなかに、イエズス(イエス)が最後の「決戦場」=エルサレム、そこには政府、それから宗教界の重鎮がすべてそろっている「敵の中心地」ですね。そこへ上っていこうとした時に、群衆が「万歳、万歳」と叫んだんですね。ある人が、その叫びをやめさせろと言ったと時にイエスが言った言葉なんです。
「もし、この人たちが黙れば 石が叫びだす」(ルカ1940
 今まさに沖縄の石が、叫びだしている。神の被造物が悲鳴を上げ始めている。必ず、神の奇跡が起こる。神さまがいるなら、奇跡をおこしてもらわなくちゃ困りますというふうに思っています。
 奇跡が起こるのを待ち望みながらも、我々人間ができる限りの座り込みやさまざま世論喚起など、やることはいっぱいあります。
 こういう厳しい状況ですけれども、宗教者として一緒にたたかっていきたいと思っています。
 そして、こういう「信仰告白」ができればいいなあというふうに思って作ってみた「沖縄の信仰告白」です。これを読んで終わりにしたいと思います。
 私たちの先祖は、アジアの小さな島に住む琉球民族です。
 サツマ・ヤマトに植民地支配され、第2次世界大戦ではヤマトとアメリカが住民を巻き込んだ地上戦をここ沖縄で繰り広げました。
 その結果すべてが焼き尽くされ、住民4人に一人の命が奪われました。
 戦後、アメリカとヤマトに支配されながらも、私たちは平和と命を大切にしようと決意し、生きてきました。
 しかし、ヤマトとアメリカは私たちを差別し、ありとあらゆる軍事基地を押し付け、女性や子どもをレイプし、子どもたちの学び舎にも戦闘機による被害を与えてきました。
 私たちが創造の主、解放の主である神に助けを求めると、主は私たちの声を聴き、私たちが受けた苦しみと労苦と虐げをご覧になり、力ある御手と御腕を伸ばし、大いなる恐るべきこととしるしと奇跡をもって私たちは軍事植民地支配から解放し、平和といのちの尊厳が守られる基地のない沖縄を与えられました。
 いま、私は主が与えられたこの地で、平和の実りと恵をもって主を礼拝するために集まりました。
 こういう祈りができる日を待ち望んでおります。ありがとうございました。

辺野古米軍新基地建設土砂投入1年で抗議行動
12・3安和海上大行動に参加して

森 修覚
 12月3日辺野古新基地土砂搬入1周年に抗議する「12・3安和海上行動」がヘリ基地反対協議会から呼びかけられました。
 私は、昨年の1021日からの日本宗教者平和会議in沖縄で1022日辺野古基地抗議行動に参加しました。
しかし、その日は台風と天皇の関係で工事が休みとのことで抗議行動はできませんでした。ヘリ協のみなさんから12月3日に「12・3安和海上大行動の参加要請を受けました。
 2日、名護市内に前泊し、3日の早朝米軍キャンプシュワブ・ゲート前の土砂搬入抗議に参加、座り込み1976日目でした。
 警備員がゲート前に並び、トラックが来ると機動隊がゲイト前に無抵抗で座り込む市民を移動させる。
 その後11時から名護市安和の琉球セメント桟橋付近の海上と陸上から「土砂搬入やめよ」「美ら海守れ」「安倍はウソつくな」など抗議を行いました。
稲嶺進島ぐるみ共同代表が連帯挨拶。
各地のたたかいが報告されました。カヌー66艇、陸には200人参加。

被爆者援護連帯募金
ありがとうございました

日本宗教者平和協議会が募金を呼びかけ、集まった被爆者連帯募金を昨年1218日、日本被団協へ渡しました。
 原発事故避難先の楢葉町の障がい者施設「希望の杜」、仮設住宅で避難生活をされている住民のみなさんへちひろカレンダーを送りました。 
 この募金にご協力くださいましてありがとうございました。