2020年NPT会議と原水爆禁止世界大会inニューヨークへ
誓い新たに踏み出そう


 原水爆禁止日本協議会(日本原水協)は、被爆75年である2020年を「核兵器のない平和で公正な世界」への歴史的転機としようとよびかけた原水爆禁止2019年世界大会の成果を踏まえ、8カ月後に迫った核不拡散条約(NPT)再検討会議と原水爆禁止世界大会inニューヨークをめざして、行動に踏み出そうとよびかけました。
 世界大会‐国際会議宣言は、核兵器禁止条約は核保有国に対する大きな政治的・道義的圧力となっており、核保有国の抵抗や逆流は守勢の現われだと指摘。安倍政権は被爆者の願いに背を向け、裏切り、禁止条約の発効を妨害しています。
 こうした逆流を打ち破って被爆国日本で禁止条約に署名する政府をつくるなら、核兵器廃絶に向けて世界を大きく動かすことができます。日本で「ヒバクシャ国際署名」の大飛躍を起こそうと訴え、「国際議会宣言」を学び、以下の3点の行動に踏み出そうとよびかけています。
 ▽10月の国連総会への「ヒバクシャ国際署名」の提出をめざし、9月の「6・9行動」、核兵器廃絶国際デー(9月26日)、10月の国連軍縮週間など被爆者を先頭に署名・宣伝行動に取り組む、▽「原爆展」「原爆の絵展」や被爆体験を語る集いなどに取り組む。「被爆展示組写真」の普及、▽日本政府に核兵器禁止条約への調印・批准を求める自治体意見書の取り組みなどをさらに広げる。
 人間らしく生きたいと願う広範な人びとと手を携え、〝非核非戦〟の誓いを新たにし、核兵器のない世界をめざして踏み出しましょう。

被爆74年 原水爆禁止2019年世界大会
広島、長崎で開かれる 


事務局長 森 修覚

 8月3日から9日まで開かれた国際会議、広島、長崎の世界大会に私が参加させていただきました。
 今年、被爆74年の世界大会は、被爆74年となる国際会議を皮切りに始まりました。核兵器禁止条約が採択されて2年を迎えたもとで、来年のNPT再検討会議、世界大会inNY開催など2020年の課題にどう向き合あうか、核兵器廃絶への展望を示すかが注目されました。

国際会議開会総会
主催者あいさつ
 3日の国際会議開会総会で主催者あいさつした世界大会実行委員会の野口邦和運営委員会共同代表(写真)は「核兵器のない平和で公正な世界実現に向けて着実に前進していることに確信を持ちましょう」と訴え、核兵器禁止条約の早期発効へすべての国に署名・批准を呼びかけました。
 「来年は被爆75年、核不拡散条約(NPT)発効50年の節目の年だと述べ被爆の実相と被爆体験を普及・継承し、ヒバクシャ国際署名をおう盛に取り組もう」と述べました。
被爆者のあいさつ
 被爆者からは、胎内被爆者である日本被団協の濱住治郎事務局次長(写真)が「被爆の苦しみ、病気への不安、子や孫への不安は消えることはありません」と強調。「禁止条約の一日も早い発効と核兵器廃絶へ力を尽くそう」と訴えました。
 特別報告としてオーストリア欧州統合外務省のゲオルビルヘルム・ガルホーファ公使(写真)が発言。「この何十年のうち軍縮にとって最も厳しい時期にある」「ですが、世界の大多数の国々は、核兵器の壊滅的な人道上の帰結を無視することはできないと宣言した」「核兵器禁止条約を発効させ、広島の火を永遠に消せるよう、核兵器の廃絶のために活動し続けましょう」と訴えました。

国際会議で討論
第一セッション
「広島・長崎の原爆被害、核兵器の非人道性、ヒバクシャのたたかい」をテーマで討論。
 日本、韓国の被爆者、福島の原発被害者、医師などが発言。
第二セッション
 「核兵器禁止・廃絶と市民・運動の役割ー2020年・被爆75年に向けた課題と運動」をテーマに討論。
 アメリカ、イギリス、韓国、日本から発言があり、核兵器禁止条約の発効の促進、2020年原水爆禁止世界大会inニューヨークの成功。核抑止論の克服には政府を変えることの大切さ。日韓の市民の連帯が強調されました。
第三セッション
「核兵器廃絶へ共同と連帯の推進ー反戦平和、原発、環境、人権、暮らしなど運動とともに」をテーマに討論。
 アメリカ、スペイン、フィリピン、日本から発言。辺野古新基地反対のたたかいは、日本、世界へ広がりに発展。
分科会
 3日は第一、第二、第三セッションのテーマで分科会が開かれました。

第二セッションの討論で発言
 モンゴルで6月開催されたアジア仏教徒平和会議で、ウランバートル宣言に、核兵器禁止条約の批准、2020年NPT再検討会議、被爆者の願いにこたえるよう盛り込みました。またアジア仏教徒平和会議会長はじめ各国の代表の宗教者「ヒバクシャ国際署名」をいただいたことを報告しました。

国際会議閉会総会
 5日は国際会議閉会総会が開かれました。起草委員長の冨田宏治さん(関西学院大学教授)から「国際会議宣言」案が提案されました。
 宣言は「核兵器固執勢力と廃絶をめざす勢力の対立こそ今日の核軍縮をめぐる世界の構図である」そして、「核兵器禁止条約の採択は、核保有国に対する大きな政治的、道義的圧力になっている」と指摘。「被爆の実相をはじめ核兵器の非人道性を訴えて「核抑止論」を打ち破り「禁止条約の署名と批准を求める多数派をつくりあげよう」と訴えています。
 具体的行動として「ヒバクシャ国際署名」の飛躍や、原水爆禁止・ニューヨークをはじめ国際共同行動の成功、様々な社会運動との連帯を呼びかけました。
「来年は核兵器のない世界への転機とするため世界的な行動に立ち上がり、市民社会と諸国政府の共同の力を発揮しよう」と強調しました。
 
 広島市平和祈念式典
 6日平和公園で広島市主催の「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」が開かれ、参列しました。松井広島市長は「核兵器禁止条約の発効を求める市民社会の思いに応えていただきたい」と安倍首相に迫りました。国連事務総長など核兵器禁止条約の批准や「核抑止」の危険性など述べました。しかし、安倍首相は条約には一言もふれず、どこの国の総理かと思いました。

世界大会・ヒロシマデー集会
 6日午後、ヒロシマデー集会が開かれました。
 世界大会ー広島には、全国から1300人が参加。日本宗平協の参加は奥田靖二代表委員、小野恭敬師(日蓮宗)、森修覚。
 集会では、主催者報告の冨田宏治・言起草委員長が「2020年を核兵器廃絶の歴史的転機とするために立ち上がろう」と強調。日本原水爆被害者団協協議会の箕牧智之代表理事、オーストリア欧州統合外務省のゲオルビルヘルム・ガルホーファ公使、駐日キューバ大使館のマイレン・リベロ臨時代理大使(写真)が発言。「核兵器禁止条約を発効させ、核兵器廃絶のために行動し続けよう」と訴えました。
 広島の被爆者7団体、被爆体験では西本多美子さん(石川県原爆被災者との会会長)、「原爆の絵」(写真)を描く広島基町高校卒業生の山土莉奈さんが発言。海外から署名や折鶴(写真)が手渡されました。


いのちをえらびとる断食のいのり
 8月5日()原水爆禁止2019年世界大会広島の関連行事として「いのちをえらびとる断食のいのり」が平和公園の供養塔横で日本宗教者平和協議会の主催で開催されました。全国から30人近くの宗教者・僧侶・信者が参加しました。
 このいのりは今年で36回となり、原爆と人間のパネル展、被爆者の証言、各宗教のいのりを1日断食し「核兵器も原発もない世界を」を願って行われています。
 各宗教の祈りは、日蓮宗、浄土真宗、天理教、キリスト教、神道で行われました。神戸の妙華院の新間智孝住職はじめ、檀家のみなさんなども参加し、核兵器のない世界を願って祈りました。また、モンゴルでのアジア仏教徒平和会議に参加した小野恭敬師が初めて参加しました。
被爆家族15
 被爆者の証言には、元中国新聞記者で論説委員などを歴任されました田中聡司氏(ヒロシマ学研究会世話人、被爆を語り継ぐ会=坪井直会長の会員、75歳)が被爆証言しました。
73年前、下関市小月町の陸軍官舎から母に連れられて軍トラックに乗り、母の実家であった広島の広瀬北町(爆心から0・9キロ)に入市。母は私を背負い祖父母など探して20日ごろまで廃墟の街を歩き回った。父と母の家族を会わせて15人が原爆に遭った被爆一族。祖父母など4人が直後に死没、その後5人の計10人が死没。一人が行方不明。妹は体内被曝。幼少期は口内炎、首の痛みなどに悩み、原因不明と言われた。50歳を過ぎてから、食道がん、下咽頭がんなどで手術、治療を繰り返している。口内炎の傷跡が、がんになり、70余年もたってから被爆の影響と確信。上京、大学生活で全国の人々と接する中から『広島の被爆者』を意識させられ、『差別』も体験した。(会話や入浴などで)。被爆者健康手帳の取得に抵抗感があったが、新聞記者になり『手帳取得は被爆者の権利、義務』と報道した責任などから手帳を取得。子供の誕生や結婚などの旅に『被爆の影響』を心配。今では孫の誕生、病気の時などに不安がよぎる」と語りました。さらに核兵器禁止条約をめぐる国内外の情勢にもふれ「被爆者の願い、日本の政府は背を向けています。この状況を打開したい」と述べました。
 国際会議に参加した筆者が「原水爆禁止2019年世界大会 国際宣言」の内容説明を行い、来年の原水爆禁止世界大会inニューヨーク、NPT再検討会議へ「日本宗教者代表団」の派遣参加を呼びかけました。
海外代表が連帯挨拶
 この断食のにいのりに大会参加の海外代表のクウェンテェン刑務所教官のジュン・ハマモトさん(下の写真右)、ピースアクション財政・総務部長のロザリー・ブルックスさん(女性)が連帯の挨拶をしました。またモンゴルでのアジア仏教徒平和会議に参加した韓国の僧侶、華厳宗の厳山智厳(イウンサンジイウン)さん(写真中)、善宣(スンスン)さん(写真左)の連帯訪問を受けました。
 「原爆と人間」のパネルを展示し、多くの通行人が見入っていました。平和の鐘を鳴らそうと供養塔の説明のところに設置した「平和の鐘」をならす方もいました。世界大会参加者の遺跡・碑めぐりコースの皆さんとも連帯を示しました。
交流・懇親会
 断食のいのり終了後、広島YMCAで「宗教者交流懇親会」が行われ、全国参加者と広島の参加者と交流しました。
 一昨年亡くなられた宗藤尚三さんの奥様も参加され、夫の被爆の苦しみとたたかいについて語られ感動を受けました。


ヒロシマデー とうろう流し
 8月6日(火)原水爆禁止2019年世界大会広島の最後の行事の「ヒロシマデー灯ろう流し」が元安川の河川敷で行われました。
 主催者を代表して広島建交労の山田昭夫委員長があいさつしました。「被爆74年 原水爆禁止2019年世界大会『ヒロシマデー集会』 成功のために奮闘された皆さんご苦労様でした。2017年7月7日に国連で採択された『核兵器禁止条約』の批准国は24カ国(翌日に25カ国)となりました。
 核兵器のない世界の実現に向けて世界の運動と世論は確実に広がっています。広島松井一實市長も広島の被爆者や市民の声に押されて、本日の祈念式典に参加した安倍晋三首相にたいし日本政府も1日も早く『核兵器禁止条約』署名するよう要請しました。これも大きな前進です。核兵器全面禁止・廃絶の世論と運動をさらに広げましょう」と呼びかけ、「このとうろう流しは、日本の民族的な宗教行事で、広島では74年前の今日、原爆で焼かれ、放射を浴び、苦しんで死んでいった被爆者を弔い、地球上から核兵器をなくすことを誓って、この元安川においてとうろうに火をつけ川面に流します」と紹介し、20数年前から毎年、イギリスの宗教者団体から贈られてくる「ろうそく」(写真)の紹介をしました。
 続いて海外代表のニティヤリラ・サウロ(ダキラ=現代の勇気ある行動のためのフィリピン共同体 気候正義と人権キャンペーン担当者 フィリピン/国際青年リレー行進者、2019年岡山、広島を行進)さん(写真)がミュージック・アーテストで「サマ、サマ」と歌で連帯の挨拶を行いました。
 その後、イギリスから贈られたろうそくに、筆者が原爆犠牲者の位牌の火を点火しました。その火を、それぞれの願いを書き記したとうろうに点火し、川面に流しました。
 同時に日本宗教者平和協議会の有志による伽陀、表白、阿弥陀経の読経。広島の僧侶はじめ全国から9人が参加しました。奥田靖二金比羅浅川神社宮司、岸田正博真言宗智山派多聞寺住職が祈りを行いました
 このとうろう流しには、海外代表はじめ保育園児、被爆者、広島大会参加者の300人以上が参加しました。

「『敬朋』墓前祭」
 8月8日午前9時から、建交労(全日本建設交運一般労組)長崎県本部主催の「2019年(被爆74)『敬朋』墓前祭」に、筆者と林正道常任理事・安養寺住職が共に参列しました。
 長崎の失業対策事業で働いていた被爆者で、亡くなっても引き取り手のない人の墓地を作りたいと、全日自労長崎分会が長崎市に墓地の提供をお願いし、1977年に『敬朋』の墓碑を建立しました。 2003年8月8日に『敬朋』墓前祭が復活しました。それ以来、伽陀、表白、阿弥陀経や正信偈を称える中、歴代の建交労中央本部委員長を始め参列者が焼香し、核兵器の廃絶と平和への誓いを新たにしてきました。


原水爆禁止世界大会・長崎
 8月7日原水爆禁止2019年世界大会ー長崎が開かれました。この大会に筆者と林正道常任理事・安養寺住職が参加しました。
 主催者報告した世界大会議長団の安斎育郎さんは「ヒバクシャ国際署名を世界中に広げ、原水爆禁止世界大会ニューヨークに総結集しよう」と訴えました。
 日本原水爆被害者団体協議会の田中重光代表委員は日本が核兵器禁止条約に参加するよう「ヒバクシャ国際署名」を広げようと訴えました。
 田上富久長崎市長は「核兵器をなくすのは市民の力だ」「私たちが被爆者のいる時代の終わりにいることをみなさんと考えたいと思います」と語り、「平和宣言でも呼びかけたいと思います」とのべました。
 幅広い政治・社会運動の連帯で「市民連合」の呼びかけ人、広渡清吾さんは、「核兵器禁止条約の早期批准の取り組みを強め、米いいなりで日本を戦争の道に引きずり込む安倍政治からの転換をめざし、原水禁運動と連帯する」と表明。
 また原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟の吉原毅会長は「平和利用」の名で使用する原発にも強大な利権構造があることを告発し、「原爆も原発もない平和な世界を望む」と語りました。
 オール沖縄会議の稲嶺進共同代表は、沖縄・辺野古新基地建設で民主主義も地方自治も踏みにじる安倍自公政権を批判し、「勝つまで絶対に諦めない。共に頑張っていきましょう」と呼びかけました。
 10月の日本宗教者平和会議の講師依頼に応えていただき、お礼を申し上げてきました。
 この大会には駐日メキシコ大使のメルバ・プリーナさん、駐日ベネズエラ大使セイコウ・イシカワさんが発言し「核兵器禁止条約」を批准したことを報告しました。

フォーラムに参加
 8月8日「敬朋の墓前祭」を終えて、真宗大谷派長崎教務所を訪問。「青年のひろば」で青年が本堂に。被爆証言の亀井廣道・萬行寺住職にお会いしてきました。
 その後、「核兵器禁止・廃絶へ・政府とNGOの対話」に参加。参加者から「核兵器禁止条約が発効できる見通しは?前回は2020年にはと聞いたが」との問いに、オーストリア公使は「核兵器禁止条約に25ヵ国が批准し発効に向けて進展している」と答え、来年のNPTまで頑張る決意を述べました。

47回原爆殉難者慰霊祭
   『平和への祈り』
 夕闇が迫る中、8日午後7時からは長崎県宗教者懇話会が主催して原爆落下中心地公園で開かれた第47回原爆殉難者慰霊祭『平和への祈り』に、昨年に続き参列しました。1972(昭和47年)、長崎県明るい社会づくり運動推進協議会の宗教部会が母体となり、約40名の宗教者で長崎県宗教者懇話会が発足しました。宗教・宗派を超えて市民の集う記念すべき第1回原爆殉難者慰霊祭が、1973(昭和48)年に営まれて以来、今年で47回目を迎えました。
 開会前には、平和への祈りコンサート~グレゴリオ聖歌とオラショによる祈り、天理教の雅楽演奏がありました。開式の辞に続いて、讃歌の合唱、お清めの儀、献水の儀、3人の小学生による「平和の誓い」、新宗連青年会による「平和の灯」、3人の「慰霊のことば」、浦安の舞、献花のあと、全員で「長崎の祈り」(♪教会と寺と神社の音和して 清らかに明ける 長崎の朝 平和を祈る 長崎の街 平和を告げる 長崎の空♪)を合唱しました。

世界大会—長崎閉会総会
 8月9日大会の閉会総会が開かれ5000人が参加しました。
 大会決議「長崎からのよびかけ」と特別決議「長崎から各国政府への手紙」を採択。被爆75年、NPT再検討会議が開かれる2020年を核兵器廃絶に向けた歴史的転機にするため、「全力をあげて歴史的な行動に立ち上がろう」と訴えました。
 集会では4歳で被爆した横山照子さん(長崎原爆被災者協議会副会長)と韓国のイ・ギュヨンさん(韓国原爆被害者協会理事)が被爆証言。
 海外・日本代表が「核兵器のない世界行動」をテーマに発言。「運動を広げて平和を広げよう」とベトナム平和委員会事務局次長のブイ・エン・フォンさん、「朝鮮半島での非核化は義務」と韓国・人道主義実践医師協議会イ・ボラさん、「勝利するまであきらめない」と非核フィリピン連合事務局長コラソン・ファブロスさん。
 日本からの決意は、北海道の伊達高校3年の市川紗都さん、全日本教職員組合の山田真平さん、新日本婦人の会岐阜県本部の中薮恭子さんがそれぞれ体験と決意を述べました。「高校生1万人署名」に取り組む長崎県の高校生13人が舞台で署名の経験と歌、「ビリョクだけどムリョクでない」を合唱し決意を表明しました。
 広島、長崎の世界大会には、外国政府、玉城デニー沖縄県知事、立憲民主党など野党からメッセージや挨拶を受けました。
 長崎大会には日本共産党小池晃書記局長・衆議院議員(写真)が参加し、医師として被爆者医療のや検診に携わった経験にふれ、「核兵器と人類は絶対に共存できません」と強調。「核兵器禁止条約の発効に向けて、ヒバクシャ国際署名を広げに広げよう」と訴えました。

非核非戦法要
 集会が終わってからただちに、真宗大谷派長崎教務所で執り行われた『非核非戦法要』に、林さんと一緒に参列しました。74年前の原爆投下で亡くなった、身元のわからない方々の1万とも2万とも言われる遺骨が、『非核非戦』の碑の下に収められています。 碑の前では嘆佛偈、本堂では阿弥陀経などのお勤め。

「ヒバクシャ国際署名」への協力のお願い


 私たち真宗大谷派は、宗祖親鸞聖人の仰せになきことを仰せとして語り、国家が引き起こした戦争に加担し、仏法の名のもとに多くの青年たちを戦場へと送り出したという歴史を有しています。
 その懺悔の思念のもと、戦争でいのち奪われた全ての人たちに思いを馳せ、非戦を誓う「全戦没者追弔法会」を毎年4月に厳修いたしております。また、1995年には、宗議会・参議会により、「賜った信心の知恵をもって、宗門が犯した罪責を検証し、これらの惨事を未然に防止する努力を惜しまない」 (不戦決議)という非戦の誓いを表明し、これまで取り組みを進めてまいりました。
 今もなお、この地球上では戦乱や紛争が絶えず、数多くの人びとの命が奪われています。これら戦争を巡り、人間の無明の闇を表すものの一つとして「核兵器」があります。1945年、人類史上初めての原子爆弾の投下によって、 「核兵器」が甚大な被害をもたらすだけでなく、その後も長く続く放射能被害を広めていく非人道的な大量破壊兵器であることを、ヒロシマ、ナガサキの被害の事実が明らかにしております。
 さらに、2011年の福島第一原子力発電所事故により、原子力の平和利用と称して始められた原子力発電であっても、現在のみならず未来のいのちをも脅かす放射線被曝を避け得ないことが明らかになった今、原発に依存しない社会の実現が何よりも急がれています。
「同朋社会の顕現」を願う私たち宗門において、 「核兵器」がこの地球に存在すること自体が大きな矛盾を抱えるものであります。念仏者の実践として核廃絶に向けてできるところから活動していかねばならないと思います。
 このたび、ヒロシマ・ナガサキの被爆者が核兵器廃絶を訴える国際署名として、全世界において展開される「ヒバクシャ国際署名」に対し、宗派として協力することといたしました。ぜひとも皆さまのご協力をお願いいたします。
2019年8月1日
真宗大谷派宗務総長   但馬  弘