核兵器禁止条約を力に
原水爆禁止2017年世界大会
国際会議・広島・長崎

原水爆禁止2017年世界大会に参加して


日本宗平協事務局長・真宗大谷派僧侶 森 修覚

原水爆禁止2017年世界大会が「核兵器禁止条約を力に、核兵器のない平和で公正な世界の実現を」をテーマに8月3日から9日まで国際会議・広島・長崎が開かれました。
日本宗教者平和協議会から、森修覚はじめ多くの方が参加しました。
3日から5日まで国際会議が広島市文化交流会館で開かれ、森修覚、鈴木章方が参加しました。世界大会には22か国から95名(34各国団体、4国際/地域団体のNGOの代表・個人および政府・国際機関代表5名の海外代表が参加しました。
 主催者を代表して大会実行委員会の野口邦和運営委員共同代表は「核兵器廃絶を求める運動が実り、核兵器のない世界に向かう歴史的な転機を迎えた」「禁止条約を力に核兵器廃絶の達成に向けて被爆の実相と被爆体験の継承、ヒバクシャ国際署名に取り組もう」と呼びかけました。
 被爆者代表の日本被団協の藤森俊希事務局次長は「条約を目にすることのできなかった多くの先達」が頭に浮かんだとのべ、「日本の政府こそ条約に署名し、核兵器のない世界を作る先頭に立たなければならい」「国民の意思で条約を批准させ、核兵器のない世界へ役割を果たそう」と呼びかけました。
 会議では第1セッション「広島・長崎の原爆被害、核兵器の人道性、ヒバクシャのたたかい」、第2セッション「核兵器禁止条約から廃止へ・平和運動、市民社会の役割」、第3セッション「核兵器のない世界へ行動と共同・核抑止力論の克服、紛争の平和的解決、放射能被害の根絶、安全な暮らしと環境」のテーマで議論し、森修覚は第3セッションで討論に参加しました。
 議論では条約批准へ「核保有国、その同盟国は世界の少数だ。ヒバクシャ国際署名で迫っていく」「条約に署名しないなら政府を変えていく」「平和の波を起こし、世論に訴えていこう」「韓国でもアメリカでもイギリスでも変化が起きている」などに大きな関心を持ちました。さらに分科会が行われました。
 5日閉会総会は「国際会議宣言」を採択しました。

国際会議宣言
 国際会議宣言は「広島と長崎にアメリカの原子爆弾が投下されてから72年を経た今年7月7日、ついに核兵器禁止条約が採択された。第1回原水爆禁止世界大会(1955年)以来、被爆者とともに、核戦争阻止、核兵器廃絶と被爆者援護・連帯の実現を求めてきた我々は、歴史的な条約採択を心から歓迎し、新たな決意で『核兵器のない平和で公正な世界』の実現をめざして前進することを誓う。核兵器禁止条約は、被爆者と世界の人々が長年にわたり熱望してきた核兵器完全廃絶につながる画期的なものである」「条約は、核兵器について破滅的な結末をもたらす非人道的な兵器であり、国連憲章、国際法、国際人道法、国際人権法に反するものであると断罪して、これに『悪の烙印』を押した」「核兵器はいまや不道徳であるだけでなく、歴史上はじめて明文上も違法なものとなった。条約が、『ヒバクシャ』と核実験被害者の『受け容れがたい苦痛と損害』を心に留め、核兵器廃絶を推進する『市民的良心の役割』の担い手として『ヒバクシャ』を明記したことは、『ふたたび被爆者をつくるな』と訴えてきた被爆者のたたかいを正当に評価したものである」とのべ(中略)核兵器禁止条約実現の土台には、被爆者とともに歩んできた世界の反核・平和の運動の『草の根』の力があった。今後の帰趨を決めるのもまた、世界諸国民の世論と運動である。我々は、以下の行動をよびかける。
――すべての国が速やかに核兵器禁止条約に参加し、核兵器の完全廃絶に取り組むことを求める世論を大きく発展させよう。9月20日から26日の期間、「草の根」からの多彩な行動をつなぐ世界同時行動(「平和の波」)を行うことを提唱する。
――核兵器の非人道性と核兵器完全廃絶の必要性をひろげる対話と宣伝を強めよう。被爆者の証言活動、原爆写真展をはじめ被爆体験の継承をすすめ、核兵器禁止条約についての学習を重視しよう。条約でも重視された平和教育をいっそう推進しよう。
――全世界で2020年までに世界数億を目標にとりくまれている「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」(「ヒバクシャ国際署名」)を大きく発展させよう。
――核兵器禁止条約の調印開始(9月20日)、「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」(9月26日)、国連総会第一委員会、核軍縮に関する国連総会ハイレベル会合(2018年)、NPT再検討会議準備委員会などを機会に、諸国政府・国連と市民社会の共同を発展させよう。
――被爆者への援護・連帯をすすめ、国家補償を実現しよう。被爆二世・三世の運動を支援しよう。核実験被害者への支援を求めよう。原発事故被災者の救済と原発ゼロを求める運動との連帯を発展させよう。枯葉剤、劣化ウラン弾などの戦争被害者を支援しよう。
――反戦・平和、沖縄はじめ外国軍事基地の縮小・撤去、軍産複合体との闘い、軍事費削減と生活・雇用・福祉の向上、貧困と格差の解消、気候変動防止と地球環境保護、性差別はじめあらゆる差別の克服、平和の文化の発展などをめざす運動と連帯しよう。

 核兵器禁止条約は、核兵器の完全廃絶を訴える被爆者と市民社会の運動の役割を強調した。被爆者とともに、いまこそ未来をきりひらこう。「核兵器のない平和で公正な世界」への扉が開かれたいま、若い世代とともに、その実現に向けて意気高く歩んでいこう。
とよびかけています。
 6日は朝8時から広島平和祈念式典が開かれ、参加しました。安倍首相は核兵器禁止条約のことは発言しませんでした。他の方の挨拶は条約の歴史的重みと批准の必要性を訴えました。

世界大会―広島
 6日午後1時から世界大会・広島が開催され、宗平協から9人が参加しました。
 主催者の冨田宏治起草委員長が「国際会議宣言」ができるまでの過程が報告され、日本の政府が条約に反対してきたことは許すことはできません。日本政府の核政策と安全保障政策を変えさせ、ひいては政府そのものを変えるための広範な国民共同が求められる」と訴えました。
 連帯挨拶で田中煕巳・日本原水爆被害者団体協議会代表委員、マルチン・クリューガーオーストリア・外務省軍縮軍備管理不拡散局次長、志位和夫・日本共産党委員長・衆議院議員が「被爆者の声が世界を動かした」「ヒバクシャ国際署名が最大の力」「条約にサインする国に変えて」と締結批准への展望を示しました。
 日本各地や各国の草の根の運動が紹介され大きな拍手に包まれ、「広島からの呼びかけ」が採択されました。呼びかけは「核兵器はこれまでずっと、道徳に反するものでした。そして今では法律にも反するのです。一緒に世界を変えていきましょう」と7月7日の国連会議での広島の被爆者・節子サーロさんの演説から始まります。

世界大会―長崎
 7日から会場を長崎へ、開会総会が15時から長崎文化体育館に6000人が全国から参加しました。宗平協から森修覚、林正道が参加しました。
 開会総会で主催者あいさつした安斎育郎・世界大会実行委員会議長団は、核兵器禁止条約はパワフルな条約だとのべ、「条約をパーフェクトにするために、核保有国と同盟国の政策を変えさせ核兵器廃絶の道を歩もう」と数式や「アキレス素数」の例を用いての力をこめた内容でした。
 木戸季市日本原水爆被害者団体協議会事務局長が連帯の挨拶で「条約に参加しない、署名もしない安倍首相に代わる国民の暮らし、安全を守る真の首相をつくろう」と呼びかけました。盛大な拍手が起こりました。
 中満泉・国連軍縮担当上級代表が「条約の核心は核兵器を否定し、それを国際法として成文化した点にある」と指摘。「国連は核兵器のない世界という目標へ具体的な歩みを進めるため、すべての国々や市民社会と協力いっそう努力したい」と力を込め訴え、大きな拍手を浴びました。
 海外のたたかいや国内のたたかいが紹介されました。東北6県が県段階の「ヒバクシャ国際署名」推進連絡会をつくったこと。韓国でのキャンドル革命の経験が話されました。
 世界大会には日本共産党小池晃書記局長ら国会議員が参加。自由党の小沢一郎代表、沖縄の風の糸数慶子、扇長雄志沖縄県知事からのメッセージが紹介されました。
 8日は朝、建交労の敬朋墓前祭で読経を林正道、森修覚で厳修しました。その後10月開催の「日本宗教者平和会議in長崎」の会場の真宗大谷派長崎教区を表敬訪問し、会場、講師の確認をお願いしました。
 午後はフォーラム「核兵器条約実現ー政府とNGOの対話」に参加、林正道安養寺住職から前文に宗教指導者の言葉が取り入れられたが、なぜかとの問いに、マルチン・クリューガーオーストリア外務省軍縮軍備管理不拡散局次長が条文を読み上げ「市民社会の良心の心」と答えました。他のパネラーはイギリス、アメリカ、日本の高草木博原水協代表理事でした。
 9日閉会総会はビッグサプライです。「禁止条約交渉会議のエレン・ホワイト議長からメッセージが届けられました」のアナウンスに歓声や拍手が沸き起こりました。「みなさんのリーダシップを頼りにしています。私の決意は揺らぐことはありません」とのメッセージにまたもや大きな拍手でした。
 被爆者の松谷英子(まつやひでこ)さんが車いすで訴え、夜のレセプションにも参加。10月の宗教者平和会議での証言も快く承諾いただきました。また被爆者の谷口稜曄(すみてる)さんのビデオメッセージが紹介されました。
 各地の「ヒバクシャ国際署名」の取り組みや各国の取り組みが発言されました。
 最後に日本原水協の安井正和事務局長が「禁止条約を支持するあらゆる団体・個人と対話し、協力して新しい国民的共同に踏み出そうと」呼びかけました。世界大会・長崎決議「長崎からの呼びかけ」を採択。「核兵器禁止条約に背を向け、9条改悪もくろむ安倍政権を、市民と野党の共同の力で総選挙へ追い込みましょう」と総選挙での市民と野党の共同を訴えました。
 9日夕方「レセプション」に参加し海外代表・長崎の被爆者、大会実行委員会のみなさんと懇談しました。

(次号に世界大会―長崎に参加した林正道安養寺住職の報告を掲載します)


9月20日から26日「平和の波」行動を
宗教者への行動提起


教会、寺院、地域で
「核兵器廃絶の祈り、条約の学習、『ヒバクシャ国際署名』」の行動を

いのちをえらびとる
断食の祈り



 広島・長崎被爆72年を翌日に迎える8月5日(土)、広島平和公園の供養塔の横で、日本宗教者平和協議会による「いのちをえらびとる断食の祈り」が行われました。
 日蓮宗、浄土真宗、天理教、キリスト教などの宗教者のべ約50人近くが参加し、「原爆と人間」パネルを展示し、原爆の犠牲者を追悼、核兵器の廃絶と平和を、それぞれ順番に午後4時まで昼食を断食し、祈りました。
 34年目となる今年の断食の祈りには、広島県被団協理事長の佐久間邦彦(72)氏が、「語り部」としてご自身の被爆体験を話されました。
「原爆投下時は生後9カ月。爆心地から約3キロの己斐西中町(現西区)の自宅縁側で被爆し、母親に背負われて逃げる途中に『黒い雨』を浴びた。10年ほど後、腎臓や肝臓を相次ぎ患い、小学校を休みがちに。病床に届く同世代の子どもたちの遊び声が恨めしかった。ただ、数年で体力は回復。被爆者として意識するようになったのは、20歳すぎに井伏鱒二の『黒い雨』を読んでからだという。」「いったん首都圏で働いた後、三菱重工業江波工場(中区)に勤め、資材管理などを担当。被爆者運動と関わることもなかった。転機は退職した翌2006年。『ボランティアをするなら被爆者の役に立ちたい』と知人に漏らすと、県被団協の被爆者相談員を紹介された。初めは『自分に務まるのか』と気乗りしなかったが、心身の苦しみを涙ながらに訴える人たちに向き合ううち没頭した原爆の非人道性を思い知らされて、核兵器廃絶の訴えや原発事故の被災者支援にも力を入れ始めた。」と語りました。
 世界大会参加の海外代表が連帯あいさつに訪問されました。リサ・クラークさん(国際平和ビューロー共同議長・イタリア)、ジョセフ・ガーソンさん(アメリフレンズ奉仕委員会平和・経済安全保障プログラム責任者・アメリカ)、ハンナ・ドォエッデルさん(核軍縮キャンペーン(CND)副議長)、ゲレーロ・AG・サニョさん(平和を教え、平和を作ろう 理事/平和のための芸術ミッション理事/国際青年リレー行進者、フィリピン)の4人の方です。以下のアピールを採択しました。
宗教者懇談会に18人参加
 断食の祈りが終わってから広島YMCAで懇親会を開催。広島はじめ石川、千葉、静岡、大分、東京、京都、大阪などから参加しました。


<2017年 いのちを選びとる断食の祈り>
国連会議 核兵器禁止条約を採択
―条約を力に、核兵器のない平和で公正な世界の実現を―
 1945年8月6日に広島、9日に長崎への原爆投下から72年を迎え、これまでの取り組みが実り、人類は核兵器禁止条約を制定し、人類の生存に関わる死活的課題である核兵器廃絶への新たな歴史を切り拓こうとしています。核兵器を禁止し、完全廃絶のゴールまで行動することは、政府とともに市民社会にも求められている重要課題です。

核兵器禁止条約 賛成122カ国
広島・長崎の被爆者は、自らの原爆の体験と苦悩をもとに、被爆の実相を世界に伝え、核兵器の非人道性を明らかにし「ふたたび被爆者をつくるな」と訴えつづけてきました。ニューヨークの国連本部で開かれた核兵器禁止を交渉する国連会議は7月7日、様々な圧力を打ち破り、核兵器禁止条約を国連加盟191カ国の3分の2にあたる122カ国の賛成(保留1、反対1)で採択しました。誰一人として戦争に巻き込まれることのない社会をめざし、被爆者とともに核戦争阻止、核兵器の全面禁止・廃絶、被爆者援護・連帯を基本目標として掲げ、その実現を求めて原水爆禁止運動に取り組んできた被爆国日本の宗教者として、私たちはこの条約の採択を歓迎し、一日も早い核兵器廃絶の実現に力を尽くすとともに、被爆者と市民社会の運動をはじめ、国連や関係諸国政府などの努力に心からの敬意を表するものです。
私たちは、「核兵器のない世界」の実現を願うすべての人びとに、とりわけ内外の宗教者に「ヒバクシャ国際署名」のよびかけに賛同・署名し、行動に加わるよう呼びかけます。

問われる核保有国と日本政府
私たちは、核保有国・非保有国を問わず、すべての国の政府に対して、この核兵器禁止条約に賛同し、署名・批准の手続きをすすめ、すみやかに発効させるよう心から要請するものです。
とりわけ、核保有国に追随して会議をボイコットし、内外で強い失望と批判を浴びた唯一の戦争被爆国である日本政府に対し、核の非人道性の観点から、核兵器廃絶を求める世界の流れに加わり、直ちに条約に署名することはもちろん、核保有国を含むすべての国に署名を促し、「核兵器のない世界」のすみやかな実現のために行動するよう強く要求するものです。
原爆被害、核戦争を2度と起してはならないという思いから生まれた憲法9条を持つ国とし、条約にわが国が署名・批准するならば世界の流れは大きく変わります。日本の政治を大きく変え、条約に署名する政府を、批准する国会をつくりましょう。

被爆者は被害者であり創造者
 核兵器禁止条約は、前文で核兵器の非人道性を厳しく告発。核軍縮を国連の最優先目標であると確認した「国連総会第1号決議」を想起し、核兵器による惨害を防ぐ唯一の確実な道として核兵器の廃絶の必要性を明確にし、第1条において核兵器の開発、製造、貯蔵、実験、使用と威嚇、譲渡、支配地域内での設置や配備を含むすべての行為を禁止した画期的なものです。前文では、「ヒバクシャにもたらされた容認しがたい苦難と損害に留意する」と核兵器の使用の被害者(ヒバクシャ)の受け入れがたい苦しみに心を寄せ、一発の核兵器がもたらした非人道性を明記しています。「ヒバクシャ」の言葉はもう一カ所、核兵器全面廃絶を推進するための「市民的良心の役割」を強調した部分に、国連、国際赤十字・赤新月社運動、非政府組織(NGO)、宗教指導者、国会議員などと並んで明記され、被爆者は、耐え難い犠牲を被ったと同時に「核なき世界」への「創造者」であると位置づけられています。1956年の結成以来、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)は、「私たちは自らを救うとともに、私たちの体験をとおして人類の危機を救おうという決意」(「世界への挨拶」)を誓い合い、「世界のどこにも二度と被爆者をつくるな」と自らの痛苦の体験をとおして人類の危機を救おう歩んできました。

被爆者にノーベル平和賞を
日本被団協は、「ふたたび被爆者をつくらない」ことを自らの使命とし、その使命を果たすことこそが、「次代に残すことのできるたった一つの遺産」(「原爆被害者の基本要求」)であるとの信念を核心に被爆者運動、核兵器廃絶に取り組んできました。条約採択は、核兵器の言語に絶する非人道的な惨禍を体験した被爆者を先頭にした70年余の反核・平和運動が結実したものです。
 私たちは、自らの経験とたたかいを語り、「生きているうちに核兵器の廃絶を」と核兵器の全面禁止・廃絶のために一貫して活動し、世界の政府と人びとに訴え続けてきた日本被団協、長崎の被爆者で日本被団協代表委員の谷口稜曄さん、広島の被爆者でカナダ在住の節子・サーローさんに、核兵器禁止条約が採択された今年の「ノーベル平和賞」を受賞させることこそアルフレッド・ノーベルの意志と精神に完全に合致するものと考えます。
 それはまた、核兵器禁止条約の早期発効を促すための大きな契機となるものと確信します。

ヒロシマデーとうろう流し


 8月6日(日)原水爆禁止2017年世界大会ー広島の最後の行事「とう流し」が、太田川(元安川)で行われました。
 司会の吉川徹忍氏(日本宗教者平協議会理事・広島宗平協事務局長・本願寺派僧侶)が開始の挨拶を行いました。
主催者を代表して建交労の山田昭夫委員長があいさつしました。「今年の7月7日国連で核兵器禁止条約が採択された歴史的な世界大会となり、とうう流しも新たな決意をもって開催されます。この条約が批准されてこそ、核兵器廃絶の一歩が始まります。日本の国が批准しないことの表明に抗議し、署名する政府を作るしかない」と強調し、「ヒバクシャ国際署名で追い詰めていきましょう」と訴えました。
原水爆禁止世界大会は、安倍政権による戦争法制定により、戦争法発動の危険が高まるなか開催されています。(中略)戦後72年間、核兵器の使用を許さず、憲法9条を守ってこれたのは『人類と核兵器は共存できない』と被爆者の声と行動があったからこそ」と強調し、「とうろう流しは、日本の民族的な宗教行事で、広島では72年前の今日、原爆で焼かれ、放射を浴び、苦しんで死んでいった被爆者を弔い、地球上から核兵器をなくすことを誓って、この元安川においてとうろうに火をつけ川面に流します」と紹介し、毎年、30数年前から、イギリスの宗教者団体から贈られてくるろうそくの紹介をしました。
続いて海外代表のリサ・クラーク(国際ビューロー(IPB))さんが「私はイタリアから来ました。IPBの共同議長をしています」「7月7日の国連の評決に胸躍らせて世界大会に参加しています」「これは長年にわたって私たち、世界中の多くの人たちが努力して収めた成果です。この成功は私たちに新たなエネルギーを与えています」「イタリアではイタリア政府に条約に加盟するよう要求するキャンペーンを9月20日から10月4日まで2週間取り組みます」とあいさつしました
 その後、イギリスから贈られたろうそくに、森修覚師(日本宗教者平和協議会事務局長・真宗大谷派僧侶、世界大会運営委員)が原爆犠牲者の位牌の火を点火しました。
 その火を、それぞれの願いを書き記したとうろうに点火し、川面に流しました。
 同時に日本宗教者平和協議会の有志による「過ちを 二度と繰り返してはならない」と伽陀、表白、阿弥陀経の読経が聖教されました。広島の浄土真宗本願寺派の岡本法治師が導師を務めました。
 海外代表はじめ保育園児、被爆者、広島大会参加者の300人近く参加しました。

国連会議・ニューヨーク行動参加して


京都宗教者平和協議会
浄土宗西山禅林寺派良恩寺住職 小島 寛


この度は国連核兵器禁止条約交渉会議(第二会期)・ニューヨーク行動(6月15日~6月20日)参加にあたりましては過分のご支援、ご協力をいただきまして誠にありがとうございました。お陰様で無事帰ってくることができました。ここに行動の報告をさせていただきまして、ささやかではございますがお礼に代えさせていただければと思っています。
 我が国では原子爆弾が広島、長崎に投下されて以来核兵器廃絶に向けた多くの取り組みがなされてきました。「被爆の実相」を訴え広めることに心血を注がれた被爆者の方々の活動を中心に、毎年8月の広島・長崎における「原水爆禁止世界大会」や京都では毎月6日と9日に清水寺をお借りしての6・9署名活動などです。
 特に今回はヒバクシャの方々が前面に出られて取り組まれています「ヒバクシャ国際署名」、自分たちが生きているうちに核兵器をなくしたいという願いが大きく実を結びました。
 国連総会の付託を受けた、核兵器禁止条約交渉会議(第二会期)が開かれ、第一会期の討論を経て出来上がった草案が審議されました。核兵器廃絶と申しましてもそれを実際に効果あるものにするのは並大抵のことでは無いようです。核兵器の禁止の対象を開発・製造・使用・保有・貯蔵・実験・運搬など細かく規定しなければならないようです。威嚇や模擬実験そして平和教育にまで議論が及びました。
 前文には「ヒバクシャ」という文言が2か所にあります。「ヒバクシャと核実験の被害者にもたらされた容認しがたい苦難と損害に留意し」また「ヒバクシャの取り組みを認識し」とあります。このような認識は各国の代表だけでなく市民社会の代表の発言も受け入れることに繋がっているのでしょう。
 16日の午前中の会議終了後298万筆余のヒバクシャ署名の目録がホワイト議長に手渡されました。ホワイト議長も「心強いものになっています」とおっしゃっていました。私たち草の根の運動が核兵器禁止条約制定の原動力になっているのだなと確信しました。
この国連会議に出席(傍聴)させてもらい、廃絶へ向けた真剣な討論をこの耳で聞かせていただいたことは何よりの感激でした。
 16日午後からの学習会ではドゥアルテ元国連軍縮担当上級代表からの講演があり1946年の国連総会の第1号決議が核兵器廃絶に取り組むことをうたったものであったにもかかわらず、あれから70年以上経過しても核兵器は存在し続け核軍縮交渉が進まない現実、そして核兵器使用の人道的懸念が高まっているとし、NPT(核不拡散条約)の第6条にある核軍備撤廃のための交渉義務をあげ、核保有国の核兵器禁止条約への参加が求められるとの認識を示されました。しかし核保有国が現実に参加してくるには市民の大きな力が必要だろうとの励ましをいただきました。
 17日はニューヨーク市民に直接訴える行動といたしまして、午前中はマンハッタン地域で5班に分かれての署名行動(私たち2班はタイムズスクエアで行う)、午後からは「核兵器禁止女性平和行進」(もちろん男性も参加出来るとのことでした)に参加しました。ブライアントパークで集会を持ちハマーショルド広場まで約2キロの道則を「WOMEN’S MARCH TO BAN THE BOMB」の横断幕を先頭に、私たちを励ますような土砂降りの豪雨の中で「直ちに、核兵器の禁止を」「広島・長崎を繰り返すな」(英語で)などと唱和しながらの行進でした。
 最終日18日は、ブルックリンフレンズ集会場でのフォーラム「一つのたたかい、多くの戦線―核兵器、戦争、壁、温暖化ノーを」に参加しました。日本からの発言は1945年8月6日原子爆弾の投下時の目の当たりにした悲惨な体験、そして今なお原爆症に苦しんでいる現実や原水爆禁止への草の根の活動が報告されました。

 7月7日には122か国の賛成で(オランダは反対・シンガポール棄権・日本は不参加)核兵器禁止が条約となりました。歴史に残る一日となりました。核兵器は違法となったのです。
 しかし日本や核保有国を含めた世界の多くの国々が調印し批准し条約に参加し実効あるものにするには「ヒバクシャ国際署名」の引き続く取り組みを始めとして、原水爆禁止世界大会の成功などますます平和を願う草の根の市民運動が必要になってくるでしょう。
「天下和順・兵戈無用」引き続きご支援、ご協力賜ります様よろしくお願い申し上げます。 合掌

国連軍縮週間に呼応する
日本宗教者平和会議in長崎

日時 1023日~24
24日正午~25日オプション

場所 真宗大谷派長崎教会本堂
別紙案内・参加申込書あります。