被災63年3・1ビキニデー久保山愛吉墓前祭開く
全国各地から宗教者が焼津に

宗教者平和運動交流集会

 3・1ビキニデーの前日の2月28日に 北は山形から南は大分まで、そして地元静岡からも多数の参加者を得て焼津市内で宗教者平和運動交流集会が開催されました。
 全体の進行は林正道常任理事、大森良輔京都宗平協事務局長があたり、荒川庸生理事長が開会の挨拶。被災63年を迎えるに至ったビキニデ―集会、そして、半世紀以上を経て今も継続している墓前祭の意義についての報告がありました。
 代表委員の奥田靖二(神道)、河崎俊栄(仏教)、大江真道(キリスト教)、矢野太一(天理教)4師を代表して河崎俊栄師が「安倍首相になってから戦争への道を突っ走っているように思えてなりません。私たち宗教者の願いである核廃絶、軍備撤廃に向けて強い決意で立ち上がっていきたい」と挨拶しました。
 沖縄の辺野古新基地建設に反対し抗議船「平和丸」の船長として活動している相馬由里さんが特別報告。
 相馬さんは神奈川県仙石原出身で、沖縄にはスキューバダイビングがきっかけで通ううちに、移住し介護福祉士の仕事をしながら暮らし始めました。なぜ抗議船の船長になったかというと、沖縄のお年寄りを介護するなかで身体の戦争の傷を沢山みて、お年寄りから「戦さはならんどぉ」と言われ戦争は嫌だなと感じるようになりました。 基地建設とは命を奪う原点だと思ったそうです。そうした中で辺野古基地建設と高江ヘリパッドの整備などが沖縄の住民の意志を無視した形で強行されました。辺野古での戦いに船の操縦免許のある相馬さんに専従で戦って欲しいと依頼が来て、迷い介護利用者で元弁護士のお年寄りに相談した所、自分が身体が動けば戦っていたかった代わりに相馬さんに沖縄のために抗議活動をして欲しいと頼まれ決断されたそうです。
 辺野古では不当な裁判結果を受けて工事が再開されてしまいました。
 大浦湾には魚類1040種類と5334種の生き物が生息し、日本全国で4000種類の魚類が生息するなかでこの大浦湾の魚種の多さは際立っています。そうした海に新型フロートを海上に設置され、船で現場に近づくことが難しくなっています。ですがそうした防衛局に手間を掛けさせ基地建設を遅らせることが大切だと思っています。朝7時に辺野古のテントに集合して、一日中海の上で過ごしお昼も船やカヌーの上で食べて、いまは夕方4時頃まで抗議や監視活動を行っています。ここに基地を造らせないよう毎日、過酷な環境で抗議を続けています。全国から寄せられた辺野古基金のカンパも6億円(県外が7割)も集まり、その資金で7隻の船を買い活動しています。海上保安庁はときには抗議船へ乗り込んできて、船のキーを抜いてよそに放り投げたりと危険な行為を行っています。
 高江ではヘリパッド建設のため3万本の木が切り倒され、4万トンもの土砂が搬入され、工事資材を自衛隊機を使って搬入されたりし、6つのヘリパッドが造られてしまいました。ヘリパッドからオスプレイが飛び低空飛行するため、高江の住人は幾人かはとても耐えられずに移住する人も出てきています。辺野古にもヘリパッドがあり、伊江島も含めてこの三角地帯をオスプレイが我が物顔で飛び回っているのが現状です。伊江島では牛が早産したり、鶏の卵の殻が固くならずにふにゃふにゃ卵を産んだりしています。
 去年米軍属により夜にウォーキングしている女性が暴行殺害される事件が起きました。少し前の新聞でこの暴行した米軍属は、歩いていた彼女が悪いと新聞に書かれているのを見てほんとに腹が立ちました。
 米軍がいて何一ついいことはありません。1日も早く米軍基地の撤去を求めたいと私自身も思います。

署名の取り組みの強化を

 「ヒバクシャ国際署名」の取り組みについて樋口重夫事務局次長が問題提起しました。
「国際政治で初めて核兵器禁止条約の交渉が始まる歴史的な局面。この情勢に正面から答えた国際署名を広げ、世論を高めましょう」と呼びかけ、それに基づく経験を討論しました。
 続いて、アピールの提案があり採択。(全文は次号) 伊藤地張常任理事から、本集会の感想とこれを踏まえた今後の宗教者としての歩みの発信があり閉会しました。初参加の方も含めて、40人を越す参加者のもとでの開催となりました。

初めてビキニデーに参加して

真言宗豊山派泉福寺住職  岡田 隆法
 ビキニ被爆からこれまで、その苦しみに向きあってこられた真摯な思いと行動に感激いたしました。広く人々への深い慈しみを実践されてきたことに宗教者としての深い信念を感じました。また諸先輩がたと割烹黒潮で楽しく交流が出来、次への活力を頂きました。沖縄辺野古で抗議船活動をされている相馬さんのお話も政府の戦争行為なのだとよくわかり、戦争を許さない気持ちをあらたにいたしました。

天理教平和の会 京都  林 森一
 1954年3月1日、アメリカ合衆国は、ビキニ環礁で広島に投下された原爆の1000倍もの威力を持つ水爆実験を行い、「死の灰」の被災はマーシャル諸島の人々と第五福竜丸と1000隻の漁船に及び、久保山愛吉さんや多くの人々を死に至らしめました。
 私は、今年63年目を迎えた3・1ビキニデーの日本宗教者平和交流会と墓参行進、墓前祭、3・1ビキニデー集会に初めて参加させていただきました。墓参行進では、京都宗平協の幟を持って、天理教のハッピを着て行進しました。
 これらの諸集会で、私は宗教者の平和運動の歴史を学び、久保山さんの死と第5福竜丸の被災をめぐり、墓前祭の歴史、福竜丸保存の運動で焼津の人々、宗教者の並々ならぬご努力の積み重ねとご苦労と闘いがあったことを重く、深く理解させていただきました。
 京都における諸活動の中で、辺野古に基地を作らせない、福島の原発被災者の闘いと連帯を強めながら、被爆者9氏の投げかけた「ヒバクシャ国際署名」の取組みを進めたいと思います。そのことを私は久保山さんの墓前に誓い、来年も参加したいと決意してきました。

被災63年3・1ビキニデー久保山愛吉墓前祭」に寄せられたメッセージ

公益財団法人 第五福竜丸平和協会 

 ビキニ水爆実験・第五福竜丸被ばくから63年目の3月1日を迎えるきょう、故久保山愛吉氏墓前祭にご参集の皆様に心から敬意を表するものです。
 この3月、国連で核兵器禁止条約に関する交渉が開始されます。6月から7月初めにかけては20日余りの会期で討議がおこなわれます。 禁止条約への強い意志を示す国々はまた市民社会・平和運動への期待、連携を表明しています。
 長年にわたり被爆者を先頭に原水爆禁止の運動そして宗平協がすすめ広げてきた核兵器廃絶へのとりくみ、核兵器がもたらす非人道性が国連においても多数世論となり具体化への協議がすすめられる重要な情勢を、私たちは切り開いてきたといえるでしょう。
 核の惨禍を再び繰り返してはならないとの広範な市民の声と運動により福竜丸の保存が実現してから40年が経ち、船はまた建造から70年(古稀)をむかえ、その舳先を核兵器なき世界へとむけようとしています。本日ここにご参集された皆様とともに、「原水爆の被害者は私を最後にしてほしい」との久保山愛吉無線長の言葉を心に刻み、新たな局面を切り開こうではありませんか。
 東日本大震災・福島第一原発事故から6年を迎え、いまもつづく被害を忘れることなく、核も戦争もない世界への確かな航跡を第五福竜丸とともにたどることを墓前にお誓いし連帯のメッセージといたします。
   2017年3月1日

焼津市長 中野 弘道

 本日、「 被災63年3・1ビキニデー故久保山愛吉氏墓前祭」の 開催にあたり謹んで哀悼の意を表します。
 マーシャル諸島ビキニ環礁におけるアメリカ合衆国の水爆実験により、本市焼津港所属の第五福竜丸ほか、多くの船が被災してから63年が経過しました。この間、世界各国の多くの人達による熱心な核兵器廃絶運動にもかかわらず、未だに1万5千発を超える核兵器が地球上に存在していることは、本当に残念でなりません。
核兵器のない平和な世界の実現は、全世界共通の願いですが、昨年、北朝鮮が行った2回の地下核実験は、我々の平和への思いを踏みにじる暴挙であり、断じて容認できるものではありません。
 焼津市では、市民一丸となって核兵器廃絶と恒久平和の実現を訴える「6・30市民集会」を毎年6月30日に開催し、平和を愛する心を市民が持ち続けるよう、取り組んでいます。
 核兵器と人類は決して共存できません。このことを肝に銘じ、平和を愛する心を市民が持ち続けるよう核兵器廃絶に向けて引き続き、全力で取り組んで参ります。
 結びに、皆様方の運動が大きな力となり、「核兵器のない世界」の実現につながりますことを念願いたしますとともに、御参列の皆様の御健勝と御活躍を心からお祈り申し上げます。
   平成29年3月1日

広島市長 松 井 一 實

 「被災63年 3・1ビキニデー 久保山愛吉墓前祭」が開催されるに当たり、心から哀悼の誠を捧げます。
 1945年8月6日、一発の原子爆弾が広島に放たれました。この「絶対悪」は一瞬のうちに街を焼き尽くし、国籍や信条を問わず子供からお年寄りまで罪もない多くの人々を殺りくし、その年の暮れまでに14万もの尊い命を奪いました。辛うじて生き延びた人々も、放射線による障害や差別・偏見に苦しみ、心身に負った深い傷は今なお消えることはありません。
 あれから72年、依然として世界には、あの惨禍をもたらした原爆の威力をはるかに上回り、地球そのものを破壊しかねない1万5,000発を超える核兵器が存在します。私たちは、この現実を前にしたとき、非人道性の極みである「絶対悪」をこの世から消し去る道筋をつけるため、ヒロシマの思いを基に、「情熱」を持って「連帯」し、更なる行動を起こさなければなりません。そして、多様な価値観を認め合いながら、「共に生きる」世界を目指し努力を重ねなければなりません。
 昨年5月、現職の米国大統領として初めて広島を訪れたオバマ大統領は、被爆者の「こんな思いを他の誰にもさせてはならない」という心からの叫びを受け止め、「私の国と同様、核を保有する国々は、恐怖の論理から逃れ、核兵器のない世界を追求する勇気を持たなければならない」と、核兵器廃絶に向けた決意を改めて示されました。
 核兵器のない未来を創っていくのは、為政者を始め、私たち一人一人の「情熱」であり、平和への思いを共有し、「連帯」することから生まれる具体的な行動です。そうした意味からも、皆様が、久保山愛吉氏の「原水爆の犠牲者はわたしを最後にしてほしい」という御意志を引き継ぎ、1964年以来今日まで長きにわたり毎年この墓前祭を開催され、核兵器のない平和な世界の実現を訴えて続けておられることは誠に意義深く、その取組に対し深く敬意を表します。
 本市としても、162か国・地域の7,200を超える平和首長会議の加盟都市と共に、世界中の人々との「連帯」をより強固なものとし、核兵器廃絶に向けた国際的な機運を高めるために「情熱」を持って取り組んでいく所存です。
 皆様には、今後とも「絶対悪」である核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現に向け、共に力を尽くし行動してくださることを心から期待しています。
 終わりに、皆様の今後ますますの御健勝と御多幸を心よりお祈りいたします。
 平成29年(2017年)3月1日

長崎市長 田 上 富 久

 本日「被災63年 3・1ビキニデー久保山愛吉墓前祭」が執り行われるにあたり、長崎市民を代表し、謹んで哀悼の意を表します。
 1945年8月9日午前11時2分、長崎市は一発の原子爆弾により壊滅的な被害を受け、7万4千人の尊い命が奪われ、7万5千人の方々が負傷しました。かろうじて死を免れた人々も、心と身体に癒すことにない深い傷を負いました。被爆から 72年目を迎える現在も、多くの方々が原爆の後障害に苦しんでいます。
 国際社会で核兵器の非人道性についての広がりを見せるなか、昨年12月国連総会本会議において、2017年中の核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議案が113か国もの賛成多数で採択しました。悲惨な体験を二度と世界の誰にも経験させてはならないと、核兵器廃絶を訴え続けてきた被爆者や被爆地にとって、新しい大きな流れであり、大変意義あることです。核保有国と「核の傘」の下にある国々を含むすべての国が交渉に参加し、核兵器のない世界に向けて「英知」が結集されることを期待します。
 核兵器のもたらす危険性は、決して被爆地だけの過去の問題ではなく、世界が抱える今と未来の問題です。長崎市は、核兵器廃絶と恒久平和の実現に向けて、今後とも着実に歩み続けてまいりたいと考えます。
 「被災63年 3・1ビキニデー久保山愛吉墓前祭」を通じて、皆様が核兵器廃絶の声を大きく発信し、市民社会から核兵器廃絶の機運が高まることを期待しています。
 最後に、皆様の今後益々のご健勝とご活躍を心からお祈り申し上げます。
 2017年3月1日

2017年久保山愛吉墓前祭の盛花・花輪・協賛金ありがとうございました

※盛花協賛団体

日本原水爆被害者団体協議会/日本生活協同組合連合会/立正平和の会/原水爆禁止日本協議会/全日本民主医療機関連合会/日本医療労働組合連合会/日本共産党中央委員会/山梨・隆泉寺 鈴木章方

※花輪協賛団体

全国労働組合総連合/新日本婦人の会/日本自治体労働組合総連合/真宗平和の会/日本母親大会連絡会/3・1ビキニデー静岡県実行委員会/3・1ビキニデー北海道実行委員会/原水爆禁止世界大会実行委員会/横浜市従業員労働組合/非核の政府を求める会/全国宗教人の会/東京宗教者平和の会/静岡県宗教者平和懇談会/京都宗教者平和協議会/大阪宗教者平和協議会/株式会社 本の泉社/全日本教職員組合

※協賛団体・個人

 日本民主青年同盟中央委員会/長野県商工団体連合会/全法務省労働組合/日本山妙法寺/大蓮院・佐治妙心(静岡)/明徳寺 波來谷傑(岡山)/佐倉平和委員会・中河三男/静岡県原爆被害者の会・川本司郎/日本平和委員会/全国労働組合総連合/原水爆禁止日本協議会/原水爆禁止世界大会実行委員会/岐阜北民主商工会/原水爆禁止埼玉県協議会/立正平和の会/東友会(東京)/非核の政府を求める会/東京宗教者平和の会/愛知宗教者平和の会/原水爆禁止神奈川県協議会/岐阜県宗教者平和の会/横浜市従業員労働組合/全日本民主医療機関連合会/日本医療労働組合連合会/北海道宗教者平和協議会/日本自治体労働総連合/真宗企画(東京)/港区労働組合総連合(東京)/日本共産党中央委員会/東京民医連労働組合健生会支部(東京)/浄土宗正念寺 一法真證(大阪)/祐国寺・久我良修(宮崎)/泉蔵院 北村公秀(神奈川)/長永寺・荒川庸生(東京)/宝鏡寺・早川篤雄(福島)/乗願寺・鈴木友好(東京)/本延寺・河崎俊栄(石川)/泉福寺・岡田隆法(東京)/京都宗教者平和協議会/原水爆禁止静岡県協議会/原水爆禁止東京協議会/京都医療労働組合連合会/静岡県原爆被害者の会川本司郎/泉寺 早瀬裕昭(群馬)/多聞寺・岸田正博(東京)/正泉寺・北島義信(三重)/
明通寺・中嶌哲演(福井)/宝昌寺・道家宗明(岐阜)/禅龍寺・木村 宏嗣(山形)/妙円寺・伊藤 地張(静岡)/宇佐美節子(愛媛)/長沢エミ子(東京)/鈴木 徹衆(東京)/桑山 源龍(静岡)/吉本 峰雄(大阪)/宗藤 信江(広島)/鞠川 了綽(神奈川)/宮城 泰年(京都)/桧山 秋彦(滋賀)/横田 弘行(静岡)/横田登志子(静岡)/永尾 廣久(福岡)/杉山 雅威(岡山)/矢口 春子(神奈川)/池  道正(高知)/平山 栄子(大阪)/佐藤 洪一(東京)/高瀬 俊英(滋賀)/宮崎 和美(東京)/手島 英真(静岡)/中井 弘和(静岡)/早川 静泰(愛知)/安孫子 義昭(滋賀)/遠藤 教温(神奈川)/津嶋 宣夫(岡山)/日隈 威徳(神奈川)/田中 大介(東京)/安達 公昭(三重)/田邊 堯正(新潟)/林  正道(大分)/長谷川 治一(東京)/松山 公顯(愛知)/橋本 左内(東京)/小山 弘泉(東京)/田邊 修一(京都)/小野 和典(静岡)/小野 裕子(静岡)/藤井 慶輝(富山)/山田 浩道(千葉)/森  修覚(東京)/荒川 徹真(東京)/樋口 重夫(東京)/渡辺 大修(鳥取)/穴山  孝(千葉)/林  森一(京都)/植坂 行雄(神奈川)/出口 玲子(京都)/奥田 靖二(東京)/平  静丸(神奈川)/矢野 太一(大阪)/滑川 静夫(千葉)/滑川 敏子(千葉)/小谷 静良(大阪)/大江 真道(京都)/大森 良輔(京都)/高田  昇(兵庫)

鶴謝  辞    

 被災63年3・1ビキニデー「久保山愛吉墓前祭」(主催54回目)にご協力頂きましてまことにありがとうございました。お陰様で全国から1400人のご参加とたくさんの盛花と花輪に彩られて、全国の皆さまと意気たかく原水爆禁止運動の一年の始まりをともにすることが出来ました。
 3月からは国連で核兵器禁止条約の交渉が開始されます。日本宗平協も皆さまとともに「ヒバクシャ国際署名」に精力的に取り組み、核兵器禁止条約の実現・原水禁世界大会の成功に向けて歩んでまいります。
 多くの団体・個人の皆さまのご協賛に心より感謝とお礼を申し上げます。
日本宗教者平和協議会

「共謀罪」はいらない! 宗教者緊急集会

 内心の自由を奪う「共謀罪」はいらない! 法案提出を阻止しようと2月16日、参院議員会館で「宗教者緊急集会」が開催され、各宗・各派の宗教者100人が参加しました。
 日本キリスト教協議会(NCC)の小橋孝一議長が開会あいさつ。日弁連共謀罪対策本部の海渡勇一弁護士は、国連の「国際組織犯罪防止条約」(パレルモ条約)はマフィア対策でテロとは無関係であり、日本政府は国連の関連19条約のうち基本的な主要13条約を批准している。「テロ等準備罪」であり、予備罪ではなく、犯罪の準備・計画段階で取り締まろうというものである。政府は普通の人には適用されないというが、戦争に反対する私たち普通の人と判断するか判らず、コミュニケーション、内心の自由、信教の自由に国家権力が土足で踏み込んでくる法律であり、絶対に負けられないたたかいですと訴えました。
 日本共産党の井上哲士参院議員、民進党の逢坂誠二衆院議員、小川敏夫参院議員、社民党の福島みずほ参院議員、自由党の山本太郎参院議員(出席・発言順)があいさつしました。
 集会は最後に、「内心の自由、思想信条の自由は、憲法の保障された基本的人権です。そして私たち宗教者にとっては掛け替えのないないもの。その蹂躙は見過ごすことはできません」との「急ぎ『共謀罪』の国会提出、成立を許さない全国的取り組みの展開を! 宗教者緊急アピール」を採択し、集会後、議院会館前で祈念行動をおこないました。
 日本宗平協から奥田靖二代表委員らが参加しました。
 秘密保護法、戦争法(安全保障関連法)につづいて、通信傍受の大幅拡大を強行した政府の「テロ等準備罪」は、現代版「治安維持法」であり、狙いは自由に戦争できる国家、憲法の明文改悪です。監視社会をまねく「共謀罪」はテロ対策、組織犯罪対策にはなり得ません。国会提出を許さない、成立を許さない取り組みをひろげることが急がれます。

山家妄想  朝貢外交

 ★久しぶりに「朝貢」という言葉にお目にかかった。安倍首相のトランプ・アメリカ大統領にすり寄る外交姿勢を表しての言葉である。確かに辺野古埋め立てや高江のオスプレイパット建設強行、大企業によるアメリカ国内の雇用創出を手土産にしての訪米は朝貢と呼ばれるのにふさわしい。トランプ大統領が「アメリカ第一」というのに対して「日米同盟第一」と応ずるのも、日米同盟の内実がアメリカの要求に屈するというよりも、自発的に意図を忖度して応じるという屈辱的内容で、まさに従属国としての姿である。アメリカの「核の傘」に入ることによって、安全を保障するというのであるが、冷静に考えれば、アジアにおいて主張の対立している問題、例えば尖閣諸島や南シナ海について、話し合いでなく同盟の力によって権益を守ることを確認すれば、緊張を先鋭化するのみで平和な環境を拡げることにはならない。これが日本の安全を保障する道といえるのだろうか。
★北朝鮮の核開発やミサイルに対して、より進んだ迎撃の態勢を整えるというが、高速の飛行物体に有効確実な迎撃の態勢が確実にできるという保障はあるまい。しかも標的は沖縄を先頭に日本全土に展開する米軍基地、各地の原発も格好の標的だ。原発は北朝鮮ミサイルが爆発させる核弾頭を、日本が用意しておくに等しい存在なのである。攻撃に対する対抗手段を考えるより、攻撃自体をなくすことが大切である。日米同盟は世界に展開するアメリカの戦略に日本を動員することが、主たる目的化していることを見る冷静な眼をもたず「日米同盟第一」とトランプにすり寄る姿勢はまさに「朝貢」外交の名以外にない。
★広辞苑には「朝貢:外国人が来朝して貢物(みつぎもの)を奉ること」とあり「朝貢貿易」は「四(し)夷(い)(東夷・西戎(せいじゅう)・南蛮・北狄(ほくてき)をいい、周りの未開な民族をさげすんでいう)が入貢してきたとき、それに賞(しょう)賜(し)を与えるという形式の貿易。賞賜の利にひかれ、周辺の国々はすべてこの貿易を行った」とある。わが国から捧げる貢物に対する中国皇帝からの賞賜=返礼の品は莫大な額であった。同時に朝貢船に随行を許される船に積んだ輸出品は莫大な利益をもたらした。朝貢貿易を盛んに行ったのは室町幕府で、「資料日本史」には幕府の財政に一項目「天龍寺造営料 明朝頒賜銅銭 抽分銭(輸入税)」と図示されている。これは貿易による収入である。
★大統領当選祝いに世界で真っ先に駆けつけた際の首相の土産は「金色のゴルフクラブ(50万円とか)」返礼はゴルフウェアーとネクタイと言われているが、かつての中国皇帝と比べて何とも貧相である。聖徳太子が派遣した遣隋使に続く、唐代の遣唐使は「一面では律令制度の繁栄を支える役割をつとめていた」とあり、「留学生・留学僧を加え、初期は百~二百人、後には五百人以上の使節団が二隻のちには四隻(四(よつ)の船とよばれ遣唐使の別称となる)」に分乗して派遣され、アジアの先進国中国の制度・文化を摂取する重要な役割を果たした。平城・平安時代の日本の繁栄はまさにこれによると言える。隣国との平和な友好関係の重要性が実感される。
★小野妹子が持参した国書は、中国の正史・隋書の記述によると「日出る処の天子、書を日没する処の天子に致す。恙無きや、云々(デンデンではありません。念のため)」であったという。中国に対して堂々とものを言い、日の出・日没の対比は、むしろ上に立つ事さえを示すもの言いである。当然、隋の天子煬(よう)帝(だい)は面白くない。「蕃夷の書、無礼なるものあり。復(また)た以って聞(ぶん)する勿れ」とご立腹であったとある。しかし、翌年、答礼の使いが日本に派遣されたとある。外交とはいかなるものか学べるではないか。
★「美しい国」日本の国柄・歴史を誇るというならば、「アメリカ第一」に対して、毅然として「日本第一」を貫くべきであり、卑屈な朝貢外交に堕するべきではない。奴隷解放・人権の尊重を貫いて移民を隔てなく受けいれて、自由と民主主義の国を築いてきた歴史に泥を塗る「大統領令」の誤りに直言すべきなのである。フロリダの別荘に招かれ親しくゴルフに興じたことを誇るが、問題はそこで築いたという関係であり、友情の中身である。甘言(かんげん)をこととするのではなく、耳に逆らう諫言(かんげん)を言い合える関係を作ることができたのか。
★大統領の「つぶやき」や、首相の国会答弁を見聞きする限り、それは期待することができないようである。「子犬がオオカミの群れに交わって、自らをオオカミと思い込んでいる」といわれる首相、かたや「ナチの冗談芝居をしているのか、狂気の沙汰と眺めていたこの男、オバマ前大統領と比べると知的判断力では雲泥の差がある(米谷ふみ子氏)」と評されるトランプ大統領、日米両国の国民はとんでもない為政者を選んでしまった失策を挽回する努力に務めなければならなくなった。(2017・2・15)
水田全一・妙心寺派の一老僧