沖縄・高江に結集をよびかけます



 沖縄の高江では、安倍内閣により全国から動員された機動隊に守られて、連日オスプレイ発着場の工事が強行され、また非暴力の阻止行動に弾圧が加えられております。
 そこで沖縄の「島ぐるみ宗教者の会」では、全国の宗教者の皆さんに、左記の日程で緊急に集まっていただき、初日には高江の現状を複数の報告から知っていただき、2日目は早朝から高江の阻止行動に参加し、その場で宗教宗派によるお祈りとアピールを行っていきたいと提案することとなりました。

日 時  12月1日(木曜) 午後4から7時  緊急集会
場 所  沖縄県名護市大北1ー22ー10
     日本キリスト教団名護伝道所 0980ー52ー2730
日 時  12月2日(金曜)
     午前7時に高江の新川ダムに集合し
     当日の様子でN1ゲート前などに移動し、宗教宗派によるお祈りとアピールを行う予定です。

呼びかけ「辺野古新基地を作らせない島ぐるみ宗教者の会」
(島ぐるみ宗教者の会)」
 2016年10月18日
事務局担当・岡田弘隆
〒901-0302 沖縄県糸満市潮平1番地  長谷寺内
電話 098ー852ー3533

国連軍縮週間に呼応する
2016年日本宗教者平和会議in東京

記念講演 「急変貌・大増強する日本の基地」  内藤 功氏

 日本宗教者平和会議in東京は10月24日から26日まで開催されました。
 初日は主催者を代表して、荒川庸生日本宗平協理事長が開会あいさつを行いました。
 「これまでの平和会議は、全国各地の米軍・自衛隊基地についてその変貌ぶりの調査を行いました。今回は首都の米軍・自衛隊基地の変貌を学び、調査をしたいと思います」とこれまでの平和会議を紹介し、今焦点は沖縄の闘いに学びぜひ沖縄・高江の闘いに参加しようと呼びかけました。、 記念講演では、弁護士で平和委員会代表理事の内藤功氏が、「急変貌・大増強する日本の基地」と題して、進行する「平和安全法制」(戦争法)の具体化が、日米軍の一体化となって進められている現状をリアルに語られました。特に日米ガイドラインに基づく日本の基地の強化は、攻撃用戦闘機であるCV(CVのCは戦闘を意味するcombat)22機配備や、日本のほぼ全空域がアメリカ軍の自由航行とされていることなど、日本の「防衛」を口実にアメリカのためのアジアの戦略的総本部化されている横田基地の急速な変貌について話され、翌日の入間、横田基地視察とも相まって、認識を新たにしました。
 次に山崎龍明氏(法善寺元住職、武蔵野大学名誉教授)の「宗教者と平和の課題」があり、命を大切にする宗教者として今の時代の課題は何かと、心に響く話をされました。同時に、日本を現実的には戦争させないために、ひとつひとつの戦争への法的準備を許さない国民的運動についても語られました。
 被爆者の上田さんより「ヒバクシャ国際署名」の意義や国連での核兵器禁止条約締結への動きが紹介されました。 会議では、アピール「平和の祈りを行動の波へー共同を広げ新しい扉をひらこう」を採択して終了しました。
 なお2日目は入間、横田基地の視察と浅川琴刀比羅神社訪問、3日目は戦争に反対した先達である妹尾義郎(新興仏教青年同盟)の碑を高尾山薬王院に訪ねて、全日程を終えました。 (奥田靖二)

アピール
「平和の祈りを行動の波へ―共同ひろげ新しい扉をひらこう」

 私たちは国連軍縮週間に呼応して日本宗教者平和会議を米国第5空軍総司令部がおかれている横田基地近くの東京・八王子市で開催し、米軍と自衛隊基地の現状と問題を学び、安保法制=戦争法の廃止、核兵器廃絶への決意を新たにしました。人々の尊厳への抑圧を許さず、祈りを通じた連帯をひろげ、国民の団結、平和ために引き続き奮闘する決意です。

 さて、7月の参院選では、安倍政権のもとでの憲法改悪を許さず、国民の切実な要求にこたえる新しい政治を築こうと野党と市民が協力・共同し、大きな成果を収めました。この共同を生み出した力は、安保法制=戦争法に反対し、立憲主義の回復を求める広範な市民の多彩な取り組みであり、その一端を宗教者も全国各地で担ってきました。
 この力は、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働が最大の争点であった新潟県知事選挙でも大きな力を発揮し、鹿児島県に続いて再稼働ストップ、「原発ゼロ」を求める候補が勝利しました。この勝利は、私たちに大きな希望と勇気をもたらしました。総選挙でも野党と市民の共同の力を発揮し、安倍政権の打倒、新しい政治を築くために奮闘する決意です。
安倍政権は安保法制=戦争法に基づき、南スーダンのPKO(国連平和維持活動)に来月から参加する自衛隊へ「駆け付け警護」「宿営地共同防護」などの新任務を付与し、武器使用の拡大を狙っています。自衛隊員が、「殺し、殺される」という深刻な事態が危惧されています。自衛隊員のいのちを軽んじる安倍政権の暴走を何としても食い止めなければなりません。戦争法の発動を許さず、廃止を求めるとともに、在日米軍基地の再編強化・自衛隊との共同反対、南スーダンからの自衛隊撤退と紛争の平和的解決、憲法9条の立場に立った人道支援に転換させましょう。

 安倍政権は、沖縄の米海兵隊北部訓練場の部分返還を口実にオスプレイの着陸帯の建設を、年内にも実現しようと、全国から機動隊員を動員し、周辺住民の生活と自然豊かな「やんばるの森」を乱暴・無法に破壊し、名護市辺野古への新基地建設計画と一体となった基地機能の再編強化を強行しようとしています。沖縄県民が、この間の選挙で示してきた新基地建設阻止、「基地ノー」の意思の尊重など、道理にてらした怒りを共有し、「沖縄・島ぐるみ宗教者会議」への連帯を心からよびかけます。

 第71回国連総会でも明らかにされたように、国連加盟国の大多数が核兵器の存在そのものに対する人道的な影響に注意を向け、その禁止と廃絶を求めています。核兵器の使用はもちろん使用を前提とする「核抑止」政策もまた人間性を否定するものです。「核兵器のない世界」の扉を開く新たな画期的動き―核兵器禁止条約の締結交渉が来年にも開始されようとしているもとで、被爆者が「核兵器廃絶被爆者アピール国際署名」(ヒバクシャ国際署名)をよびかけました。この国際署名は、「核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことを、すべての国に求めます」という被爆者の訴えへの賛同を求めています。
 被爆者は「人類と核兵器は共存できない」と警告し続けています。被爆者の願いに応えることは日本の平和運動の原点です。広島と長崎の被爆の実相と被爆者の生き様、たたかい様を、世代を超え、国境を越えて伝え、被爆者の願いに応え、この署名を宗教界に広げ、国民的な共同の運動として発展させるよう心から呼びかけます。
2016年10月24日   2016年日本宗教者平和会議 in 東京


日本宗教者平和会議in東京

フィールドワーク 首都の米・自衛隊基地調査
京都・冨田 成美

 10月25日(火)、埼玉県平和委員会の二橋元長さんのご案内により、航空自衛隊・入間基地と米空軍・横田基地を視察しました。説明によると、2012年夏以降、埼玉県では米軍機による低空飛行の目撃情報が、北部から南部一帯で激増しています。さらに2015年7月以降では、横田・厚木に飛来するオスプレイも埼玉で確認されています。
 東京・埼玉上空(首都圏)に米軍機の頻繁な飛行がある第一の理由は、この区域が米軍の専用管制空域になっているため、飛行機からの空挺団降下訓練が頻繁に行えるからです。現在米軍の戦略は、米軍基地と自衛隊基地の日米共同運用が基本になり、戦闘訓練主体に変わってきています。例えば横田基地では、敵地侵攻を意図した兵士の降下訓練がなされ、キャンプ富士では大砲、装甲車などの物資投下訓練が行われています。
 そのような中で入間基地は、自衛隊の輸送のハブ基地として使われています。そこに2020年から新型輸送機C2が配備予定です。西はユーラシア大陸の中東、南はオーストラリア、東はハワイまでカバーできます。「国際平和協力」のために、人員、多目的ヘリ、野外手術システム(野戦病院)、射撃管制装置(PAC3)なども迅速に海外に輸送できます。入間基地側に建設予定の自衛隊病院は、海外の戦場からの後送傷病兵専門病院になります。
 入間基地は道路を挟んで、基地フェンスの隣に一般市民の住宅があります。騒音の他、訓練中の墜落や荷崩れによる落下物などを考えると、危険極まりない状態です。フェンスの前で、(恐らく)平和委員会の方々が監視カメラを据えて見張りをされておられました。
 米軍の横田基地は、航空自衛隊総司令部が間借りしており、米軍と自衛隊を一体運用のために、航空自衛隊総司令部が間借りしています。日米軍間調整の一例です。ここにはCV22オスプレイの配備が目論まれています。特殊作戦用機で、敵地侵攻や奇襲、要人暗殺などの特殊任務なども担当します。横田基地が特殊作戦基地に変化している証拠です。同時に、日本の首都がアメリカの戦争の出撃拠点になりつつあります。このような配備は基地機能の変更なので、日米協議の対象のはずですが、現実には日本は関与できません。
 横田基地もすぐ隣に民間地の小農場があり、近所には住宅街が広がっています。ここも「民間住宅地に囲まれた米軍基地」です。市民生活への危険は、沖縄と何ら変わりません。この状況に政府の対米従属ぶりを思い知らされます。なおこの日は、私たちが行った時間には米軍機の飛行はありませんでした。
 入間と横田の2基地は、日米どちらの所属であるかに関係なく、日本の国土が米国の戦争のための出撃基地として使われつつある現実を示しています。2015年4月末に合意された「新ガイドライン」では、中央政府・地方自治体双方の権限・能力だけでなく、「民間が有する能力を適切に活用する」ことが示され、地方自治体も国民全体をも、「アメリカの戦争」に動員していく方向を明記しています。「自分の街を海外での戦争拠点にさせない」ために、戦争法(安保法制)を具体的に機能させずに廃止させる運動とともに、各地の基地被害を軽減させ、返還と跡地活用につなげる運動も重要であること、「戦争する国」を許さないために両者の連携が大切であることを再認識させられた一日でした。ご案内の二橋さん、ドライバーさんに感謝いたします。

 沖縄「島ぐるみ宗教者の会」が緊急に学習会を開く

「辺野古高裁判決の意味と、緊迫する高江の行方」

 沖縄「島ぐるみ宗教者の会」は10月4日、沖縄キリスト教学院・沖縄キリスト教平和研究所・シャローム会館で「辺野古高裁判決の意味と、緊迫する高江の行方」のテーマで緊急学習会を開き、50人以上の宗教者が参加しました。
 この学習会には「島ぐるみ宗教者の会」共同代表の谷大二(カトリック教会名誉司教)、ラサール・パーソンズ(カトリック文化センター館長)、金井創(日本キリスト教団佐敷教会牧師、久保礼子(日本キリスト教団よきサマリア伝道所牧師、)長谷暢(真宗大谷派僧侶)、黒柳堯憲(日蓮宗辺野古法華道場主)、平良修(日本キリスト教団沖縄教区牧師)鴨下祐一(日本山妙法寺道場主)、相原更紗(日本山妙法寺沖縄道場信徒)、友寄隆治(石川キリストの教会牧師)、岡田弘隆(真言宗長谷寺住職)の各師らが参加しました。日本宗平協から森修覚事務局長が参加しました。
 講師の北上田毅氏からスライドを使っての講演が行われました。
 はじめに「これからどうなる?―辺野古新基地建設事業」として裁判闘争の結果にかかわらず、国は埋め立て工事に着手できない。裁判は県、全面敗訴、国の主張をそのまま代弁。翁長知事が埋め立て承認の取り消し処分を取り消さないのは違法と認定しました。
 普天間飛行場の辺野古への移設について、「県内に普天間飛行場の代替え施設が必要である。候補として本件施設などが挙げられるが、他の県内の移設先は見当たらない」と断言。民意についても「本件新施設の建設に反対する民意に沿わないとしても、普天間その他の負担軽減を求める民意に反するとは言えない」と選挙での民意をすり替えている。
 今後のたたかいについて、辺野古埋立を阻止するための今後の知事権限として①埋立承認の「撤回」、②岩礁破砕許可の更新不可、③設計概要変更申請の不承認など知事権限を酷使することが可能と提案がありました。
 つづいて高江のヘリパット工事強行の狙いの本質は「過半の返還」は実際には「基地機能の強化」であり、最大の目的は「陸・海・空一帯の訓練」を可能にすることになる。「特にG地区の重要性にあり、米軍から運用上、特に新規提供された水域における訓練も含め訓練及び兵士の救助を支援する目的で必ず必要との強い要望」と米軍からの圧力があった。年内の完工は退任するケネディ米大使の「手土産」と沖縄タイムズが報道しています。
 今後のたたかいは、やんばるの自然破壊や異常な警備の支出、行政の手続きなど無視して強行にどう立ち向かうかなど全国的な闘いが必要になってきていると報告されました。

日本被団協結成60周年 核兵器廃絶訴え

世界の人々へメッセージ

 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)は10月12日、結成60周年記念式典を東京都内で開催しました。
 記念式典では代表委員の岩佐幹三さんが主催者あいさつし、「戦争と原爆によって普通の人間が『被爆者』という運命を背負わされた。世界のだれも被爆者になってほしくない。だからこそ、核兵器を廃絶するたたかいを命の限りがんばらないといけない。一緒にがんばりましょう」と述べました。
 つづいて、1982年の第2回国連軍縮特別総会壇上からの山口仙二さんの訴えの映像が流されました。
 式典では、「世界の人々へ 結成60周年にあたってのメッセージ」を発表しました。
 メッセージは、「いま、多くの国、多くの人々が『核兵器のない世界』の実現へ力を注いでいます・・・国連総会をはじめ核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議も、核兵器禁止の法的枠組みに関する議論をこれまでになく強めています。しかし、米国をはじめとする核兵器国は核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことを拒否しています」と述べ、「『核兵器廃絶』と『原爆被害への国家補償』の実現は、日本を憲法に基づく平和国家・非核国に転換させるたたかいです」「『ふたたび被爆者をつくるな』は未来を拓くものです。人類が二度とあの『あやまちを繰り返さない』ための平和のとりでをきずくことが、原爆から生き残った私たちによって、歴史から与えられた使命だと考えています」と訴えています。
 そして最後に、核兵器禁止条約の締結をよびかける「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際書名」(ヒバクシャ国際署名)を開始したことを知らせ、「平和を求める家族、友人、隣人に国際署名を広げに広げ、世界が国境をこえて核兵器廃絶へ前進することを願い、被爆者は、残る命の限り核兵器廃絶の実現に力を尽くすことを誓います」と述べています。

 日本宗平協へ感謝状 

 日本被団協結成60周年記念式典では、感謝状贈呈と功労者表彰がおこなわれ、日本宗教者平和協議会も全日本民医連、日本原水協、日本生協連、日青協、地婦連など12団体と吉永小百合、肥田舜太郎、安斎育郎、ピーター・カズニック、ジョセフ・ガーソンさんなど20人とともに感謝状の贈呈を受け、森修覚事務局長が受け取りました。

山家妄想

安倍晋三首相の座禅

★時の政治家が高名な禅の老師を訪ねて教えを乞うことはよく聞いた話である。禅の老師もまた国政を左右する政治家に「直言」した話も伝えられている。たとえば山本玄峯老師が鈴木貫太郎首相に対して「忍びがたきを忍び、堪えがたきを堪えて」ポツダム宣言を受諾すべしと勧め、その文言が「終戦の詔勅」にとりいれられたことなど知られている。
★しかしながら近年禅寺に通い、老師の指導を受けた政治家の話は小泉純一郎以外記憶していないが、安倍総理が東京都内の臨済宗寺院で坐禅を始めていたことが、ある新聞のコラムに報じられたことには驚いた。2007年下野してからのことだそうだ。「自分と向き合い、本来の姿を取り戻すのが坐禅の目的。」と記者は言い、「その結果が今の悪政の暴走ぶりなのでしょうか」と皮肉っているが、寺院名は記していないので、指導している「老師」の名誉は傷つけられずに済んだ。
★記者は「抑下(よくげ)の托(たく)上(じょう)」という言葉を引いて「どこ吹く風といった様子の首相」を批判しているが、生半可な坐禅「修行」は俗物を増長させ、増上慢(「②自分の才能や仕事の力を過信して威張ること―藤堂明保編 漢和大字典」)に陥らせるに過ぎない。もつとも現在の暴走ぶりを見れば、「老師」の指導を受け付けず「唯我独尊」と決め込んでいるのかも知れないが、「老師」も禅僧としての己の質を問われることになるとを自覚すべきである。坐禅を通じて本来の自己を取り戻すのは「上 菩提を求め、下 衆生を化す」仏道に徹せんが為であることを師弟ともに自覚すべきなのである。
★コラムは、今年が臨済義玄禅師1150年遠諱、白隠禅師の250年遠諱にあたることを記し、「臨済も白隠も、政治への厳しい目を持っていました。臨済は農民が官吏の収奪に苦しむ華北の地に入り、人々の精神の解放を目指して悟りと自由の必要性を訴えます。白隠は大名行列の莫大な支出が庶民にしわ寄せされる幕藩体制を批判。その著書は禁書となりました。」とつづける。さらに相国寺有馬頼底管長の言葉を引いて、「批判精神は今も生きています」というが、私たちはこの指摘を素直に受け取ることができるであろうか。自分自身や教団の姿勢を省みて忸怩たるところはないか。
★白隠禅師法語全集(禅文化研究所刊)の「辺鄙以(へびい)知(ち)吾(ご)・壁訴訟」は「白隠禅師政道批判の書」と帯に記されている。「宝暦4(1754)年、白隠70才の時に書かれ、刊行されたもの。岡山藩主池田継政に宛てた手紙。」と紹介される巻之下には世を治め国を守る第一は「王道」であると説く。「王道」とは「仁澤を施し、万民を憐れみ救い、国家を治むる」事である。最近の仰々しき諸侯参勤交代の行列を批判し、「仁者は敵なし」極力仁政を行っておれば、腹心の者十騎ほど召し連れられれば充分であろう。「結局、このしわ寄せは百姓に帰すのだから」という。私たち禅僧は禅師の250年遠諱にあたるいま、禅師の諸大名の私生活批判に加えて参勤交代制度批判の姿勢を見習うべきであろう。
★憲法を改悪して世界で戦争のできる国にするために坐禅に取り組む首相を抱えている今、臨済宗各教団や禅僧は報恩の法要や縁故の遺跡顕彰などにのみ目を向けるだけでなく、現世に生きる人々に対する吾が身を削る覚悟を決めた発言や行動に大胆になる必要があると思うのである。それが真の禅僧の姿であり、真の祖師に対する報恩底ではないのか。白隠禅師は「百万石の若殿の身分はひとまず措いて自分を低くし、仁政孝慈の使われ者になると自覚し、質素な生活に徹し仲間下郎のする仕事も習い覚え手馴れるようになさい」と池田候に語りかける。政治に携わる者の心得として至言ではないか。
★安倍総理が「参禅見性の望み」をもって、都内の禅寺の門をたたいたのかどうかは分からない。しかしながら坐禅を始めた後であるはずの最近の言動を見れば、その坐禅は「野狐禅」にも達しないただのパフォーマンスに過ぎないのではないかと思われる。
★最近、首相の坐禅姿がある民放TVに流れたが、共に坐っていたのは「強行採決発言」で批判されている山本農水相であった。暴走内閣の首相・閣僚に対して指導する警策をかざした「老師」の姿も垣間見えたが、選ばれた師もまた真に明眼ある「老師」ならば、たとい一国の首相・閣僚であろうとも容赦なく鉗(かん)鎚(つい)を加え、その姿勢を正すべきなのである。 (2016・10・23)

水田全一・妙心寺派の一老僧

※「ヒバクシャ国際署名」を日本宗平協ホームページから用紙を印刷できます。ご活用ください。
住職・牧師などの個人署名と5名連記の署名用紙があります。
宗教者個人署名は寺院・教会名・役職など記名していただきます。