国連軍縮週間に呼応する
2016年日本宗教者平和会議 in 東京
10月24日(月)=東京・八王子市八王子労政会館第4会議室
記念講演(24日午後2時)内藤 功氏
25日(火)=横田基地調査などフィールドワーク
26日(水)=高尾山オプショナル
内藤功弁護士のプロフィール
1931年生まれ、弁護士、日本平和委員会代表理事、元参議院議員。1957年以降、砂川事件、恵庭事件、長沼訴訟、百里訴訟、イラク派兵差し止め訴訟などに参加。著書に『憲法9条裁判闘争史』(共著、かもがわ出版)など。
急変貌・大増強する日本の基地
戦争は、法律ができたからといってすぐにはやれない。絶対服従の兵士をつくり、武器や軍備を整え、基地を強化しなくてはならない。が、猶予はないとばかりオスプレイがひょいと熊本に現れ、嘉手納にステルス機が降り立つた。入間では公園計画を止めて病院を建設する。いま、日本の基地は急変貌しようとしている。
講演する主な項目を列挙します。
はじめに、沖縄辺野古裁判の不当判決は許されない。
1、戦争する国の物的基盤・軍事基地
2、平和安全法制(戦争法)の仕掛け
3、日本ガイドラインと戦争法
①米軍の高度戦力の日本配備
②合意実施を保証する日米同盟調整メカニズムの新設・始動
4、総合的一体的に全国の基地急変貌を見る
①全国的総合的視野
②全国各基地(演習場を含む)概観◎北海道の主要基地◎東北の主要基地◎関東の主要基地◎東海・北陸の主要基地◎西日本の 主要基地◎沖縄・南西諸島の主要基地
③根本の安保条約・地位協定・合同委員会・基地管理権
5、基地問題に立ち向かう上で最大の力は日本国憲法の5原則
①憲法全体が戦争させない仕組み
②基地撤去という大事業に、日頃からどのように立ち向かうか
③沖縄は基地闘争の最前線
全国の基地闘争は、沖縄の闘いから学ぶところが多い。米海兵隊元隊員による女性殺害事件に対する県民の怒りは、全基地撤去、海兵隊撤退を求める6・19県民集会に結集した。沖縄の闘いはさらに新たな段階に入ってきた。沖縄の闘いこそ、憲法の「民主主義」「地方自治」「平和的生存権」の真髄を示す闘いである。
10月24日、宗教者のみなさんに会えることを楽しみにしています。
被災地・被災者の切り捨て
福島県楢葉町・宝鏡寺 早川篤雄住職大いに語る
ばらまかれた放射能が半減しても、解除されても安心して戻れることにはならない。
原発事故は人災であり、安全神話に騙されたきた。
避難解除されても戻らない住民
福島・楢葉町は、昨年9月5日に避難指示解除準備区域を解除された。
これは、被災地・被災者の切り捨て宣言だ。被災前の人口は7363人。今年9月2日までに戻った人は681人(9・2%)、そのうち40代までの人は110人(1・5%)。
収束作業の労働者の実態
福島第1原発の収束のため6~7000人の労働者が働いているが、経験もなく1日5~6000円で働かされている人もいます。
国家公務員並みの保障が必要です。
汚染土はどこに貯蔵
除染の汚染土の中間貯蔵施設を30年後には他県にというが、引き受けるところがあるか。
地元に十分な補償をして、引き受けざるを得ないのではないか。
今後は
2020年をもって切り捨てることは明らか。
若い人は戻ってこない。戻ってきた高齢者は、次々亡くなり、地域は消滅していく。希望、展望がある訳がない。
宝鏡寺では
共働きしながら、住職を務め、計画してきたことも実現してきた。
4月8日の花祭り、盆踊りの復活、月1回の念仏会、寺報の発行、山桜や紅葉を植え、茶室と池も造り、満月を映して酒を飲む。
百姓も漁民も、それなりに努力してきた。それがすべてパーになった。それが許せない。
原発反対住民運動に参加
1971年に原発が稼働してから、それに反対する住民運動に取り組み、政府や東電と交渉したり裁判で訴えたりしてきた。
スリーマイル島やチェルノブイリの原発事故、チリ地震の津波。「原発大事故、次は日本」や「満身創痍の原子力政策」などのパンフも作って宣伝してきた。
福島第1原発の事故が、この程度で済んだのは奇跡だ。
大爆発だと150~200キロの範囲は避難しなくてはならなくなる。放射能は、岩手県から静岡県まで飛び散った。日本が安心して住めないようにしてはならない。国民運動が重要だ。
政府は「企業が判断すること」と言い、東電は「国のエネルギー政策次第」と言って国民、被災者を徹底的にバカにしている。
国民は怒らなければならない。原発が止まっている間は、みなし交付金を払わないと脅しも。
誰も責任を取らない
東電は、事故後も全く変わらない。今度の事故で責任を取ったものは誰もいない。賠償金なども電気料金に上乗せされて結果的には国民に払わされている。
「安養寺だより」から転載させていただきました。
平和のための諸宗教による祈りのつどい
日本キリスト者平和の会事務局長 平沢 功
「埼玉宗教者・市民懇談会」の主催で、8月30日、さいたま共済会館(さいたま市浦和区)において、36名の参加で開催されました。昨年の「沖縄のための祈り」に次いで二回目。諸宗教が平和のために協力していることに感動、是非今年も開催して欲しいとの市民参加者の強い要望もあり、東京宗教者平和の会、東京関東キリスト者平和の会の協力を得てもたれました。
神道の祈りでは、奥田靖二宮司(浅川金刀比羅神社)が「先の大戦より七十一歳を経るに我が國の政事の様は大戦の教訓を生かすことなく戦事の企てによる悪しき政人等を大神等赦し給わず、咎め給い諌め給い民人等を平和の道に導き給え」「我が國の原子力発電所の再稼働を赦し給わず我が國と世界の民人等童等の明日の安全と穏やかなる暮らしを守り幸へ給え」と祝詞をあげました。
仏教は担保立子住職(真宗大谷派宗泉寺)が表白、「真宗大谷派のおける女性差別を考える女たちの会」の「不戦宣言」を紹介し、「再び戦禍を招く恐れのある現在の政治状況を深く憂慮し、集団的自衛権の閣議決定を撤回するよう抗議の声を上げ続け」「今を生きる子どもたち、未来を生きるすべてのいのちが戦場に送られたり、戦禍に巻き込まれることのないよう」にと戦争法の廃止を訴え、仏教者による読経が行われました。
キリスト教の祈りは長澤正隆師(カトリック教会終身助祭)の司式で、宇佐美節子日本基督教団牧師(沖縄宗教者九条ネットワーク)が「神の愛と知恵と力を信じて祈る人は、神の平安を見出す」「神の愛は、わたしたちを決して放棄せず、捨て去ることなく、この世の戦いや争いに勇敢に立ち向かう愛であり」「主に従い平和を実現する道を共に歩んで行きたい」とメッセージを述べ、キリスト者により讃美歌「勝利をのぞみ」が歌われました。
第二部では二橋元長氏(埼玉平和委員会事務局長)が「埼玉ですすむ安保関連法(戦争法)先取りの動き」と題して講演しました。「入間市、狭山市にまたがる航空自衛隊入間基地に隣接する留保地に、自衛隊員が海外での戦闘で傷つくことを想定し、後送病院の建設が計画されている」「所沢の防衛医大では、海外派遣の感染症を想定し、感染症対処能力の強化が図られている」「大宮駐屯地の自衛隊学校では、特殊武器防護隊が置かれ、毒ガスを製造・管理。核、生物、化学兵器対応要員の育成」が行われている。
この国の主権者として、日本国憲法が保障する「知る権利」を行使し、防衛省・自衛隊に対し、情報の開示を求めていくことが大切だと、訴えられました。
「平和のつどい」―沖縄のこころ―うたとおはなし
東京・葛飾亀有 長永寺住職 荒川庸生
9月4日、沖縄から古謝美佐子さん(元ネーネーズ)と佐原一哉さん(キーボード)を迎えて長永寺「平和のつどい」(東京・葛飾亀有 荒川庸生住職)が行われました。
平和を実現するためのお話しを聞き、音楽を楽しむ「平和のつどい」は毎年夏の終わり頃に開かれ、被爆者や東京大空襲の証言、憲法学者の講演などを聞き、お話の後は美しい歌声や演奏に心を癒され、時々に則して平和への思いを新たにします。つどいの後の懇親会では、出演者も交えて門信徒のご婦人手製の「おいしいすいとん」と冷たいビールで和やかに懇談いたします。
本年は、日本宗平協や地元葛飾の国民救援会有志で度々沖縄を訪ね連帯・学習行動に取り組んだこともあり、ぜひとも沖縄の基地問題をテーマにしたいと願いました。
幸いに糸満市・長谷寺住職の岡田弘隆さん(島ぐるみ宗教者の会呼びかけ人)の紹介で古謝さんと連絡が取れ、無理をお願いして台風の合間をぬってお出かけいただけることになりました。
お二人の演奏に先立って、住職が日本宗平協の昨年と今年の沖縄での行動を、写真パネルを用いて説明し、沖縄の基地問題の解決と戦争法の撤廃、憲法の擁護、そして全ての原発の廃炉は通底した課題であり、全体としてとらえていきましょうと訴えました。
つづいて荒川徹真副住職が「いのちをえらびとる断食の祈り」「ヒロシマ・デーとうろう流し」の報告をし、最後に核兵器の廃絶を願い、核兵器禁止条約の締結を求める「ヒバクシャ国際署名」への協力を呼びかけ60筆を超える署名が寄せられました。
立ち見も出る中、いよいよ古謝・佐原さんの登場です。阿弥陀如来を横にし、島唄が歌いあげられます。「島々清しゃ」「安里屋ユンタ」など耳なじみのある唱に本堂は大盛り上がりです。それにしても、島唄の旋律は何故こんなに悲しげなのでしょう。涙を流しながら聞き入る人もありました。琉球以降、日本とアメリカに虐げられてきた沖縄の歴史の故なのでしょうか。唱の合間にはお二人の間で絶妙なトークがやり取りされます。しんみりとした心を笑いで癒してくれます。
また、嘉手納に生まれ、現在も基地近くに住み続けている古謝さんは沖縄の現状を語られ、沖縄県民は辺野古の新基地建設と東村・高江のヘリパット新設を望んでいない、誰もの願いは普天間基地をはじめ全ての基地の撤去ですと明確に述べられました。アンコールに応え、代表曲「童神」「花」でコンサートはフィナーレです。拍手が鳴りやみません。
日本宗平協としても沖縄の高江・辺野古の基地問題を緊急の課題としてとらえ、更なる連帯・支援行動を追及.し、併せて全国理事会で提起された「平和の鐘」構想を実現しなければとの思いを新たにした「平和のつどい」でした。
9.23 久保山愛吉 追悼 焼津行動
人類最初の水爆実験の犠牲者、第五福竜丸の無線長久保山愛吉さんが亡くなって62年目の秋、焼津市において追悼行動が行われました。2016年3・1ビキニデー実行委員会が主催し、焼津駅からの墓参行進・久保山さんの菩提寺弘徳院での「墓前のつどい」・午後は市内で追悼のつどいが開かれました。
昨年12月、国連内に核兵器禁止条約の具体化を検討する作業部会が設置され、2月・5月・8月と3回の会議を経て、秋の国連総会には「核兵器禁止条約実現に向けての原案・行程表」が提案される見通しになっています。
また、4月には、広島・長崎の被爆者から、核兵器廃絶に向けた「ヒバクシャ国際署名」が新たに提案され、署名行動が始まりました。2017年3・1ビキニデー・墓前祭成功をめざす取り組みとして行われました。当日の行動には、小雨降る中のべ260人が参加し、静岡県宗教者平和懇談会からは小野和典(事務局長)が参加し、「誓いの言葉」を述べました。
結成10周年記念
東京宗教者平和の会第10回総会開く
「東京宗教者平和の会」は9月13日、新宿区西新宿の日蓮宗常圓寺祖師堂で2016年第10回の総会を開きました。結成10周年を記念したこの総会には、会員・賛助会員をはじめ、友好団体の来賓など多数が参加しました。
総会に先立ち「戦争法廃止・9条改憲阻止への新局面と私たちの課題」と題して、東京慈恵会医科大学小沢隆一教授による、記念講演が行われました。
「先ごろ行われた参院選の結果=改憲勢力3分の2をどうみるか」「憲法9条の歴史的意義」「戦争法の問題点」「自民党の日本国憲法改正草案」「戦争法を廃止して立憲主義・民主主義・平和主義を取り戻す」の4点を主題にお話しされました。
今の情勢は、改憲の「危機の一方的深化ではない」として、「市民と野党の共同の成果、何よりも戦争法に反対する国民的な闘いの広がり、戦後初めての選挙協力や市民連合の力」など、今後の闘いの進展により「憲法を取り戻すことができる」という、展望を話されました。
記念講演のあと、岸田正博(仏教)、星出卓也(キリスト教)両師を議長に選出、小山弘泉事務局長が総会「議案」の提案を行いました。
今総会は、「会」結成10周年であり、首都圏における宗教者の平和運動が果たしてきたその歴史と役割を明らかにすると同時に、これから先の10年20年を見通す中長期の基本方針をたてることを中心課題としました。
宗教者の連帯や組織の強化の課題では、千葉県宗平協の再開をはじめ、埼玉県における「市民と宗教者の会」の活動、神奈川県でも宗平協活動の再開準備が進むなど前進が勝ち取られていることが明らかにされました。
また、「戦争法反対・廃止」の市民との共同が、参議院選挙や東京都知事選挙に大きな力を発揮し、宗教者の平和運動の歴史に、深く刻まれたことを確認しました。
信教の自由を擁護し、政教分離の原則を貫く活動は、宗教者の平和運動の根本であることを確認しました。そのうえで宗平協結成の直接動機ともなった「靖国神社国家護持法案」反対運動の教訓が、今日的意義を持っていることを明確にし、靖国神社が存立している東京の宗教者の役割を自覚した運動をすすめることを確認しました。
宗平協の運動を宗教界に広く、深く根ざした運動に発展させる課題を、東京で成功的に進めるための探求が必要です。研究者をはじめ、宗教に関心を寄せる幅広い知識人との協力・協同をすすめることを確認しました。
なによりも「会」の拡大強化は「緊急の課題」であり、戦争法廃止などの運動を通じて、「会員拡大の条件は広がって」いることを確認しました。
総会で選出された役員(敬称略)
◆代表世話人 奥田靖二・平沢 功・山崎龍明
◆世話人 荒川庸生・小山弘泉・岸田正博・小枝 功・小嶋弘遵・坂田良仁・田広千寿・服部進治・ 星出卓也
◆事務局長 小山弘泉
◆事務局次長 小嶋弘遵・服部進治
◆会計 田広千寿
◆会計監査 小枝黎子
山家妄想 「部落差別」の現状認識
★真宗教団連合のホームページに、HP用に体裁を変更していると断り書きがある同和問題パンフレットを見つけた。日本の社会では、「今なお日常生活をはじめ就職・結婚などで差別を受け、人間として生きる市民的権利が奪われている重大で深刻な『部落差別』という問題がある」と言い、その「被差別部落民」の大半が真宗の門徒であるという事実に思いを致すとき「大きな課題」として迫ってくるという。歴史的な経過を振り返り、「社会の発展のなかで産業構造に大きな変化が生じ、その結果、部落の人たちの仕事の多くが大資本に奪われ、被差別部落はいよいよ経済的にも取り残されていった」と記述する。
★真宗教団は親鸞聖人の「御同朋御同行」の精神に背いて差別教団となっていたことの指摘を受け「ともに同朋として立ち上がることが念じ続けられてきた」と自認した上で、「私の存在」を問題とし、「差別というものは空気のように社会意識として人びとの心に息づいている」ことを自覚し、「部落解放を信心の課題としていく必要」を呼びかけ、部落解放=人間解放の仏道を歩もうと結ぶのである。
★一読して、今から半世紀近くも前に盛んに喧伝された「朝田理論」を想起した。その理論は「部落民にとって一般市民と同様な市民的権利が、行政的に不完全にしか保障されていない」ことが差別の本質であり、「部落に日常的に生起する問題で部落民にとって、部落にとって不利益な問題は一切差別である」と断定していた。さらにすすんで、日本社会には部落住民にたいする差別意識が「社会的、普遍的に」「空気」のように存在しており、「自己が意識するとしないとにかかわらず、客観的に」、「空気を吸うように一般大衆の意識の中に入りこんでいる」と断定する。
★現代日本の社会は、身分差別を受ける部落住民と差別と偏見をもつ部落外の住民という二つの集団に分かれていると規定するのである。こうして部落外の住民にたいして「差別する側に生まれている」ことを自覚し、差別者を意識するとしないにかかわらず、「差別意識」をもつ「自己と闘い、社会と闘う」ことを要求したのであった。この「朝田理論」は「社会科学用語を恣意的にぬきだして、衒学的に組み立てられている」ために「今日なお、身分差別の圧迫に苦しむ部落住民を心情的にとらえ、一方では、労働者や知識人の一定部分のヒューマニズムの精神を幻惑させて共感を呼ぶ側面を持っている」と中西義雄氏が指摘したように、私が奉職していた高校の場においても、一部の教師や生徒たちに影響力を発揮したが、その基本的特徴は「超階級的な部落排外主義と右翼改良主義(融和主義)とが、社会科学の用語で粉飾されて、独特のかたちで組み立てられたもの」(中西義雄 前衛1969年10月号)であったのである。
★この「理論」に導かれた彼らの運動は革新統一の運動に深刻な打撃を与えたが、1974年11月22日の八鹿高校事件で頂点にたっし、純真な同高校生徒の勇気ある決起集会を起点として、全国の良識を結集した真の民主主義を守らんと決意した人々の呼応によって克服することができた。その時以来、あからさまなかたちでの「理論」の継承は影をひそめたのであったが、宗教界においては「町田発言」以来の糾弾への屈服の後遺症が、「同和問題に連帯する同宗連」の存在などとして残存している。
★パンフは「朝田理論」が宗教界において克服されていないこと、部落差別を現実に照らして科学的にとらえ、現時点における部落問題解決の歴史的な到達点と展望を明らかにし、確信をもつことが求められているという認識を欠いていることを示していはしないか。
★パンフがいうように、「今なお日常生活をはじめ就職・結婚などで差別を受け、人間として生きる市民的権利が奪われている重大で深刻な」かたちで「部落差別」は存在し「空気のように社会意識として人びとの心に息づいている」といえるのだろうか。たしかに同対審答申が出された当時は、部落と一般との差別が物理的に目に見える形で存在していた。だからこそ同和対策事業という形で、その差をなくす施策が行われた。その結果、いまは「目に見える差別がなくなったが、目に見えない心の中の差別意識は無くなっていない」などという。パンフが「『私の存在』を問題とし、『差別というものは空気のように社会意識として人びとの心に息づいている』ことを自覚し、『部落解放を信心の課題としていく必要』を呼びかけ、部落解放=人間解放の仏道を歩もう」と述べるのはまさにそれである。
★各個人の心の中に差別意識が存在するか、しないか、全く差別意識の存在しない人間は存在するのか、検証することはできない。しかし仮に差別をする人がいても、それをいけないことだと周りの人がたしなめる「差別を許さない社会」、それは現在実現しているといえるのではないのか。かつて言われた、そしてパンフの言う「市民的権利が奪われている重大で深刻な『部落差別』」は克服されているととらえるべきが、現在の到達点なのではないのか。
★同対審答申に始まる同和対策事業の結果、さらには高度経済成長政策以来の日本社会の変貌を踏まえた、現時点に対する科学的認識を欠いて観念的・心情的な認識に固執しているのみでは、宗教者としての使命を果たすことはできないと考えるのである。
(2016・9・6) 水田全一・妙心寺派の一老僧
※「ヒバクシャ国際署名」を日本宗平協ホームページから用紙を印刷できます。ご活用ください。
住職・牧師などの個人署名と5名連記の署名用紙があります。
宗教者個人署名は寺院・教会名・役職など記名していただきます。

